
| さすがは「物言うCEO」、メイト・リマックである |
ブガッティとユーチューバー、その騒動の要約
- 発端: YouTuberのマット氏が、事故で大破し「ブラックリスト」入りしたシロン・ピュアスポーツの修理を試みる
- 批判: マット氏側は「ブガッティが純正部品の販売を拒否している」「部品代が法外(ヘッドライトペアで2,600万円など)」と主張
- CEOの反論: メイト・リマック氏が動画で直接回答。「ネットの噂の多くは事実ではない」と否定
- 安全性の警告: 「300km/h以上で走る車を、専門知識のないガレージで直すのは自殺行為だ」と警鐘を鳴らす
メイト・リマックが「神話」を解体。驚きの実コストとは
先般より話題となっている、「自分でブガッティ・シロンを修理しようとしている」ユーチューバーとブガッティCEO、メイト・リマック氏との「口プロレス」。
いったん落ち着いたかのように見えたものの実はそうではなく、ユーチューバーが「あまりに修理費用が高すぎる」「シロンに使用されているエアバッグはアウディA3と同じもの」などと主張する動画を公開し、746万回もの再生回数を記録しています。
こういった状況に我慢ならなくなったのか、「物言うCEO」、メイト・リマック氏は「SNS上で拡散されているブガッティの維持費伝説」のいくつかを具体的な数字を挙げて反論を行うといった事態にまで発展したというのが直近の状況です。
-
-
【神対応】ブガッティCEOが「パーツを売ってくれないなら3Dプリントで直す」と脅迫したブラックリスト入りオーナーにDM送信→直接交渉した衝撃の顛末
| すでにインスタグラム上の投稿は削除済み | ケーニグセグ然り、今後同様の例が増えてゆくのかもしれない 超高級車の世界では、「顧客サービスは密室で行われる」のが常識ですが、今日その常識が覆されたとも ...
続きを見る
1. ヘッドライトは「15万ユーロ」ではない
ネットではヘッドライト片側で約2,800万円(15万ユーロ)という数字が一人歩きしていたものの、メイト・リマック氏によれば実際には約460万円(2.5万ユーロ)。
「バーゲン価格とは言わないが、開発コストを考えれば妥当な額だ」としています。
-
-
ブガッティ・シロンのヘッドライトが左右2378万円で販売中。新型ポルシェ911カレラGTS4の2365よりも高く、VWパサートのランプの「105倍」。なぜブガッティのパーツはこんなに高いのか
Image:ebay | 絶対的な生産数が少なく、その割に破格の性能を求められるため、そのパーツは(開発費を含めると)どうしても高価になってしまう | 生産台数が少ないトゥールビヨンのパーツは「さらに ...
続きを見る
2. 「VWパーツと同じ」という誤解
さらにはシロンのエアバッグにつき、「アウディA3のエアバッグと同じ品番だから安く直せる」というユーチューバー側の主張に対し、リマック氏は明確にNOを突きつけることに。
「見た目や品番の一部が同じでも、中身は別物だ。例えばレザーの厚み一つで、極寒の地でのエアバッグ展開速度が変わる。我々はそのために何百万ユーロもかけてテストしているんだ。地元の椅子屋に張替えを任せて、命を預けられるか?」
-
-
ブガッティのドアミラー調整スイッチが故障→ディーラーに修理を依頼したら223万円の見積もりが出る→調べたら173円のVW製パーツだったことが判明
| ブガッティ・ヴェイロンは「あまりに維持費が高い」ことで知られるハイパーカーである | 一説によると「シロン」よりも維持にお金がかかるもよう 世界でも指折りのハイパーカー「ブガッティ・ヴェイロン」。 ...
続きを見る
なぜブガッティは「DIY修理」を拒むのか?
そして今回の「そもそも」の論争のきっかけは「ブガッティがユーチューバーへとパーツの供給を拒否したから」。
その最大の理由は、ブランドプロテクションではなく「安全性」だと述べています。
- モノコックの構造: クラッシュしたシロンを正しく修理するには、エンジンとモノコックを切り離す高度な技術が必要であり、世界でも数人しかその資格を持っていない
- シャシーの歪み: リマック氏は、ユーチューバーが修理を試みている個体にはモノコックへのダメージがあると指摘。これを素人が「3Dプリントパーツ」などで継ぎ接ぎして時速400kmで走らせるリスクを危惧している
- サポートの拒否?: 実はブガッティ側は「適切な修理プラン」を提示しサポートを申し出たものの、ユーチューバー側が「自身のチャンネルの独自性(DIYによる修復による再生数稼ぎ)」を守るために辞退したという裏側も明かされる※たしかに「いったん」ブガッティとユーチューバーは前向きな協議に入ったと報じられたが、交渉は決裂したようだ
-
-
ブガッティ「シロンの維持費は(ジェット機並みと言われた)ヴェイロンより安い。とくにタイヤは安価だ」
ブガッティ・シロンはその発表時に「ヴェイロンより維持費は安い」と公言されましたが、その証拠が今回ブガッティから直々に語られることに。 なおヴェイロンの維持費は「プライベートジェットよりも高い」と言われ ...
続きを見る
結論:ハイパーカーは「工業製品」ではなく「精密な兵器」である
メイト・リマック氏のメッセージは明確で、ブガッティは単に「高い部品を売りつけている」のではなく、「400km/hの安全を保証するためのコスト」を請求しているに過ぎない、ということに。
「ガレージで直せるならそれは普通のクルマだ。だが、シロンはそうではない」
つまるところ、メイト・リマック氏は「腹に据えかねたから」反論しているのではなく、顧客の安全を担保するために警鐘を鳴らしているのであり、ひいてはブガッティがどれだけ安全のためにコストをかけているのかを理解してほしかったのかもしれません。
この騒動は、デジタル時代の「消費者の修理する権利」と、メーカーの「安全への責任」が真っ向から衝突した象徴的な出来事と言え、2026年、ユーチューバーがこの「ブラックリスト車」をどう完成させるのか、そしてメイト・リマック氏が最後にどのような判断を下すのかに注目が集まっています。
合わせて読みたい、「維持費」関連投稿
-
-
1030万円で販売されている中古のロールス・ロイスには1230万円のメンテ費用がかけられていた。中古ロールスを買う際には「とんでもなく維持費がかかる」ことを理解する必要がありそうだ
| いくら維持費用をかけたとしても、売却金額にそれが必ずしも反映されるわけではない | (ある程度年季の入った)中古のロールス・ロイスの購入には「維持費」「売却価格」という二重のリスクが伴っている さ ...
続きを見る
-
-
ブガッティ・ボリードを所有するということ──富豪の中のさらに選ばれし者飲みが許される「特権」。タイヤ交換は60kmごと、その費用は120万円、そして燃費はリッター「1.3km」【動画】
| 走るだけでも「一回で数十万円」が飛んでゆき、走らなくても同じくらいの維持費がかかるのがこのボリードである | ブガッティの所有には、とんでもない情熱と愛情、そして資金と忍耐が要求される さて、現在 ...
続きを見る
-
-
マクラーレンの維持費はかなり高額だった。ホイールボルトは2年に一回交換が必要、構成部品が破損しても「部品ではなくアッセンブリーごとの交換」が必要に
| たしかにマクラーレンF1はもっとも維持費が高額なクルマのひとつでもある | 加えて、初期のマクラーレンには品質的な問題もあるようだ さて、スーパーカーは非常に高価な乗り物ですが、その維持もやはり高 ...
続きを見る
参照:Mate Rimac(Facebook), Mat Armstrong(YouTube)













