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ポルシェの異端児?ポルシェ初の「水冷」「AT」を採用した924が今、再評価される理由とは

ポルシェの異端児?ポルシェ初の「水冷」「AT」を採用した924が今、再評価される理由とは

Image:Porsche

| 911の影に隠れてしまってはいるが、924も紛れもないポルシェである | 

この記事の要約

  • 歴史的マイルストーン: ポルシェで初めて「水冷エンジン」と「フルオートマチック」を採用した画期的モデル
  • 波乱の開発史: フォルクスワーゲン(VW)との共同開発から、オイルショックを経て誕生した背景
  • 隠れた実力派: FR(前エンジン・後輪駆動)レイアウトによる優れたハンドリングと、後の944へ繋がる系譜
  • 購入ガイド: 現在の中古市場相場(約75万円〜)と、激レアな限定モデルの存在
【極秘ミッション】ポルシェは初のフロントエンジン車「924」を開発する際、「それと知られないよう」BMW 2002を購入し、2002に偽装して開発を行っていたことが明かされる
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「空冷・RR・マニュアル」の常識を打ち破った革新者

ポルシェといえば「空冷エンジンをリアに積んだ911」を誰もが想像しますが、その歴史を大きく変えた一台が存在します。

それが1976年に登場した「ポルシェ 924」。※画像は924カレラGT

Porsche-924 (4)

Image:Porsche

924は、ポルシェとして初めて「水冷エンジン」をフロントに搭載し、さらにはブランド初の「オートマチック車」を設定した、まさに「初めて尽くし」の異端児ともいうべき存在です。

当初こそは伝統主義者から驚きをもって迎えられたものの、その革新的な設計は現代ポルシェの多角化(カイエンやパナメーラなど)の礎となった存在であることは否定できず、いまだからこそこの924にスポットライトがあたっている、というわけですね。

ポルシェと「924」──忘れられた“予想外”の名車。このクルマなくしてポルシェは会社を維持できず、そして今のポルシェは存在しなかったであろう
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VWとの提携が生んだ「フロントエンジン」の奇跡

924の誕生は、VWとポルシェの共同プロジェクトから始まっており、当初はVWのスポーツカーとして開発が進められていましたが、1973年のオイルショックの影響、そしてポルシェがこだわりすぎたためコストが高額になってしまったため、VWがプロジェクトから撤退することに。

その後ポルシェがその権利を買い取る形で自社ブランドの入門モデルとして世に送り出した、という経緯が存在します(つまり、最初からポルシェとして計画されたわけではない)。

Porsche-924 (1)

Image:Porsche

ポルシェ 924(US仕様)主要スペック

項目スペック
エンジン2.0L 直列4気筒(水冷)
最高出力95 〜 110 hp(欧州仕様は125hp)
駆動方式FR(フロントエンジン・リア駆動)
トランスミッション4速/5速MT または 3速AT
特徴ポルシェ初の量産水冷エンジン車、初のAT設定

走りの質を追求した「トランスアクスル」レイアウト

924の特筆すべき点は、エンジンをフロントに、トランスミッションをリアに配置する「トランスアクスル」方式を採用したこと。

これにより、50:50に近い理想的な前後重量配分を実現し、911とは一味違う、極めて素直で軽快なハンドリングを実現し、のちの「(928、944、968につながる)トランスアクスルファミリー」の始祖となっています。

市場での位置付けと幻のバリエーション

924はその後、ターボモデルや、より強力な2.5Lエンジンを積んだ「924S」へと進化し、後の名車「944」へとバトンを繋ぎます。

また、歴史の闇に消えたプロトタイプとして「924 ターボ タルガ」が存在し、911で人気だったタルガトップを924にも導入する計画でしたが、コストと剛性の問題で市販化は見送られてしまい、もし発売されていれば、80年代のオープンカー市場を席巻していた可能性も。※ただし924は当時「高価になりすぎた911にかわるエントリーモデルという役割が与えられていたため、価格の上昇は懸念すべき要素であった

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Image:Porsche

ポルシェはかつて924ターボ「タルガ」の開発を行っていた。走行わずか328kmのプロトタイプを残して計画が廃棄されたその理由とは
ポルシェはかつて924ターボ「タルガ」の開発を行っていた。走行わずか328kmのプロトタイプ1台を残して計画が廃棄されたその理由とは

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結論:今こそ狙い目?924の購入ガイド

現在、ポルシェ 924は「クラシックポルシェへの最も手頃な入り口」として注目されており・・・。

  • 手頃な価格帯: コンディションによりますが、北米だと約5,000ドル(約75万円)程度から探すことが可能。状態の良い個体やターボモデルは15,000〜25,000ドル程度で取引されている※ただし日本市場だと現在4台しかカーセンサーに登録されておらず、すでに価格が高騰し200~300万円台である
  • 究極のコレクターズアイテム: ホモロゲーションモデルの「924 カレラ GT」は世界に406台しかなく、価格は8万ドル〜12万ドル(約1,200万円以上)に達することも。

「ポルシェ=扱いにくい」という既成概念を覆す924は、ATでゆったり流したいファンにとっても、FRのハンドリングを楽しみたい愛好家にとっても、唯一無二の選択肢と言えるのかもしれません。

Porsche-924 (2)

Image:Porsche

知っておきたい関連知識:なぜ当時は批判された?

登場時、924は「VW製のエンジンを積んだポルシェ」として一部の熱狂的なファンから強い批判を浴びており(エンジンがVWのバンと共通だった時期もあった)、しかしその合理的な設計と高い信頼性が結果としてポルシェを経営危機から救うヒット作となったのもまた事実。

このあたりはボクスターやカイエンが「当初は批判されつつも」ポルシェの屋台骨を形成し、やがては正当な評価を獲得するようになったという経緯と似ているように思います。

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参照:Porsche

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