
| マツダは世界の流れに反して「直6+FR」の道を選ぶ |
結果的に「数少ないプレミアムな選択肢」としてプレミアムブランドへと念願の「移行」を果たしつつある
世界中の自動車メーカーがエンジンの排気量を小さくし、気筒数を減らす「ダウンサイジングターボ」や電動化へと舵を切った2010年代以降。
しかし、我らが日本のマツダはその潮流にあえて逆行するかのように、完全自社開発となる新世代の直列6気筒(I6)エンジンを作り上げ、ガソリンそしてディーゼル双方にて世界中の各市場へと投入することに。
なお、日本市場向けとしては「市場環境の変化などを受け」ガソリン版直6の導入が見送られ、現在は3.3L直6ディーゼルが唯一の直6エンジンとなっています(それでも国内では希少な直6ディーゼルである)。
ここではなぜマツダが今、開発コストがかかる直列6気筒の開発に挑んだのか、そして過去のV6エンジンの歴史に加え、直6がもたらす走りの質感、そしてプレミアムブランドへと脱皮を図るマツダの戦略までを見てみましょう。※過去との比較の兼ね合いからガソリン版直6に焦点を当てている

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直列6気筒エンジンを発明したのは誰なのか?直6は歴史的に航空機と密接な関係を持ち、なぜ「航空機に適していた」のか?
Image:BMW | はじめに:なぜ直列6気筒(I6)は愛されるのか | 直6エンジンと言えば「BMW」を連想するが シルクのように滑らかで、驚くほどパワフルな直列6気筒エンジン。 その洗練された性 ...
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この記事の要点(30秒でわかるサマリー)
- 20年ぶりの自社開発6気筒:世の中がダウンサイジング(排気量縮小・ターボ化)へと向かうなか、マツダはあえて完全新開発の直列6気筒「Skyactiv-G 3.3」を投入。
- プレミアム市場への参入:BMWやアウディに対抗するため、4気筒では得られない「圧倒的な静粛性」と「滑らかな回転フィーリング」を重視。
- 信頼性と出力の両立:気筒あたりの負担を減らす大排気量化により、高負荷時でもエンジンへのストレスを低減。
- CX-60 / CX-70 / CX-80 / CX-90に搭載:新開発のFR(後輪駆動)プラットフォームとともに、高級ラージ商品群の核として世界市場で高い評価を獲得。※日本仕様のCX-60とCX-80はディーゼルのみ
ダウンサイジング全盛期に「直6」を投入した背景
多くのメーカーが3気筒や4気筒ターボエンジンへ移行するなか、マツダは自然吸気や高効率な4気筒「Skyactiv」技術を熟成させてきたという過去があり、しかしメルセデス・ベンツ、BMW、アウディといった欧州ラグジュアリーブランドがひしめく(そしてマツダの悲願でもあった)プレミアムセグメントに参入するためには4気筒エンジンだけでは限界があったのもまた事実。
そこで格上のライバルと対等に渡り合うため、マツダは「圧倒的な静粛性」と「伸びやかな加速感」を生み出す直列6気筒の開発を決断した、というのが近代の直6誕生のきかっけです。

