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自動車業界「史上最悪」のトレンド?新型車の内装が「ピアノブラック」だらけでツルピカな理由とは。そしてこのトレンドはいつ終わりを告げるのか

ポルシェのインテリア(ピアノブラック)

| 正直、これが「評判が良い」とは思えないが |

そこにはタッチパネル同様、自動車メーカー側の「都合」が隠れていた

この数年、最新のクルマ選びにおいて避けて通れないのが「内装を彩るピアノブラック」のパネル」。

ショールームの照明下では宝石のように輝き、高級感を演出するこの素材ではありますが、いざ所有してみると「指紋」「傷」「反射」の三重苦に悩まされるユーザーが続出しているとも言われているのが現状です。

それでもなぜ、自動車メーカーがこれほどまでに不評な素材を使い続けるのか、ここでその内情について考察してみたいと思います。

記事の要約

  • 人気の理由: 安価な樹脂を「高級に見せる」魔法の素材であり、開発コストを劇的に抑えられる
  • 最大の欠点: 指紋が目立ち、微細な傷がつきやすく、太陽光の反射が運転を妨げることも
  • 業界の裏側: 巨大化するタッチパネルとの親和性が高く、デジタル化の波に乗って増殖中
  • 今後の展望: マツダやホンダ、EVメーカーの一部では「脱ピアノブラック」やマット仕上げへの回帰が始まっている
アストンマーティン・ヴァンテージのインテリア(ピアノブラック)


なぜ「ピアノブラック」は自動車業界を席巻したのか?

かつて、クルマの内装で高級感を演出する素材といえば「本木目(ウッドパネル)」。

しかし、本物の木を使うには、何層もの塗装や研磨、さらには割れを防ぐ特殊加工が必要で、莫大なコストがかかります。

そこで登場したのがポリカーボネートやABS樹脂を鏡面仕上げにした「ピアノブラック」だとされ、2013年頃のデトロイトモーターショーを境に、このトレンドは爆発的に広まることとなったわけですね。

ランボルギーニ・ウラカンのインテリア(ピアノブラック)

なお、現代において特にこれを好むのはメルセデス・ベンツ、そしてポルシェにフォルクスワーゲン、ランボルギーニといったフォルクスワーゲングループだと認識していますが、ポルシェの場合は「電源オフ」ですべてをブラックアウトさせるという意図を持っており(電源ONで透過照明による操作系が浮かび上がる)、そのため急速に”この仕様”が拡大することとなっています。※ポルシェはツルっとした内装を好むようで、車種によっては電源OFFでエアコンルーパーが閉じて「平ら」になるものまでがある

ポルシェのインテリア(ピアノブラック)

自動車メーカーが採用する3つの経済的理由

  1. 圧倒的なコストパフォーマンス: 本木目やカーボンファイバーに比べ、大量生産が容易で、金型さえあれば複雑な形状も安価に成形できる
  2. デジタル画面との調和: 現代の車に不可欠な大型タッチパネルは、消灯時に「黒い鏡」に。その周囲をピアノブラックで固めることで、画面と内装を一体化させ、モダンな雰囲気を演出できる
  3. ショールームでの「見栄え」: 顧客が車を購入する瞬間、つまり展示車を見た時の第一印象を上げるのにこれほど効果的で安上がりな素材はない

そして「コスト」「見栄え」という点において、この「ピアノブラックのパネル」は「タッチ式スイッチ」とよく似ているのかもしれません。

メルセデス・ベンツのインテリア(MBUXスクリーン)
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所有者が直面する「理想と現実」のギャップ

しかし、納車から数日も経てば、多くのオーナーがこの素材の扱いにくさに気づくことになり・・・。

ピアノブラックが「最悪」と言われる理由

  • 指紋と皮脂の温床: 触れた瞬間にベタベタと跡が残り、家族で使うクルマやタッチパネル周辺では常に「汚れ」が目立つことに
  • 修復不能なマイクロ傷: 柔らかい布で拭いたつもりでも、目に見えない砂埃で簡単に「洗車傷」のような細かな筋が入ってしまい、しかも鏡面ゆえに、一度ついた傷を消すのは至難の業
  • 容赦ない太陽光の反射: ドライブ中、ダッシュボードやセンターコンソールのパネルに反射した日光が目に入り、視界を妨げるという安全上の問題も指摘されている

