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| ベントレーはロールス・ロイス、ジャガーとも異なる「独自のラグジュアリー」を追求 |
そして大きなテーマは「環境」「サステナビリティ」である
イギリスの超高級車メーカー、ベントレーモーターズがアースデー(4月22日)に合わせて第4回目となる「サステナビリティ報告書」を公開。
ここでその内容を見てみましょう。
【要約】ベントレー「サステナビリティ報告書2025」の重要ポイント
- 史上最低のCO2排出量: 2025年、フリート全体のCO2排出量において、ブランド史上最低数値を達成
- 2026年、新時代の幕開け: ベントレー初の完全電気自動車(BEV)を2026年中に初公開することを明言
- 「Beyond100+」戦略: 2050年のネットゼロ達成に向け、電動化だけでなくeFuelや直接空気回収(DAC)にも投資
- クラフトマンシップとの両立: ラグジュアリー、パフォーマンス、職人技を妥協せず、持続可能な未来を再定義
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「罪悪感のない贅沢」へ。ベントレーが宣言した動物への配慮と倫理的調達によるレザーの「新・最高級」基準とは
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ラグジュアリーの定義が変わる。ベントレーが目指す「妥協なきサステナビリティ」とは
現在、自動車業界は歴史的な大転換期にありますが、ベントレーの姿勢に揺るぎはなく、独自の戦略「Beyond100+」に基づき、高級車ならではの圧倒的な品質とパフォーマンスを維持しつつ、「いかにして地球環境に貢献するか」を重視しています。
そして今回の報告書は、その具体的な「進捗と自信」を世界にあらためて示すものとなったわけですね。
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ベントレー、長期成長計画「Beyond100+」戦略を更新。完全電動化は2035年以降に延期、新型ラグジュアリーSUVを2026年発表へ
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2026年、ついにベールを脱ぐ「初の電気ベントレー」
最も注目すべきは、ベントレー初の100%電気自動車(BEV)のスケジュールが、予定通り2026年の公開に向けて順調に進んでいるという点です。
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ベントレー初のEV、その名は「バーナート」?伝説のレーシングドライバーの名を冠することで「ベントレーの歴史をガソリン時代から電動化へ」橋渡しか
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ベントレーの電動化ロードマップと取り組み
| 項目 | 内容 |
| 2026年 | ブランド初のBEV(完全電気自動車)をワールドプレミア |
| 動力源の柔軟性 | BEVに加え、PHEV(プラグインハイブリッド)やICE(内燃機関)の選択肢も継続 |
| 脱炭素化技術 | eFuel(合成燃料)の推進、直接空気回収(DAC)への投資 |
| 物流のグリーン化 | 持続可能な航空燃料(SAF)を使用したロジスティクスの拡大 |
あれだけ「エレクトリック」を推進し、実際にEV「スペクター」を発売したロールス・ロイスすら「ガソリンエンジンに戻る」という戦略を採用する中、ベントレーは相変わらず「エレクトリック」。
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いったいこれまでの姿勢はなんだったんだ・・・ロールス・ロイスが2030年までの「完全EV化」を白紙撤回。「顧客はV12を愛している」と述べ戦略を完全変更
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もちろん、現在の市場の動向に合わせて(当面は)ハイブリッドを展開するものの、それでもベントレーは「EVへの転換」を予定通り進めてゆくということになりますが、その理由は「世の中のトレンドは変わりやすく、いまのガソリン重視の傾向が急激に廃れ、EVを求める時代がやってくる」と睨んでいるから。

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そしてこの流れにおいて、ベントレーは単に「電気自動車を作る」だけでなく、製造から廃棄に至るライフサイクル全体での環境負荷低減に注力し、「環境」と「電気」とを結びつける戦略を採用しているのは特筆に値するところだと思います。
たとえば、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニといったスポーツカーメーカーは「電気」を「環境のためではなくパフォーマンス向上のために活用する」という一貫した姿勢を見せているものの、ベントレーは「環境のために電動化を進める」というスタンスを強調しているというわけですね。
さらにベントレーは内装に使用する素材、製造過程にて使用する養生のたぐいについても「環境への配慮」を強調しており、現時点ではもっとも「環境への配慮」を押し出している自動車メーカーなのではないか、とも捉えています。
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【企業としての進化】「人」と「コミュニティ」を大切にするブランドへ
ただ、ベントレーが目指すのは「環境対策」のみではなく、これを含めた「包括的なサステナビリティ」。
そしてこのサステナビリティの中には以下の要素も含まれており・・・。
- 人材育成: 電動化時代に必要な「未来のスキル」への投資を強化して従業員の教育を拡大
- 社会貢献: 「Advancing Life Chances」プログラムを通じて、環境保護だけでなく教育や芸術文化への支援も強化
- 透明性の確保: 今回の報告書では、実際に現場で働く従業員による9つのビデオケーススタディが公開され、いかに社員一人ひとりがこの目標に情熱を持っているかが可視化される
つまるところ、環境対策に加え、人の幸福といった大きな視点からサステナビリティを実現しようという考えを持つことがわかります(ベントレーは以前から、人種や性に関する多様性にスポットライトを当てている)。
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なぜ高級車ブランドが「eFuel(合成燃料)」にこだわるのか?
ベントレーは今回、BEVへの移行を進める一方で「eFuel(合成燃料)という選択肢を保ち続ける」とも言及しており、これにはラグジュアリーブランドならではの深い理由が存在します。
どういうことかというと、ベントレーのような超高級車は、数十年、あるいは100年以上にわたって愛用される「資産」としての側面があり、現在走っている(すでに販売済みの)ガソリンエンジンのベントレーを、将来にわたってカーボンニュートラルにて走らせ続けるためには、既存のエンジンで使用できるクリーンな燃料(eFuel)の開発が不可欠ということに。
「新しい電気自動車を売る」ことと「過去の名車を大切にする」こと。この両立こそが、ベントレーの考える真のサステナビリティであり、すでに販売したクルマに対しても責任を持つという姿勢が「超高級車ブランドの条件」であり、現代における持続可能性の実現手法なのだとも考えられます。
実際のところ、フランク=ステッフェン・ヴァリザーCEOは、「真のラグジュアリーとは、何を作るかだけでなく、いかに責任を持って作るかによって定義される」と述べており、これは「ベントレーの決意」とも受け取ることができる発言だと思います。

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結論:未来のベントレーは、静寂と情熱を併せ持つ
現時点では、2026年に登場する初の「エレクトリック」ベントレーがどんなクルマになるのかはわかりませんが(EXP 15 コンセプトとして示されたサルーンではなく、SUVとなる可能性が高い)、これまでの「W12エンジン」や「V8エンジン」が提供してきた感動を、「電気という新しい言語でどう表現するのか」には期待がかかるところ。
現時点では「スポーツカーセグメント」にいてもピュアエレクトリックカーの成功例はなく、超高級車においても(メルセデス・ベンツEQSやロールス・ロイス・スペクターの失速から見て)成功例がない状態。
そこへベントレーが「あえて」挑むこととなり、そしてその武器はクルマ本体というよりは「サステナビリティ(その中でもメインは”環境”)」というイメージによるものと考えられ、これが市場にどう受け入れられるのかにも要注目だと思います。

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