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マツダ副社長激白!「直6+FRはコスト削減のためで高価格化のためではない」「プレミアム化は”買ってもらって”はじめて成立する」。マツダほど誤解されているメーカーも他にない
| マツダは過去に自ら価格を上げて失敗した例から「プレミアム化の難しさをよく知っている | https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/4977219790 ...
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マツダと6気筒エンジンの歴史
実はマツダが6気筒を採用するのはこれが初めてではなく・・・。
- 1990年代(K型V6エンジン):高級セダン「ミレーニア」などに搭載された自社製V6エンジン。ミラーサイクル機構を世界で初めて実用化し、高い静粛性と効率を誇る
- 2000年代〜2010年代:フォード傘下時代にはフォード製の「Duratec(デュラテック)」V6エンジンなどを採用
- 2015年〜:効率化と環境規制に対応するため、一時的に全ラインナップを4気筒以下へ集約
そして2022年、約20年の時を経て、マツダ自身の完全独立開発による新しい直列6気筒エンジンが産声を上げたというわけですが、マツダの新世代ラージ商品群(CX-60、CX-70、CX-80、CX-90)に搭載されているのが3.3リッター直列6気筒ガソリンターボエンジン「Skyactiv-G 3.3」、およびディーゼルバージョンの「SKYACTIV-D 3.3」ということに。
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マツダは1998年、好景気のもと「レクサスのような高級ブランド」を”プロジェクト・ペガサス(のちのアマティ)”を立ち上げV12エンジン搭載車を発売する計画を持っていた
| しかし開発費の高騰、さらにはバブル崩壊によってプロジェクトが完全に消え去る | もうちょっと早く展開がなされていれば、今ではレクサスと並ぶブランドに成長していたのかもしれない さて、マツダは現在「 ...
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なぜ「V型」ではなく「直列(I6)」なのか?
V型6気筒に比べ、直列6気筒は構造上「一次振動」「二次振動」ともに理論上ゼロにできるという完全なバランスを備えていて、エンジンの回転がどこまでも滑らかで、かつ不快な振動が車内に伝わらないというメリットも。
また、無理な過給圧をかけずに排気量にゆとりを持たせることで長期的にはエンジン部品へのストレスを抑え、信頼性の向上にも寄与するという利点も持っています(パーツ点数も少なく乗るのでコスト的にも有利である)。
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BMW、メルセデス・ベンツの採用する直6は「V6よりも性能がいい」?様々な角度から直6とV6との差異を検証してみる
| 実際には直6とV6との性能差や信頼性の差はさほどなく、そのメーカーの得意とする車両の形状に依存して選ばれているようだ | 大きな車には直6、コンパクトなクルマにはV6が積まれることが一般に多いのだ ...
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「Skyactiv-G 3.3」主要スペック一覧
| 項目 | 標準出力仕様(Standard) | 高出力仕様(High Output) |
| エンジン形式 | 3.3L 直列6気筒 DOHC ターボ | 3.3L 直列6気筒 DOHC ターボ |
| 最高出力 | 280 hp | 340 hp |
| 最大トルク | 450 Nm | 500 Nm |
| 燃料仕様 | レギュラーガソリン対応 | プレミアム(ハイオク)推奨 |
| 過給圧 | 約 14 psi | 約 19 psi |
| マイルドハイブリッド | 48V M Hybrid Boost 搭載 | 48V M Hybrid Boost 搭載 |
| 主な搭載車種 | CX-60, CX-70, CX-80, CX-90 | CX-70 Turbo S, CX-90 Turbo S など |
※海外仕様値。国内導入の「Skyactiv-D 3.3(クリーンディーゼル直6)」など、マツダの直6は地域に合わせて最適なパワーユニットが展開されている

マツダはいかにして念願のプレミアムを実現したのか
実際のところ、BMW X5やアウディ Q5といった欧州のプレミアムSUVは伝統的に直列6気筒やV6エンジンを上級グレードに設定しており、マツダは「Skyactiv-G 3.3」と新開発のFR(後輪駆動)ベースプラットフォームを組み合わせることにより、これら欧州ライバル勢と真っ向勝負ができる走りの質感を獲得したというのがマツダが選んだ「成功への方程式」というわけですね。※高級車=FRベースという考え方も根強い
そしてこの直6エンジンは単にパワフルなだけでなく、48Vマイルドハイブリッドとの組み合わせによって発進時のレスポンスや燃費性能も確保しており、北米や欧州のジャーナリストからも「この価格帯で手に入る最も洗練されたフィーリングのSUV」と高い評価を受けていて、現在マツダは念願かなってプレミアムブランドへの階段を登っている最中ではありますが、その一方で「マツダのイメージが希薄化している」というブランド変革期ならではの課題も指摘されており、まだまだ乗り越えるべきハードルが残されているのかもしれません。
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マツダの「理想のエンジン」への情熱とSPCCI技術
マツダは直列6気筒の開発において、ガソリンエンジンの常識を覆す「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」技術を採用した「Skyactiv-X」の6気筒版も模索しており・・・。
- SPCCIとは:ガソリンエンジンでありながら、ディーゼルエンジンのように薄い混合気を圧縮着火させる画期的な技術
- 技術的探求の成果:最終的に6気筒版Skyactiv-Xの市販化は見送られ、4気筒モデル(Mazda3やCX-30)への搭載にとどまるものの、この開発で培われた燃焼効率の解析技術は「Skyactiv-G 3.3」のクリーンな燃焼とレスポンスの良さにしっかりと活かされている
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結論
時代が「効率優先」や「電動化」へと急速に傾くなかで、マツダが20年かけて導き出した解は「走る歓びと上質さを突き詰めた直列6気筒」。
一見すると時代に逆行しているように思えたこの挑戦は、結果としてマツダのブランド価値を大きく引き上げ、世界中の自動車ファンを魅了しています。
これはつまり、自動車は「効率だけをつきつめると、どれも似たようなものになり、味気ないものになってしまう」という傾向のギャップ(あるいはニッチ)を突いたもので、マツダの販売規模だからこそ採用できた生存戦略であったのかもしれません。
つまるところ、マツダの6気筒エンジンは「クルマのフィーリングや洗練された走りにこだわりたい」と願うドライバーにとって今最も注目すべきパワーユニットの一つと言えそうです。※マツダの直6ディーゼル車にはまだ乗ったことがなく、一度運転してこようと思う
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参照:Mazda, CARBUZZ










