| クライスラーも現在ステランティス傘下にて再建中、今後の方向性を示すのがこのハルシオン・コンセプトだと考えられる |
大まかには「快適な移動手段」「サードプレイス」ということになりそうだ
さて、クライスラーが突如「パーソナライズされた運転体験と組み合わせた持続可能なデザイン、そして完全自動運転を組み込んだ、クライスラーの完全電動化の将来のビジョン」としてハルシオン・コンセプトを発表。
現在クライスラーはステランティスグループ傘下にありますが、このコンセプトカーは同グループの持つ「STLA Brain」「STLA SmartCockpit」「STLA AutoDrive」テクノロジーを統合した”ハーモニー・イン・モーション”なるシステムを持っており、これにより比類なき運転体験を提供する、としています。
クライスラー・ハルシオン・コンセプトはある意味で「レトロ」
このクライスラー・ハルシオンはピュアエレクトリックパワートレーンを採用し、その外観は一見すると未来的ではあるものの、「1970年代に考えられた未来のクルマ」のようなスタイリングを持っていて、ある意味ではレトロという印象も(もしかすると狙ったのかもしれない)。
フロントだと低いノーズ、エアブレードによってエアロダイナミクス性能を向上させ(EVにとって重要な)航続距離の伸長をもたらし・・・。
ドア開閉方法は「観音開き+バタフライルーフ」。※クライスラーではこの観音開きドアを「レッドカーペットスタイル」と表現している
この構造はインテリアへのアクセスを容易にするほか、オープンエアな雰囲気を生み出すのにも役立っているようですね。
クライスラー・ハルシオン・コンセプトは「高度な先進機能」を装備
なお、このハルシオン・コンセプトについては市販を標榜したクルマではなく、あくまでもクライスラーの進む方向性を示すために公開されており、その核となるのはスタイリングよりも「採用される技術」にあるもよう。
まず「環境」に対して強い意識が示されており、音楽CDを粉砕しリサイクルした素材を使用するなどインテリアの95%が「持続可能な素材」にて構成されています。
そのほか、ステランティス AI アシスタントによる「インテリジェント キャビン コンフォート機能」によって常に室内を快適な温度に保ったり、予測ナビゲーションを使用してリアルタイムでの交通ルーティングを行うこと、「ウェルカム/エントリー モード」では、生体認証を使用してLEDエクステリア照明アニメーション、パーソナライズされたエクステリア サウンド機能、インテリアスクリーン上でのコミュニケーションを演出することについても言及済み。
加えて「パーソナライズされた車両サイマティクス」についても触れられていて、これは”ドライバーの行ったプリセットに基づき、穏やかなサウンドまたはエネルギッシュなサウンドを共有し、車両の雰囲気を設定する”と説明されていますが、さまざまな音の周波数により、対応する粒子の形状がコンソール画面に表示され、穏やかな周波数は粒子の分散パターンを作成し、ダイナミックな音はエネルギッシュな形状を表現するとのこと。
なお、同じステランティスグループにはアルファロメオも含まれており、アルファロメオは「ドライバーにフォーカスしたクルマを作ることに集中し、運転の注意を削ぐようなモニターや装備は必要ない」ともコメントしていて、同じグループ内であっても真逆の考え方を持つブランドが存在するのが面白い、と思います。
-
アルファロメオはほかブランドと逆に進むようだ!「我々は走るスマホやiPadを売るのではない。ディスプレイは極限まで少なくし、ドライバーズカーを作るのだ」
| アルファロメオは「ステランティス」が誕生したことによって大きくその方向性を変化させることに | 今後はより高級そしてプレミアムを目指すことになりそうだ さて、アルファロメオの新CEO、ジャン・フィ ...
続きを見る
ユニークな機能としては「拡張現実星空観察モード」を備え、シートを後ろに倒すと不透明になる調光可能なガラスキャノピーやフロントガラスを持つそうですが、これはプラネタリウムのように(ガラス内側に)星空を投影することができる機能なのかもしれません。
これらのほかだと音声認識による各種操作と豊富なドライブモード(ただしスポーツ性能を追求したものではなく、自動運転の範囲を設定するもののようだ)、走行中のワイヤレス充電による「無制限の航続距離を可能とする革新的なダイナミック ワイヤレス パワー トランスファー (DWPT) テクノロジー」、800Vリチウム硫黄バッテリーの搭載に言及されており、特にこのバッテリーは”現在のクラス最高のバッテリーと比較して二酸化炭素排出量が推定60%削減される”とコメントされているため、やはり全体的に「パフォーマンスよりもエクスペリエンス、サステナビリティ重視」のコンセプトカーであり、そしてこれらのテクノロジーが今後様々な形でクライスラーのクルマに搭載されることになりそうですね。
合わせて読みたい、ステランティス関連投稿
-
ステランティスCEO「我々はこれから直面するであろう、中国製の安価なEVとの戦争に備えねばならない」。一般に中国では欧州より140万円、もしくは40%ほどEVを安く製造できるようだ
| 正直生産コストではどうやっても欧州製EVは中国製EVに勝てないと思う | 関税によって中国製EVの輸入を抑さえねば欧州の自動車産業は壊滅状態となる可能性も さて、ステランティスCEO、カルロス・タ ...
続きを見る
-
昨日の敵は今日の友?中国製EVに対し警戒を強めていたステランティスが中国新興EVメーカーと提携。もはや中国と「対立」しては生きて行けない
| まさかこういった「解決方法」をステランティスが採用するとは思ってもみなかった | ただし現在の状況を鑑みるに、中国と対立するのは得策ではない さて、現在欧州にて大きな脅威となっているのが「中国製の ...
続きを見る
-
ステランティスが研究所を開設し「バッテリー重量を半分にする」と発表。数年後に発表される新型アルファロメオ・ジュリアEVから順次採用の予定
| ステランティスは現在、中国製EVの侵略という大きな問題にさらされている | なんとかして優位性を見つけなければ生き残ることが難しい状態に さて、現在欧州では中国製EVの進出が問題となっていると連日 ...
続きを見る
参照:Chrysler