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フェラーリ 849テスタロッサにはリトラクタブルヘッドライトを採用する可能性があったもよう。それでもなぜ「不採用に」なったのか

フェラーリ849テスラロッサ「アセットフィオラノパッケージ」装着車のエクステリア〜フロント正面
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そこはなんとか実現してほしかったところでもある

スーパーカー世代にとって、「フェラーリ・テスタロッサ」といえば、サイドの巨大なエアインテークとフィン、圧倒的なワイドボディ、そして近未来的な「ポップアップ(リトラクタブル)ヘッドライト」という三種の神器を兼ね備えた「ポスターカー」。

2026年、フェラーリがその伝説の名を冠した最新プラグインハイブリッド(PHEV)スーパーカー「849テスタロッサ」を発表をよした際、多くのファンが期待し、しかし実現しなかったのが「あのリトラクタブルヘッドライト。

実は、フェラーリのデザインチームもまったく同じことを考えており、当初は「(トラクタブルヘッドライトの)完全復活」を目指して極秘裏に動いていたことが明らかになっています。

しかし、なぜ新型849テスタロッサは固定式ライトを選ばざるを得なかったのか?その裏には、現代の自動車メーカーが直面する「グローバル化と安全規制」のシビアな闘い、そしてデザイナーたちの執念が生んだ革新的な代替デザインの物語があったようですね。

フェラーリ849テスタロッサのヘッドライト
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スーパーカーの象徴、「リトラクタブルヘッドライト」はなぜ誕生し、なぜ消滅したのか?その歴史と謎に迫る
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【この記事の要約(3つのポイント)】

  • 幻に終わったリトラクタブルの復活:フェラーリの新型ハイブリッドスーパーカー「849テスタロッサ」の開発時、デザイナー陣は1980年代のアイコンである「ポップアップ(リトラクタブル)ヘッドライト」の完全復活を模索していた。
  • 世界的な「安全規制」の壁:米国や中国、欧州など、主要市場における歩行者保護基準や車両安全法規制の地域差をクリアすることが現代の技術・デザイン基準では不可能なことがわかり、不採用が決定した。
  • 伝統オマージュの新デザインで解決:ポップアップの代わりに、名車「365GTB/4デイトナ」や「288GTO」を彷彿とさせるフロントの「ワイドなブラックバンド」を採用し、ライトをスリムに見せる新世代のアイデンティティを確立した。
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詳細:なぜ現代の安全基準は「ポップアップライト」を許さないのか?

849テスタロッサのリードデザイナーを務めるジェイソン・フルタード氏は、オーストラリアの自動車メディア『CarExpert』のインタビューに対し、1970年代から90年代のフェラーリ黄金期(288GTOやF355、2003年まで伝統を守った456Mなど)への最大のオマージュとして、ポップアップライトの復活を本気で検証していたことを明かしています。

主要市場で異なる「法規制」という巨大な障壁

ただし残念なことに、検証の結果、チームは「現代の法規制をクリアしながら、テスタロッサにふさわしい美しいポップアップライトを作ることは不可能である」という結論に達したといい、フルタード氏は特に米国と中国の異なる車両安全基準を同時に満たすことの難しさを挙げています。

さらに、欧州をはじめとする先進国で年々厳格化されている「歩行者保護基準(万が一の衝突時に歩行者へのダメージを軽減する構造)」をクリアするためには突起物となり得る可動式ライトは圧倒的に不利となり、世界中で販売するグローバルモデルである以上、特定の国で売れないリスクを冒すわけにはいかなかったというわけですね。

なお、ここでちょっと気になるのが「どういったリトラクタブルヘッドライト」を再現しようとしていたのか。

フェラーリ・テスタロッサ(ロッソ)のフロント
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実際に「かつての」テスタロッサのようなヘッドライトを新型テスタロッサにもたらそうとしていたのかどうかはナゾですが、フェラーリは直近で「12チリンドリ マヌアーレ」を発表しており、これは「重量が増え、サーキットでのラップタイムが遅くなる」にもかかわらず投入されたデバイスです。

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こういった行動は以前のフェラーリであれば考えられなかったことで、というのもかつてのフェラーリにとってはラップタイムこそが圧倒的なトッププライオリティであり、その他のことは重要課題ではなかったから。

そしてリトラクタブルヘッドライトは(それがどのような構造であれ)機構が複雑になって重くなってしまい、かつフロントオーバーハングに重量物が位置するという点において「速さにとっては負担意外の何者でもない」存在でもあり、しかしフェラーリがこれの採用を検討しようとしていたということは、現代の「変わりつつあるフェラーリ」を示唆する事象なのかもしれません。

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フェラーリ テスタロッサのエンブレム
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アイライナー「ブラックバンド」による逆転の発想

