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| 歴史の節目を飾る、唯一無二の跳ね馬「HC25」とは |
近代フェラーリの各要素が散りばめられる
テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催された「フェラーリ・レーシング・デイズ」。
ここで世界中の自動車愛好家を驚かせる特別なモデル、HC25」がベールが発表されることに。
このHC25はフェラーリのスペシャル・プロジェクト(Special Projects)プログラムによって誕生したもので、ハイブリッドを持たない「純粋なV8ツインターボ・ミッドシップ」として最後の量産モデルとなった「F8スパイダー」をベースとし、デザインとコンセプトを限界まで突き詰めた、まさに「夢のロードスターの具現化」ともいうべき一台です。
なお、随所には12チリンドリ、SF90 XXストラダーレ、296GTB、ローマやアマルフィなどの要素が含まれていることもわかりますね。
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この記事の要約
- 「HC25」の正体: F8スパイダーをベースに、顧客の要望を反映し2年をかけて完全新設計された世界に1台のワンオフモデル
- デザインの革新: 最後の純ガソリンV8ミッドシップとしての美しさに、最新ハイパーカー「F80」や「12チリンドリ」に通じる未来的なエッセンスを融合
- 市場の希少価値: 電動化へと舵を切るフェラーリにおいて、歴史的なターニングポイントを象徴する極めてコレクターズ価値の高い一台

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2年の歳月をかけた「スペシャル・プロジェクト」の結晶
HC25はフェラーリのチーフ・デザイナーであるフラビオ・マンゾーニ率いる「フェラーリ・デザイン・スタジオ」、そして一人の幸運なクライアントによる緊密な共同作業によって誕生したクルマ。
開発期間には約2年を要したとされ、通常の市販車開発さながらに最初のスケッチから始まり、実物大のスタイリング・バック(クレイモデルのような造形確認用の模型)の製作、そして度重なる検証フェーズを経て”ミリ単位の精度によって”クライアントの理想が形にされることとなっています。

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最大の特徴はフェラーリの「過去(伝統)」と「未来」を繋ぐ架け橋としての役割を与えられている点。
ベースとなったF8スパイダーの持つ肉感的で官能的なシルエットを活かしつつ、最新のフェラーリに通じる未来的でシャープなディテールが随所に盛り込まれています。

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新世代フェラーリの意匠を宿すデザイン
1. 最新フラッグシップ「F80」や「12Cilindri」を予感させるエクステリア
フロントボンネットを横切るグロスブラックの水平バンドは、フェラーリの最新ハイパーカー「F80」や12気筒モデル「12チリンドリ(12Cilindri)」に見られる現代フェラーリの象徴的なアイコンで、サイドプロファイルで最も目を引くのは、車体を前後で視覚的に二分する3次元的なブラックのセンターバンド(これは近年のフェラーリが強く好む要素である)。
このバンドはエアインテークを内包しながら、新設計されたリアスクリーンへと流れるように繋がっており、自慢のV8エンジンを美しく魅せる演出が施されています。

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また、ソリッドアルミニウムから削り出されたロングブレードがドアハンドルと一体化し、サイドビューに劇的なダイナミズムを与えるなど、機能を視覚的に強調するといった手法が採用されていることもわかります。
なお、フェラーリのワンオフモデルは「その後の市販モデルのデザインを示唆する」ことが多く、このHC25に採用されたデザイン要素もまた、のちのロードカーにおいて見ることができるのかもしれませんね。
2. 完全新設計の灯火類とディテール
ヘッドライトには、これまでのフェラーリには採用されたことのない全く新しいモジュールとスリムなレンズを採用し、縦型のデイタイム・ランニングライト(DRL)が精悍な表情を作ります。
ヘッドライトは296GTB、アマルフィのテールランプっぽい構造を持っていて、参考までにこちらはアマルフィのテールランプ。

一方リアセクションも一新され、幅いっぱいに広がるグラフィックの中にスリムなテールランプを内蔵。
メッシュ状の冷却開口部と、ツイン・トラペゾイダル(台形)エキゾーストエンドを組み込んだ迫力のディフューザーが”ただ者ではない”オーラを放っているようにも思います。
3. カラーリングとインテリア
ボディカラーは、洗練されたマット仕上げの「ムーンライト・グレー(Moonlight Grey)」、足元には5本スポークのダイヤモンドカット・アロイホイールが輝きます。
インテリアは洗練されたグレーのテクニカルファブリックを基調としつつ、ブレーキキャリパーやスクーデリア・フェラーリのシールド(エンブレム)と連動した「イエロー」のアクセントが効果的に配され、スポーティかつモダンな空間を演出しているようですね。

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4. 基本スペック・主要諸元
| 仕様・特徴 | |
| ベース車両 | フェラーリ F8スパイダー(F8 Spider) |
| パワートレイン | 3.9L V型8気筒 ツインターボ(ノンハイブリッド) |
| 駆動方式 | MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ) |
| ボディカラー | ムーンライト・グレー(マット仕上げ) |
| ホイール | 5本スポーク ダイヤモンドカット・アロイホイール |
| 主な外装特徴 | フロントブラックバンド、新設計リアガラス(エンジンフード)、縦型LEDヘッドライト、台形ツインマフラー |
| 内装仕様 | グレー・テクニカルファブリック × イエローアクセント |
| 生産台数 | 世界限定1台(ワンオフ) |
なぜ「HC25」はここまで特別なのか?
近年のスーパーカー市場は、環境規制への対応から「ハイブリッド化」や「ダウンサイジング」が急速に進んでおり、それはフェラーリとて例外ではなく、SF90ストラダーレや296GTBなど、電動化技術を組み合わせた驚異的なモデルを世に送り出しています。
しかし、コレクターや熱狂的なファン(ティフォシ)の間では、エレクトリックパワーを借りない純粋な内燃機関、特にフェラーリの歴史を支えてきた「V8ツインターボ」への郷愁とリスペクトが絶えないのもまた事実。
F8シリーズは、その「純ガソリンV8ミッドシップ」の最終章にあたるモデルでもあり、もともと評価の高いF8スパイダーをベースとし、世界に1台のオーダーメイドを仕立てるということは、「自動車史における一時代の終焉を、最も贅沢な形で祝福する」という意味を持つのではないかとも考えられます。
そう考えるならば、パガーニやブガッティなどが展開する数億円規模のワンオフ市場と比較しても、フェラーリの「スペシャル・プロジェクト」が持つブランド力と歴史的文脈の深さは、頭一つ抜き出ているのかもしれません。
自動車史に刻まれる、至高のコレクターズピース
フェラーリHC25は、一人のオーナーの情熱とフェラーリが持つ最高のデザイン&エンジニアリング技術とが融合して生まれた文字通りの「アートピース」です。
伝統的なガソリンエンジンの咆哮と、未来のフェラーリが示すデザイン言語。
その両方を手に入れたこのワンオフモデルは、今後オークションやコンクール・デレガンスなどの舞台で、伝説として語り継がれることは間違いなく、電動化が進む今だからこそ、ぼくらはこの「純粋な情熱の結晶」に、激しく心を揺さぶられるのでしょうね。
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