
| ただしメルセデス・ベンツは品質や満足度に関するランキングではむしろ順位が「下のほう」である |
信頼性の定義が変わる?「壊れない」と「リコールが少ない」の差
新車購入時、ユーザーが最も重視するポイントが「価格」から「信頼性」へとシフトしていることが様々な調査からわかっていますが、一方でぼくらが信じている「信頼性ランキング」の裏側には意外な事実が隠されているということも明らかになっています。
今回、最新のiSeeCarsによる調査からは「過去10年以上にわたり最もリコールが少ないブランド」の王者として君臨し続けているメーカーが判明しており、誰もが「トヨタ」や「レクサス」を想像する中、そのトップに立ったのは意外なあの欧州ブランド、具体的にはメルセデス・ベンツです。
記事の要約(この記事のポイント)
- リコール最少王者: メルセデス・ベンツが10年以上「最もリコールが少ないブランド」の首位を維持
- 意外な格差: コンシューマー・レポートの信頼性調査では下位常連のメルセデス・ベンツが、リコール件数では圧倒的に優秀
- リコール最多ブランド: テスラがワースト1位。ただし、OTA(無線アップデート)による修正も含まれる点に注意
- 要注意車種: フォード F-150やポルシェ・パナメーラは平均よりも大幅にリコール回数が多い傾向

メルセデス・ベンツが「リコール最少」であり続ける理由
今回公表された調査によれば、メルセデス・ベンツは「リコールが最も少ないモデル」トップ33の中に、なんと9モデルもランクインさせています。
特筆すべきは、この傾向が昨日今日始まったことではないという点で、2014年の調査(過去30年分のデータを遡ったもの)でも、メルセデスは100台販売あたりのリコール発生率がわずか0.41%という驚異的な数値を記録しており、長年にわたって「リコールがものすごく少ないブランド」であることがわかります。
「故障」と「リコール」は別物?
ここで生じるのが面白い矛盾で、というのも信憑性が高いとされるコンシューマー・レポートの”信頼性ランキング”だとメルセデス・ベンツは常にランクが低く、最新版では19位と低迷しているから(シボレーやVW、マツダよりも下位で、下から数えたほうが早い)。
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そして両者の詳細を見てゆくと、メルセデス・ベンツは「スイッチが入らない」「ナビがフリーズする」といった日常的な不具合(信頼性)こそ多いものの、「走行不能や事故に直結する設計ミス(リコール)」が極めて少ないという、ある意味でプロフェッショナルな設計思想が見えてくるのですが、これは「メルセデス・ベンツはインフォテイメント系に弱い」という事実、加えて「もしインフォテイメント系を除くならば、メルセデス・ベンツは極めて高い信頼性を誇る可能性がある」という事実をも示しているわけですね。

ブランド別ランキング:リコールの多いクルマ、少ないクルマ
iSeeCarsの2026年最新データに基づき、主な指標を抜粋してみると以下の通りとなっており・・・。
リコールが少ない(優秀な)ブランド・車種
- メルセデス・ベンツ: CLA、GLA、GLCがリコール最少トップ10にランクイン。
- トヨタ・レクサス: 常に上位をキープする「安定の選択肢」。

リコールが多い(注意が必要な)ブランド・車種
| 順位 | ブランド/車種 | 特徴・背景 |
| ワースト1位 | テスラ (ブランド全体) | Model Y, 3, X, Sすべてがワースト5入り。多くは無線(OTA)にて修正。 |
| ワースト車種 | ポルシェ・パナメーラ | 今回の調査で「最もリコールが多いモデル」に認定。 |
| 最多件数 | フォード (メーカー全体) | 2025年に続き、2026年もF-150のバックカメラ問題などで記録を更新中。 |
| その他注意 | スバル・アセント | スバル全体は信頼性が高いが、このモデルはリコールが多い。 |
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テスラとフォードが抱える「リコールの嵐」
現在、最も多くのリコールに直面しているのがテスラとフォード。
テスラの場合:そのほとんどが「オーバー・ジ・エア(OTA)」、つまりスマートフォンのように無線で修正できるソフトウェアアップデート。ディーラーに足を運ぶ必要がないためオーナーの負担は少ないものの、当局(NHTSA)はこれらを「リコール」としてカウントするため、統計上の数字が跳ね上がってしまう
フォードの場合:一方こちらは深刻で、2025年に続き2026年もすでに170万台以上のリコールを届け出ており、特に北米ベストセラーのF-150は平均的な車両の約4.4倍ものリコールが発生すると予測されるうえ、物理的な修理が必要なケースが大半を占めている
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リコール数で「メーカーの姿勢」が見える
リコールが多いことは必ずしも「品質が悪いクルマを作っている」ことを意味するものではなく、むしろ、メーカーが小さな欠陥も隠さずに公表し、責任を持って修正しようとする「誠実さ」の表れだと捉えることも可能です。
その一方、メルセデス・ベンツのように10年以上にわたって「リコールが少ない」という実績は、車両の基本設計段階での徹底的なシミュレーションと品質管理が行き届いている証拠だと言え、しかしユーザーの不満は近年ならではの「インフォテイメント系にある」という事実をも浮き彫りにし、消費者の満足度を向上させるには「クルマの基本性能のみでは不十分になった」という(近年ならではの)現実も。
これらリコール統計から見えてくるのは、「メルセデス・ベンツは重大なミスを犯さないが、細かいお節介(故障)は焼く」「トヨタは全てにおいてバランスが良い」「テスラは未完成をアップデートで補完する(ベストエフォート)」という、各メーカーの性格です。

10年以上リコール最少という称号を持つメルセデス・ベンツ。
その誇り高いエンジニアリングの真価はリコールという「不名誉な通知」が手元に届かない、オーナーの平穏な日常によって支えられているということになりますが、参考までにメルセデス・ベンツは「格納式ドアハンドル」についてはほぼ最後発の部類です。
同社の技術力をもってすれば「(構造的には)難なく実現できた」はずではありますが、なかなかこれを市販車に用いなかった理由は「ありとあらゆる状況において、確実に動作することを検証するのに時間を要した」からだといい、逆にこれを導入したからには「どのような環境、事故、トラブル下においても絶対にドアハンドルが動作する」ということに。
こういった「ギャランティー型」のクルマづくりがメルセデス・ベンツの真骨頂というわけですね。
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参照:iSeeCars