かくしてポップアップライトの夢が絶たれたフェラーリではありますが、単に普通のライトを付けるのではなく、新たな手法で過去の名車へのオマージュを捧げることとし、それが左右のヘッドライトを繋ぐようにフロントマスクを横切る「ワイドなブラックバンド」デザインです。

このブラックの加飾はV12モデル「12チリンドリ」やハイパーカー「F80」にも通じる現代フェラーリのトレンドとなっていて、フルタード氏によれば、「849テスタロッサにおけるこのデザインは、ライトの存在感を隠してスリムに見せるだけでなく、かつての名車”288GTO”がライトの下に備えていたマットブラックのバンパーバーの肉厚なフロントマスクを意識したもの」。

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車種概要・性能・デザイン・スペックなどの特徴

現代に蘇った『849テスタロッサ』は、1980年代のウェッジシェイプ(楔形)をそのまま模倣するのではなく、1970年代のプロトタイプレーサー(512Sや512M)のようなグラマラスな曲線美、そして最新のF1由来のテクノロジーを融合させた1,000馬力オーバーのモンスターマシン。

なお、フェラーリは「特定のモデル」を再現するというよりも、1台の中に様々な過去の名車の要素を反映させるという手法を好んでおり、実際に849テスタロッサであっても「様々なクラシックフェラーリ」のディティールが隠されている、ということになりますね。

849テスタロッサ(クーペ/スパイダー)主要諸元表

項目スペック・仕様
パワートレイン4.0リッター V型8気筒ツインターボエンジン + 電気モーター×3基(PHEV)
システム最高出力1,050 cv(1,036 hp)[ICE: 830 cv / モーター: 220 cv]
最大トルク842 Nm
トランスミッション8速デュアルクラッチ(F1 DCT)
駆動方式4輪駆動(フロント2モーターによるトルクベクタリング「RAC-e」搭載)
0-100km/h加速2.3秒未満
最高速度330 km/h以上
デザインのルーツフロント:288GTOオマージュのブラックバンド
サイド:80年代のフィン付きインテークをグラフィカルに再解釈
リア:『マイアミ・バイス』時代のForebearを彷彿とさせる全幅テールライト
インテリアポルトローナ・フラウ製レザー&カーボンシート、ステアリングの物理ボタン復活
フェラーリ849テスラロッサ「アセットフィオラノパッケージ」装着車のエクステリア〜フロント
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自動車業界のトレンド解説:グローバル化がもたらす「車の均一化」とデザイナーの戦い

今回のフェラーリの決断は現代の自動車メーカーが抱える「 globalization(グローバル化)のジレンマ」を象徴しています。

なぜ最近のスーパーカーはどれも似た規制に縛られるのか?

現代の自動車開発では、1つのプラットフォームやデザインを世界中で販売することが収益確保の絶対条件であり、しかし、国や地域(欧州のユーロNCAP、米国のFMVSS、中国のGB規格など)によって、安全基準や環境規制はバラバラなのが「厳しい現実」ということに。

  • 歩行者頭部保護:ボンネットの下に一定の空間を設ける、または衝突時にボンネットを持ち上げるシステムが必要。
  • 灯火類の高さ・視認性:リトラクタブルの場合、展開時と格納時で光軸や高さが変わるため、最新の配光可変ヘッドランプ(マトリクスLEDなど)との相性が非常に悪い。

結果として、どのメーカーも規制の「共通の最大公約数」を狙うため、フロントマスクの形状や全高の制限が似通ってしまい、デザインの均一化が起こりやすくなってしまうのが現在の自動車業界というわけですが、その中でフェラーリが見せた「ブラックバンドでライトを隠す」という手法は、規制をクリアしつつ個性を際立たせる、デザイナーたちの意地と知恵の結晶と言える存在なのだと考えられます。

フェラーリ849テスタロッサ
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結論:ポップアップライトがなくても、「849」は紛れもないテスタロッサである

リトラクタブルヘッドライトの不採用は一部のノスタルジー派にとっては残念なニュースかもしれません。

しかし1980年代の12気筒モデルの単なるリメイクという固定観念を捨ててこの車と向き合った時、849テスタロッサが持つ真の価値が見えてきます。

V8ツインターボと3基のモーターが紡ぎ出す1,050馬力の異次元の加速力、そして(スパイダーの場合)ルーフを開ければダイレクトに響くエキゾーストサウンドは、現代における最高峰のドライビングプレジャーともいえるもの。

法規制という現代の壁をクリエイティブに乗り越え、過去のレースの魂を宿したこのハイブリッドスーパーカーは、間違いなく跳ね馬の歴史に新たな伝説を刻む1台として数えられることになるであろう、と考えています。

フェラーリ849テスラロッサ「アセットフィオラノパッケージ」装着車のエクステリア〜リアウイング
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参照:Car Expert

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