
| ポルシェが直面する「二極化」の波。売れるモデルと苦戦する市場の差 |
2025年度ポルシェ販売実績「4つの重要トピック」
- 販売台数は27.9万台: 前年比10%減。中国での需要減退と供給不足が直撃
- 「911」は独走状態: アイコンモデルが5万1,583台を販売し、過去最高記録を更新
- EV比率は目標圏内: 全体の22.2%がフル電動車。欧州では過半数が電動化モデルに
- 戦略の転換: 「台数よりも価値(利益)」を優先する戦略を2026年も継続
ポルシェが2025年の世界販売台数を「27万9,449台だった」と発表し、記録的だった前年から一転して「10%の減少」へ。
この数字の裏には世界的な経済不安や中国市場の激変、そして欧州のサイバーセキュリティ規制による人気モデル(マカン、718のガソリン車)の供給停止といった複雑な要因が絡み合っており、ポルシェはこの現状を「想定内」としつつ、2026年に向けた攻めの姿勢を見せています。
2025年ポルシェ販売データ詳細
1. 市場別:中国の「26%減」を北米がカバー
そこで試乗別の販売を見てみると、最大の市場である北米は8万6,229台(前年並み)と底堅さを見せる一方、中国は4万1,938台(26%減)と大幅に落ち込んでおり、これは不動産危機による富裕層の買い控え、そして現地メーカーとの激しいEV競争が主な要因であると説明されています。
2. モデル別:マカンが首位、911は過去最強
最も売れたのはマカン(8万4,328台)ですが、特筆すべきは「911」で、最新のハイブリッドシステム「T-Hybrid」を搭載した911 GTSなどの投入によりスポーツカーとしての地位をさらに盤石なものへ。
なお、911は5万1,583台を販売して過去最高記録を塗り替えており、全体の約1/5を占めるに至っています。
それでもまだ911は「足りない」というイメージもあり、もし911の増産が可能であったならば、2025年に販売実績は「もうちょっと」変わっていたのかもしれませんね。
2025年 ポルシェの販売状況
そしてこちらは「地域別」「モデル別」の販売をリスト化したものですが、ちょっと不思議なのは「関税」によって末端価格が上がってしまった北米では販売台数が前年と変わらず、関税の影響が(当然ながら)ないドイツ本国での販売がマイナス16%となっていること。※ドイツでは電動化車両の人気が高いと認識しているが、この落ち込みの理由はナゾである。ガソリン版マカンと718の販売がなくなったとしてもここまでは落ち込まないと思われる
これを見るに、2025年の不振は「中国のみ」の問題ではないこともわかります。
| 地域・モデル | 2025年販売台数 | 前年比 (2024比) |
| 世界合計 | 279,449台 | -10% |
| 北米 (最大市場) | 86,229台 | 0% |
| 中国 | 41,938台 | -26% |
| ドイツ (本国) | 29,968台 | -16% |
| --- | --- | --- |
| マカン (首位) | 84,328台 | +2% |
| カイエン | 80,886台 | -21% |
| 911 (記録更新) | 51,583台 | +1% |
| タイカン (EV) | 16,339台 | -22% |
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競合比較と市場での位置付け
ラグジュアリーEV市場では、テスラや中国のBYDなどが台頭していますが、ポルシェは「量」を追わない独自のポジションを明確にし、そのポジションを「再構築」中。
ただし市場ごとに「受け入れられ方」が異なるようにも思われ、「全世界で画一的な」対応というわけにはゆかないのかもしれません。
- フェラーリやランボルギーニとの比較: ポルシェはより実用的な「日常使いのスポーツカー」というポジションを保っており、カイエンやマカンにて「BEV」を投入するなど電動化を急いでいる状況
- 強み: 欧州市場での電動化比率は57.9%に達しており、プレミアムブランドの中でもEVへの移行スピードは群を抜いている
- 弱み:中国市場ではスポーツカーの人気が低く、セダンやSUVでは地元の自動車メーカーに「代替」されるようになってきており、ブランド価値を失いつつある
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「T-Hybrid」が示すポルシェの回答
純粋なEVへの移行が世界的に鈍化する中、ポルシェが投入した「T-Hybrid」が大きな驚きを与えたことは記憶に新しく、これは「単なる燃費向上のためのハイブリッド」ではなく、「走行性能を極めるための電動化」。
この「走りの楽しさを犠牲にしない」姿勢こそが2025年の販売減の中でもポルシェファンを繋ぎ止めている最大の要因と言えるのかもしれません。
参考までに、現在の911ラインアップはかつてのV8ミドシップフェラーリやV10ランボルギーニの新車〜中古車の価格帯に位置しており、そしてスモールフェラーリやベイビーランボルギーニの価格が異常に高くなってしまったために「従来のフェラーリやランボルギーニの顧客」が911へと流れている可能性も否定できず、そういった背景もあって「911が好調」なのかもしれませんね。
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結論:2026年のポルシェは「カイエンEV」が反撃の狼煙に
2025年はポルシェにとってラインナップの刷新と市場の再編に伴う「踊り場」の年。
しかしマカンの好調なEVへの移行や、新型カイエンEVのワールドプレミアなど反撃の準備はすでに整っています。
2026年もポルシェは、無理に台数を追うのではなく、1台あたりの価値を高める「バリュー・オーバー・ボリューム」戦略を徹底するとも説明されており、「アイコンである911の輝きを保ちつつ、SUVの電動化でどこまで巻き返せるか」が復活の鍵となりそうですね。
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参照:Porsche

















