ポルシェがオープンカーの「ウインドデフレクター」を廃止？「空気を空気で防ぐ」次世代オープンカーの特許を申請

2025/12/31

｜　ポルシェは「空気のコントロール」を重視している　｜

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ポルシェが「物理的な防風板」を不要にする革新的なエアカーテン技術を特許申請

車体後方のファンとダクトを使い、空気の壁で車内への風の巻き込みを遮断

911やボクスターの美しいシルエットを損なわず、快適性を極限まで高める執念の技術

青空の下、風を感じて走るオープンカーは最高に気持ちいいものですが、しかし現実はそう甘くはなく、いざ高速走行となれば車内には激しい風が巻き込み、会話もままならなくなることも。

これを防ぐために多くのオープンカーには座席後方に「ウィンドディフレクター」が備わっていますが、しかしこれらは正直に言って「せっかくのデザインが台無し」「取り付け部、プラスチックの網や板が安っぽい」「4人乗りの場合は後部座席に人が座れなくなる」という問題も指摘されています。

そしてポルシェが今回申請した特許は、そんな「見た目と快適性のジレンマ」を完璧に解消する、まさに魔法のような解決策というわけですね。

世界知的所有権機関（WIPO）によって公開された情報によると、ポルシェの新技術は「空気の力で車内を守る」という非常に合理的なもの。

仕組みは驚くほどシンプルですが、精密に制御されています。

これにより車内へ流れ込もうとする乱気流を「見えない空気の壁」が押し上げ、乗員の頭上を通り越させてしまうというロジックです。

このシステムが従来の「板（ディフレクター）」より優れている点は、その「柔軟性」にあり・・・。

特徴	詳細・メリット
アクティブ制御	車速に応じてファンの回転数を変え、最適な「壁」を常に形成する
可動ルーバー	噴射口の羽を動かすことで、風の角度をリアルタイムに微調整
デザインの純粋性	折りたたみ式の網や板が不要になり、オープン時のシルエットが完璧になる
デメリットの可能性	複雑なダクトやモーターによる重量増、および荷室スペースへの影響

実は、このように「空気で風を制御する」という発想自体はポルシェによるものが初めてではなく、例えばひとつの例はフロントガラスすら持たない究極のロードスター「マクラーレン・エルバ」。

このクルマには「アクティブ・エア・マネジメント・システム（AAMS）」が搭載されており、フロントから取り込んだ空気をボンネットから高速で噴射することで、乗員の周りに静かな空間（バブル）を作り出しています。

ポルシェはこの超高級車にしか使われなかったような高度な空力コンセプトを量産スポーツカーである「911」や「ボクスター」に落とし込もうとしているのだとも考えられ、これはスポーツカーのスタンダードを一段階引き上げる挑戦と言えそうですね。

ポルシェのエンジニアは単に便利な道具を作りたいわけではなく、彼らが目指しているのは「スポーツカーとしての美しさとパフォーマンスに1ミリも妥協せず、かつ日常での使い勝手を最高にする」という極めて高いハードルのクリアです。

快適性をもたらすとともに美観の問題を解決し、そしておそらくは「車両の姿勢（安定性）制御」にまで効果をもたらすことを考えているのだと思われ、「単一のコンポーネントに複数の機能をもたせる」「過剰なまでのこだわり」こそが「ポルシェのポルシェたるゆえん」なのかもしれません。

次期911やEV版ボクスターの背後に「あの網」がなくなっているのを見つけたら、それはポルシェが空気を飼い慣らすことに成功した証拠だといえそうですね。

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