実際のところ、こんな感じで「指紋がべったり」なのがピアノブラックパネルの課題でもあり、これは著しく美観を損なうことに(多くの人が乗り降りする展示車だとその傾向が顕著)。

メルセデス・ベンツのインテリア(ピアノブラック)

内装素材の機能・特徴比較

内装素材としての特性を従来素材と比較するとこんな感じで・・・。

特徴ピアノブラック本木目(ウッド)カーボンファイバーマット樹脂(ABS)
見た目の高級感高(新品時)極高スポーティ中〜低
製造コスト極高極低
傷の目立ちにくさ最悪(非常に目立つ)
メンテナンス性困難普通普通容易
耐久性中(劣化が早い)極高
メルセデス・ベンツのインテリア(ピアノブラック)

「脱ピアノブラック」を掲げるメーカーの台頭

この「ピアノブラック疲れ」を感じているのはユーザーだけではなく、一部の先見明快なメーカーはすでに対策を講じている例も。

  • マツダ: 最新モデルでは、センターコンソールに独自のレーザーエッチングを施し、光の反射を抑えつつ質感を高める手法を採用
  • ホンダ(シビック等): 手が触れる部分にはハニカム構造のメッシュやマット素材を配し、ピアノブラックの使用面積を限定することで「実用的な高級感」を両立
  • 起亜(EV9): フラッグシップEVでありながら、あえてマットなサテンクロームやリビングルームのような温かみのある素材を採用し、リラックスできる空間を提案

参考までにこちらがマツダで・・・。

マツダのインテリア(ピアノブラック)

こちらはホンダN-BOX。

ざらついた表面を持つ素材、マーブル調の素材などを使用しており、これは子どもが乗車しあちこち触れるクルマにおいては「ありがたい」仕様なのかも。

ホンダN-BOXのインテリア

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ヒョンデだとこういった「ブラシ仕上げのアルミニウム」っぽいパネルを使用しており・・・。

ヒョンデ コナのインテリア

ポルシェは一部車種にて「木目」をオプションとして用意(911のようなスポーツカーラインアップにおいては、アナログ回帰、質感重視)の傾向が感じられる)。

なお、ここ最近になって急激に各自動車メーカーにて「木目パネルの採用」が増えているものの、かつての木目と異なるのは「ニスでツヤツヤ」ではなく「マットな質感」を持つことで、これはなかなかに高級感がある仕上げだと思います。

ポルシェ911のインテリア(ウッドパネル)


結論:ピアノブラックとどう付き合うべきか?

ピアノブラックの悪夢はすぐには終わりそうになく、大型スクリーンが内装の主役である限り、安価でそれらしい雰囲気を作れるこの素材は今後数年は主流であり続けるのは間違いなし。

これから新車を購入するのであれば、「手が触れる場所にピアノブラック素材があるかどうか」をチェックし、ドアスイッチやシフト周りがピアノブラックなら、オプション選択によってその面積を縮小させる、納車直後に専用のプロテクションフィルムを貼るかオプションあるいはアフターマーケット製のカバーを装着したり、あるいはグローブボックスに常に清潔なマイクロファイバークロスを忍ばせておく覚悟が必要でなのかもしれません。

クルマの内装は、眺めるだけのものではなく、乗るたびに触れるものでもあり、見た目の輝きに惑わされず、数年後のコンディションを想像することが”後悔しないクルマ選び”の鍵となりそうですね。

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最近のトレンド分析によると、ユーザーの関心は「見せかけの高級感」から「サステナビリティ(持続可能性)」と「触感の心地よさ」へとシフトしているといい、たとえばリサイクルペットボトルを使用したファブリックや再生木材を用いた内装などは、数年後のリセールバリューにおいても「古臭くない、意識の高い選択」として評価される可能性が高まっているのだそう。

なお、この分野において一歩進んでいるのはMINIそしてBMWだという印象ですが、こういった「新しい風潮」「それに対応する新しい技術」が次の自動車の内装を作ってゆくのでしょうね。

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参照:Carbuzz

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