
| 金の需要は「増えることがあっても」減ることはない |
この記事の要約:3つのポイント
- 意外な事実: 一般的な大衆車にも、約2gの金が電子部品等に使用されている
- マクラーレンの知恵: 伝説のハイパーカー「マクラーレンF1」がエンジンルームに金箔を貼ったのは、豪華さではなく「究極の放熱」のため
- 現代の「都市鉱山」: EV化や自動運転技術の普及により、車1台あたりの金含有量はさらに増加傾向にある
なぜ車に「金」が必要なのか?
「金(ゴールド)の車」と聞けば、アラブの富豪が乗るような金ピカのカスタムカーを想像するかもしれません。
しかし、実は今ぼくらが乗っているそのクルマの中にも、本物の「金」が隠されていることは意外と知られていない事実です。
かのマクラーレンF1のように目に見える形ではありませんが、現代の車はハイテク化が進むほど、内部に使用される金の量は増えています。
2026年、金相場が歴史的な高騰を見せる中、ぼくらの愛車に眠る「隠された資産」の真実を見てみましょう。
「金」は工業製品としての価値がある
クルマに使用されている金は、単なる装飾ではなく(装飾目的で使用される場合もありますが)、その最大の理由は「圧倒的な信頼性」にあります。
クルマは過酷な熱、振動、湿気にさらされる「工業製品」であり、しかし金は腐食に強く、電気伝導率が極めて高いため、エンジンの脳に当たるECU(エンジン・コントロール・ユニット)や、命を守るエアバッグのセンサーの接点に不可欠な存在です。
もしここが錆びて電気が通らなくなれば、重大な事故に直結しかねず、よって「絶対的な信頼性」が要求されるエレクトロニクスパーツには「金」が使用されているわけですね。
伝説の「マクラーレンF1」と金の関係
世界中のギアヘッド(車好き)が「金と車」で真っ先に思い浮かべるのが、マクラーレンF1。
このクルマのエンジンルームには、まばゆいばかりの24金(純金)が輝いていますが、その理由とは・・・。
- 目的: 6.1L V12エンジンから発せられる強烈な熱を反射(あるいは放熱)し、カーボンファイバー製のボディが熱で溶けるのを防ぐため
- 使用量: 1台あたり約16g
- 参考: NASAの衛星にもこれと同じ「熱管理の最適解」としての金の用法なされている
ちなみに「金」はぼくがもっとも評価する資産の一つなのですが、その理由は「新しく作れないこと」「埋蔵量が決まっていること」「にもかかわらず、宝飾用、医療用、工業用としての価値が高いこと」。
要するに、代替品がない存在であるにもかかわらず、その量が限られているため、「金が不要になる時代はやってこない(小説「夏への扉」ではその時代がやってきていましたが)」、そして「むしろその需要はどんどん増える」と考えているから。
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一般的な車に含まれる貴金属スペック(推定)
そこで一般的なクルマに金や希少金属が使用される部位をまとめてみると・・・。
| 部品名 | 含まれる貴金属 | 主な役割 |
| 半導体チップ | 金 (Gold) | 導電性と耐腐食性の確保(約2,000個搭載) |
| ECU基板 | 金、銀 (Silver) | 車載コンピューターの高速信号伝達 |
| エアバッグセンサー | 金メッキ接点 | 衝突時の確実な作動(信頼性の担保) |
| 触媒コンバーター | プラチナ、パラジウム | 排ガスの有害物質を無害化する化学反応 |
金が生む「格差」
そしてクルマに含まれる金の量は、その車の「ハイテク度」に比例します。
- ガソリン車 vs EV: 電気自動車(EV)は、ガソリン車よりも多くの基板と半導体を使用するため、1台あたりの金含有量が多い傾向にある
- 高級車 vs 大衆車: ロールス・ロイスやベントレーのような高級車では、コネクタやスイッチ類にさらに贅沢に金が使われ、接点のノイズを極限まで減らしている(高級車は見えないところまで高級である)
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また、GMが1955年に製造した「5000万台記念シボレー・ベル・エア」のように、ボルト1本まで金メッキを施した究極の記念モデルも歴史には存在しますが、これらはもはや「走る宝飾品」と言えそうですね(ちょっと前だと日産の「純金キー」、近代でも、シャオミSU7のように「ゴールドエンブレムをオプション設定する例がある)。
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結論:現代のクルマは「小さな金山」かもしれない
「クルマを溶かして金を取り出そう」と考えるのは現実的ではありませんが(抽出コストの方が高くなる)、愛車の中に本物の金が使われているという事実は、少しだけ所有感を満たしてくれるようにも思える「事実」です。
特に中古車を廃車にする際、現在のリサイクル技術ではこれらの貴金属が高度に回収され、また新しいテクノロジーへと生まれ変わっており、そう考えるならば、ぼくらのクルマは物理的にも、そして技術的にも価値のある「資産」というわけですね。
金が「熱」を支配する未来
マクラーレンが30年以上前に証明した「金の反射特性」は、現代の宇宙探査や、超高性能な次世代バッテリーの熱管理にも応用されており、最も古い貴金属である「金」が、最も新しい「未来のモビリティ」を支えているというパラドックスは、自動車工学の非常に面白い側面の一つだと思います。
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参照:CARBUZZ



















