
| 現時点ではPHEV、EREVが消費者に厚く支持されているが |
もし本当にその予言が実現すれば「一大事」である
「プラグインハイブリッド(PHEV)やレンジエクステンダー(EREV)の勢いは、すでにピークを過ぎた」。
2026年4月11日、北京で開催されたフォーラムにて中国自動車技術の第一人者である清華大学の欧陽明高教授が”業界を震撼させる”予測を発表したとして話題に。
現在、中国市場を牽引しているハイブリッド勢に対し、教授は「2040年にはピュアEV(BEV)が市場の90%を占め絶対的な支配者になる」と断言して関係者を驚かせていますが、なぜ今絶好調のプラグインハイブリッドが衰退し、EVが勝利すると言えるのか?
教授がここで示した「エネルギー効率」と「全固体電池への慎重な視点」、そして2040年に向けた驚愕のロードマップを見てみましょう。

【この記事の要約:3つのポイント】
- EV一強時代の到来: 2040年までに中国の乗用車市場はBEV対PHEVが「9:1」の比率になると予測
- 圧倒的な効率差: BEVのエネルギー効率は水素車(水素内燃機関)の2倍、合成燃料車の4倍。この差が勝敗を決める
- 全固体電池への警鐘: 2030年末には実用化が見込まれるが、過度なマーケティング競争には慎重であるべきと指摘
欧陽教授が描く「2040年までのデジタル・ブループリント」
教授の予測は非常に具体的で、今後中国の自動車市場は段階的に「純電気駆動」へと集約されていくと述べています。
中国新エネルギー車(NEV)市場シェア予測
| 年次 | NEV全体シェア | BEV:PHEVの比率 | 予測される市場環境 |
| 2030年 | 70%超 | 7:3 | BEVが主流に。商用車も50%以上がNEV化。 |
| 2035年 | 80%超 | 8:2 | ほぼ全ての新車が電動化。BEVが圧倒的優位。 |
| 2040年 | 80%超 | 9:1 | 「ルート論争」が終結。BEVが9割を支配。 |
なぜBEVが勝つのか?「緑の電気」の活用効率

教授がBEVの勝利を確信している最大の理由は「エネルギー効率」だといい、再生可能エネルギー(グリーン電力)を最も効率よく動力に変えられるのはBEVであって「水素や合成燃料を用いる内燃機関は製造・輸送プロセスでの損失が大きすぎる」と指摘。
この「効率の壁」がある限り、複雑な機構を持つPHEVはいずれ淘汰される運命にあるという論理を展開しています。
実際のところ、電力の多くは「火力」つまり石化燃料によって発電されているものの、「効率」という点で考えるならば、石化燃料を輸送するよりも、石化燃料で発電した電力を送電するほうがはるかに優れており、教授の言うことにも頷けます。
全固体電池と安全性へのリアルな視点
なお、現在業界が熱狂している「全固体電池」について教授は冷静な分析を行っており・・・。
- 科学的課題: 界面反応や熱安定性など、未だ解決すべき課題が多く残っている
- 登場時期: エネルギー密度300Wh/kgを達成する全固体電池が登場するのは2030年末になると予測
- 特許とコスト: 中国はすでに全固体電池関連の特許で世界シェア44%を占め、硫化物電解質の価格も100万元/トン以下(数年前の20分の1)まで下落しており、準備は着実に進んでいる
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また、リチウムイオン電池の安全性についても2020年のBYD「ブレードバッテリー」登場を大きな転換点とし、今後は「燃えない・爆発しない」という厳格な新基準の導入が必要だと強調しています。
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結論
欧陽教授の予測は現在PHEVに注力している多くのメーカーにとって背筋が凍るような通告かもしれません。
しかし、これは「中国が自動車大国から自動車強国へ」脱皮するための最終ステップであると教授は述べており、2030年にはNEVの保有台数が最大1.5億台に達し、その電力の6割近くがクリーンな再生可能エネルギーで賄われる。
そんな「真のゼロエミッション」が実現する2040年、ぼくらのガレージにはガソリンはもちろん、水素や代替燃料を使用するエンジンすら持たない、純粋な電気自動車が鎮座している可能性が非常に高いのかもしれません。
PHEVは「 transition(移行)」のための道具に過ぎない?
現在、BYDやLi Auto(理想汽車)がPHEVやレンジエクステンダーにて大成功を収めていますが、今回の教授の発言は、それらをあくまで「BEVへ移行するための期間限定の妥協案」として捉えていることを示唆しています。

インフラが整い、バッテリー技術が成熟(特に2030年の全固体電池の登場)すれば、重くて複雑なハイブリッドシステムを積む理由はなくなるという”極めて合理的な”考え方を示しており、日本の自動車メーカーが強みとするハイブリッド技術が2040年の中国で「残り1割」の隙間産業になってしまう可能性も見えています。
そしてこのタイムリミットをどう捉えるかが、今後の各自動車メーカーの命運を分けることとなりそうですね。
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参照:CarNewsChina











