
| レースからそのまま降臨──SCG 007sとは? |
このクルマほど「レーシングカーのDNAを公道へ」持ち込んだクルマはそうそうない
「ハイパーカー作りが簡単なら、誰でもやってるさ」──そんな言葉を地で行くのが、映画監督からフェラーリ・コレクター、そしてハイパーカー開発者となったジム・グリッケンハウス。
彼の手がけるブランド、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(Scuderia Cameron Glickenhaus=SCG)は、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦するため2004年に設立され、2021年には、純レーシングマシン「SCG 007 LMH」でル・マン、モンツァ、セブリングなど世界の名門サーキットに挑戦しポールポジションや表彰台を獲得しています。※現代において、個人が設立したレーシングカーファクトリーがこれほどの成功を収めることは容易ではない
そのDNAを「一切薄めず」に公道へ持ち込んだのが今回発表されたSCG 007s(エスシージー・ダブルオーセブン・エス)で、見た目の通り「まんまレーシングカー」です。
パワートレイン:1,000馬力のV8がリアを蹴り出す
このSCG007sに搭載されるのは、ツインターボの6.2L V8エンジン、そして出力は驚異の1,000馬力。
これに組み合わさられるのは7速オートメイテッド・マニュアルトランスミッション(AMT)で、駆動輪は後輪のみ、そして車体重量はわずか1,550kgにとどまります。
シャシーと足回り:完全なるレーススペック
- フロント:ダブルウィッシュボーン
- リア:プッシュロッド式サスペンション
- 調整式スタビライザー装備、サーキットごとにセッティングが可能
- センターロック式鍛造アルミホイールを装備し、ピットでの作業も想定
- 車載エアジャッキも完備──まさにそのままレーシングカー
空力と外観:空気を操る彫刻
足回りのみではなく、SCG 007sのエアロパッケージはLMHレースカーからほぼそのまま移植されており、「これでよく公道走行の認可がおりたな」という感じですね。
- フロント:大型ディフューザー+コーナーフィン
- キャビン後方:縦長の“セイルフィン”
- リア:巨大ウイング+ディフューザー一体構造
- タイヤがスリックであっても「限界域で安定走行可能」とSCGはコメント
実用性も忘れない“リアル・ハイパーカー”
一方、このSCG 007sは、ただの「サーキット走行を主眼においたハイパーカー」ではなく、以下の装備によって都市部でも快適に走れる設計を持つ、と説明されています(実際のところ、オフローダーではあるが”BOOT”は自走してバハ1,000に参戦し、また自走して帰ってきたことがあるので、このコメントに嘘偽りはないものと思われる)
- 油圧式ドア:乗降しやすく、存在感も抜群
- フロントリフト:段差でバンパーを擦らない
- エアコン完備:夏のローマも快適にドライブ
「これはレプリカではなく、“ハイパーカーとは何か”を再定義する一台だ」とSCGは語っていますが、ル・マン24時間レースを走ったLMP1マシンを模したスポーツカーではなく、LMP1マシンそのまんま、ということですね。
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まとめ:ル・マンの鼓動が、今ここに宿る
SCG 007sは、2025年5月に開催されたコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ(イタリア・コモ湖)で世界初公開され、価格は未定ではあるものの、“Pretty Penny(かなり高額)”になることは確実。
しかし「レーシングカーのDNADNAを公道に」というフレーズはよく聞くものの、SCG 007sほどそれを本気で体現しているクルマはなく、これはまさに、レースカーが合法化されたような存在であり、日常にル・マンの魂を求める人にとって、SCG 007sは唯一無二の選択肢となるのかもしれません。
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参照:Scuderia Cameron Glickenhaus