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シャオミSU7 ウルトラ「ダクト付きボンネット」問題に判決が下る。「詐欺とはいえないが、誇大広告」と認定され手付金返還命令

シャオミSU7ウルトラの俯瞰図とホイール

Image:Xiaomi

| 「スマホ業界」と「自動車業界」との常識の違いが今回の問題の原因に |

シャオミの言い分も理解でき、対応の内容としても十分であったとは思われるが

中国発、ハイテク巨人が放つハイパフォーマンスEV「シャオミ(Xiaomi)SU7 Ultra」。

その圧倒的なパフォーマンスに注目が集まる中、一部のオーナーから「カーボン製ダクト付きボンネットに機能性がない」というクレームが出されていたのもまた事実(シャオミはこれがSダクトのように機能しダウンフォースを発生させると宣伝していたが、実際には空気が貫通しなかった)。

そしてこれを受け、中国の裁判所が下した第一審判決はEVメーカーとしての信頼性とマーケティングの境界線を問う非常に興味深いものとなり、ここではこの「ダクト騒動」の結末、そしてシャオミが直面している課題について深掘りします。

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この記事の要約

  • 裁判の争点: シャオミSU7 Ultraのオプション装備「カーボンファイバー製デュアルダクト・ボンネット」の機能性が虚偽(詐欺)かどうかが争われる
  • 判決内容: 済南市歴城区人民法院は「詐欺には当たらない」としながらも、広告に「誇大な表現」があったと認定し、手付金の返金を命じた
  • シャオミ側の主張: 「プロトタイプと量産車は異なる」「(ダクトは)プロトタイプのデザイン再現を指したもので、市販化に際しての完全な性能コピーではない」と主張
  • 今後の対応: すでに広告表現は修正され、未納車分への標準ボンネット無償交換やポイント補填などの対応が進んでいる

EV界の風雲児シャオミ、初の法的試練。期待と現実の「ダクト」問題

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Image:Xiaomi


裁判の詳細:誇大広告か、それとも革新への期待か

2026年5月13日、山東省済南市の法院(裁判所)は、あるSU7 Ultraの購入者がシャオミ・オートを相手取った訴訟に対して判決を言い渡すこととなり・・・。

判決のポイント

裁判所は、シャオミのプロモーション資料に「誠実性の原則に反する誇大な内容が含まれていた」と明確に指摘。

しかし、同時に「事実を捏造したり、意図的に真実を隠蔽したりしたわけではない」として、原告が求めていた「3倍の損害賠償」や「手付金の2倍返還」といった、悪質な詐欺に適用される厳しい罰則についてはこれを却下しています。

結果として、2025年3月に締結された売買契約の解除を認め、シャオミに対して2万元(約46万円)の手付金の返金を命じるに留まったというのが今回の判決で、これは双方の言い分の「中間」とも受け取れる内容でもありますね。

シャオミSU7 ウルトラには「初回生産限定」のオプション、「24Kゴールドバッジ」が用意されていますが、今回そのバッジを装着した車両からバッジが盗まれるという事件が発生。

Image:Xiaomi


車種概要と問題の「ダクト」

シャオミSU7 Ultraは、ニュルブルクリンクでの記録更新を目指したプロトタイプの市販版として、極めて高いスペックを誇ります。

そして今回問題となったのは、オプション設定されていた「カーボンファイバー製デュアルダクト・ボンネット」で・・・。

SU7 Ultra(市販モデル)の概要

  • 最高出力: 1,548馬力(プロトタイプ同等のスペック)
  • 0-100km/h加速: 1.98秒
  • 最高速度: 350km/h以上
  • 問題のオプション: カーボンファイバー製デュアルダクト・ボンネット
    • 当初の期待: フロントのダウンフォース増強、冷却性能の向
    • 実際の機能: シャオミが提出した風洞実験レポートによると、ダウンフォースの増加や空気の排出効果は限定的であり、あくまでブレーキ冷却の補助的な役割に留まるとされる
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Image:Xiaomi


なぜ「誇大」とされたのか?

シャオミは、このボンネットを「レプリカ(再現)」という言葉で宣伝しており、しかしユーザーが期待したのは「外見」だけでなく「空力性能」まで含めた完全なレプリカであり、ここに大きな「見解の相違」が生じます。

シャオミ側の弁明

シャオミ創業者、雷軍(レイ・ジュン)氏は2024年10月の発表会で「市販車はプロトタイプとは大きく異なる」と述べていたと主張。

また、車速に応じて閉じる「AGS(アクティブ吸気グリル)」の存在により、このダクトの無効性を証明するために行われた停車状態での送風テスト(ネットで拡散されたもの)は正確な検証ではないと反論することに。

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Image:Xiaomi

市場の反応とポジショニング

ポルシェ・タイカン・ターボGTやテスラ・モデルS Plaidといった、既存のハイパフォーマンスEVが競合となる中、シャオミは「スマートフォンメーカーならではのスピード感とマーケティング」で急成長したという背景も。

しかし今回の判決は自動車という人命に関わり、かつ物理法則に縛られる製品において、IT業界的な「誇大な期待値の醸成」が法的なリスクになり得ることを示唆しており、「誠実かつ正確な表現が求められる自動車メーカー」と「効果を強調し期待を持たせるスマホや家電メーカー」との常識の差があらわれた事例であると捉えることができるのかもしれません。


結論:シャオミは「誠実なメーカー」へと進化できるか

今回の裁判結果は、シャオミにとって「完全な敗北」ではありませんが、ブランドイメージに少なからず影響を与えるものであるとも考えられ、同社はすでに広告表現を修正し、未納車分への標準ボンネットへの無償変更や、既存オーナーへのポイント補填などのフォローアップ策を講じているという状況(シャオミ側の対応は誠実である)。

2026年4月の販売データだとSU7シリーズは月間約2.7万台を販売して前月比で240%以上の急成長を遂げており、急速な拡大期にあるからこそ、ユーザーとの「信頼」をどう築き直すかが今後のシャオミ・オートの命運を分けることとなるものと考えられており、この判決は少なからず他の自動車メーカーに対してもなんらかの影響を与えることになるのかもしれません。


新しい知識と気付き

現代の自動車購入者は、AIやSNSを通じてリアルタイムで情報を精査します。

今回のケースのように、ネットユーザーによる非公式な検証動画がきっかけで法廷論争に発展する例は今後も増えることは間違いなく、メーカー側にとっては「イメージ戦略」よりも、数値に基づいた透明性の高い情報開示がこれまで以上に求められている、というのが現在の中国の自動車販売における現状であり、プロモーションのあり方が変わってくるであろうことも予想されます。

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参照:CarNewsChina

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