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【試乗】日産デイズルークスに乗る。軽自動車が日本市場のメインストリームになるのも当然かもしれない

2017/05/29

カービューティーマックスさんにランボルギーニ・ウラカンのコーティングメンテナンスをお願いし、その際にお借りした代車が「日産 デイズルークス」。
完全な新車でまだシートにビニールが付いたまま、という車両です。
デイズルークスのサイズは全長3395ミリ、全幅1475ミリ、全高1775ミリ。
車両重量は920キロ、排気量は660cc、出力は49馬力、価格は1,306,800円~となっています。

デイズルークスの発売は2013年、その後2016年末にマイナーチェンジを行い内外装を一新しグレードも追加・変更。
ベースとなっているのは三菱のekスペースですが日産向けに細部が再デザインされており、ekスペースともども「軽トールワゴン」という部類に属します。

実際に乗り込んでみるとその室内の広さには驚くばかり。
おそらくは軽だからこそ実現できた、「割り切った」パッケージングがその理由さと思われますが、とにかくウインドウの広さ、頭上スペースの高さは特筆モノ。
シティコミューターとして室内空間の広さを追求したBMW i3に比べても室内の幅は印象的にさほど変わらず、室内高においては圧倒的にデイズルークス優位。
こんなに窓や室内が広くて夏場はエアコンがちゃんと効くんだろうかと心配になるほどですが、用途を考えると(ファミリーが多いと思われる)ちゃんとエアコンが効くものと思われます。

内外装について軽だからといってとくに安っぽい印象を受けることはなく、それもそのはずで、同じ日産のコンパクトカー「マーチ」はもっとも安価なモデルで1,151,280円、このデイズルークスは1,306,800円からの設定となっており、「軽といえども倍程度の排気量(1.2L)を持つマーチより高価」な価格設定。

これは日本国内市場において「軽自動車市場がもっとも競争過多」なセグメントであり、そのために各社とも機能や装備を充実させた結果だと思われますが、それでも価格設定自体はそこまで上げることができず、つまり軽自動車は「お金がかかっている割には機能や装備が充実」しているお買い得な車、とも言えます(メーカーからすると利益が薄いものの、国内では台数が出るので総合的な利益”額”を確保しやすい)。

なおコンパクトカーと軽自動車との価格逆転については、「リッターカーは世界的に販売される車種が多く、その結果コストが下がっている」「軽自動車は国内で台数が出ていると言えども海外では売れないのでコストは高い」ということもあるかもしれません。

いろいろな事情があるとは思いますが、とにかく「軽自動車」は特殊なゼグメントであり、しかし各社がしのぎを削っているので消費者にとっては多くの選択肢があり、かつ「割安」に入手できる素晴らしい車である、とぼくは考えています。

しばらく乗ってみた印象だと、走行性能に関しても「これで十分じゃないか」と思えるほど。
足回りもしっかりしていて乗り心地もよく、日本国内の自動車市場が「軽自動車中心」に移行するのもわかるような気もします。
軽自動車は維持費がとにかく安く、自動車税は年間で5,500円。
これがコンパクトカーになると「1リットル以下」でも年間29,500円に。
さらには高速道路の料金も安く、タイヤやオイルなど消耗品も安価で済むということを考えるに「コンパクトカーを購入する意味があまり見いだせない」と考える人が多くなるのも至極当然。

なお2017年4月の乗用車販売台数ランキング(軽自動車以外)は下記の通り。

1位 日産ノート 14,113台
2位 日産セレナ 11,179台
3位 トヨタ・プリウス 9,883台
4位 トヨタC-HR 9,144台
5位 トヨタ・シエンタ 9,108台

一方こちらは軽自動車の販売ランキング(同期間)。

1位 ホンダN-BOX 12,265台
2位 ダイハツ・ムーヴ 12,004台
3位 ダイハツ・タント 11,926台
4位 スズキ・ワゴンR 9,654台
5位 日産デイズ 9,193台

これを見ても分かる通り、軽自動車は相当な規模に成長しており、各メーカーが力を入れるのも頷けますが、とにかく最近の軽自動車の品質の高さには驚かされます。

ただし軽自動車は排気量と馬力に「制限」があり、それが一種の足かせになっているのも事実。
日常的に高速道路を走行する人であれば速度制限と相まってストレスが溜まるかもしれませんし、一般道でも上り坂や比較的速度の高い流れでの追い抜き・追い越しに苦労するかもしれません。

しかしながらそれらも「含めて」の軽自動車で、軽自動車に乗るのであれば軽自動車の性質を理解して乗れば問題はないと認識しており、まずはその車の「力量」を把握しておくこと、(必要な)追い越し時にはエンジン回転数を上げる等が必要ですし、交差点などで速度(=エンジン回転数)が落ちると再加速時にモタつくことになるので「よりスムーズな一連の動作」、それを行うには交通の流れを読む/予測することを心がける必要があったり、と軽自動車を理解した上で「車とのやりとり」をすればいいだけだ、とぼくは考えています(よくよく考えるとこれらは当然のことで、余裕のある車に乗るとつい忘れがちになる大切なことでもある)。

パワーがあり、サイズや足回りやブレーキのキャパシティ等すべてに余裕がある車とは異なって「軽自動車には軽自動車の乗り方がある」ということになりますが、アクセルやブレーキ、そしてステアリングの操作をしっかりと、そして基本に忠実に行えばちゃんと走るのが軽自動車で、その意味ではマニュアルトランスミッション搭載のS660はたまらなく楽しい車であり、車の基本的な操作、エンジン回転数の重要さ、ギア選択の重要さを学べる、そして身につけることが出来る車なんじゃないかと思います。
※余裕のある車はズボラに運転してもなんとかなる

なお「車との対話」が必要という意味では以前に試乗したシトロエンC3も同じで、軽自動車やシトロエンC3について、電子制御が発達し、かつ台形トルクのエンジン特性を持つ車ばかりとなった今では非常に希少な存在と言え、近代の乗用車が失ってしまった「自動車本来の素顔」が見える素晴らしい車だと言って良さそうですね。

代車としてお借りしていた期間の平均燃費はリッターあたり27キロ(満タン法で計測しているので誤差はありそう。なおカタログ燃費はリッター22キロ)。

気になる点としては、車体サイズ、タイヤサイズやサスペンション形式に起因するものと思われますが(つまりデイズルークス特有の問題ではない)、段差など超えるときの衝撃が大きい(タイヤサイズが小さいので仕方がない)、ダブルレーンチェンジの際の揺り戻し、高速カーブでの安定性など。
これらは「軽自動車であること」とのトレードオフなので、購入の際に用途や特性を鑑みた上で軽自動車を選択しているのであれば、問題にはならない部分だとも考えています。

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