
| 走るだけでも「一回で数十万円」が飛んでゆき、走らなくても同じくらいの維持費がかかるのがこのボリードである |
ブガッティの所有には、とんでもない情熱と愛情、そして資金と忍耐が要求される
さて、現在ブガッティはサーキット走行専用ハイパーカー「ボリード」の納車を進めているところではありますが、今回既に納車を受けたアメリカの大富豪、マニー・コシュビン氏がその「あまりに通常のクルマとはかけ離れた」取り扱い方法、そして維持費について紹介する動画を自身のYouTubeチャンネルにて公開することに。
なお、同氏は今でこそ「大富豪」ではありますが、もともと戦争難民として米国に移住した人物で、スーパーのカート集めや床のモップがけといった仕事からキャリアをはじめ、その後はピーナッツを仕入れ、それを袋に詰めて民家を一軒一軒回って売り歩くことでコツコツとお金を貯めたというので、ほかの誰よりも「お金の大切さ」を理解しているスーパーカー/ハイパーカーコレクターといって良いかもしれません。
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ブガッティ・ボリードの扱い、そして維持費は「航空機並み」である
このブガッティ・ボリードは「究極のサーキット走行専用マシン」として設計されていて、パワートレーン以外はシロンとほぼ共通性がないクルマ。
よって市販車をサーキット走行用に改装したものではなく「サーキット走行のためだけに作られた」クルマということになり、よってレーシングカー同様に始動前には複雑な手順(シークエンス)が必要となるもよう。
つまり市販車のようにイグニッションスイッチを押して「はい始動」というわけにはゆかず、むしろ航空機のプリフライトチェックにも似た「儀式」が必要となるようですね。
そのほか、マニー・コシュビン氏は「燃料には110オクタンのレース用燃料を使用する必要があること」「燃費はリッターわずか1.3キロ」「タンク容量は72リットルなので、92km走るとガス欠」といった事実を公開していますが、さらに驚かされるのは「タイヤは走行58kmごとに交換が必要で、その交換費用は約8,000ドル(約120万円)」ということ。※新車納車時にはミシュラン製のレーシングスリックタイヤが2セット付属するらしい
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なお、この120万円という価格につき、一般的なタイヤ価格に比較すれば非常に高価ではあるものの、「専用設計を持つがゆえに高価であった」ヴェイロンに比較するとまだ安価であるように思います。
実際のところ、このボリードを本当にサーキットで走らせる人は「ごく一部」だと思われ、ほとんどのオーナーはこのクルマをガレージに保管したままになると考えられますが、「全く走らせなかったとしても」5年に一度のタイヤ交換が(劣化を考慮し)義務付けられているといい、そのほか「シートベルト、消火器、燃料タンクのブラダー(内袋)」なども、定期的な交換が必要なのだそう。※たとえ1回も走っていなくても、これらは一定年数が経過すれば”寿命”が来るため、維持費はとんでもない額になる
これらを考慮すると、ブガッティ・ボリードを所有するということはとは、富と情熱、そして究極の忍耐が試される行為であると考えてよく、走るたびに数十万円(あるいは数百万円)が消えていくこのマシンは、単なる移動手段ではなく、芸術品であり、エンジニアリングの極致だとも言い換えることも可能です。
そしてこれはまさに、“F1マシン”もしくは航空機を個人で所有するようなものなのかもしれませんね。
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参照:Manny Khoshbin(Youtube)