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GMが「ピークから販売台数が半減した」中国事業を見直し、生産能力の縮小について現地パートナーとの見直しに入ったとの報道。今後は高級車とEVに注力

シボレーが発売したばかりの「ブレイザーEV」をトラブル多発のため販売停止。GMと共同にてEVを開発するホンダにも影響か

Image:General Motors

| GMは「二度と中国の販売台数が元に戻ることはない」と見ている |

そのため「台数」ではなく、より1台あたりの利益を多く稼ぐことができる方法へとシフト

さて、ゼネラル・モーターズ(GM)は、中国の自動車メーカーとの競争が激化する中、同地域での事業を見直す過程において、中国での雇用を削減し生産能力を引き下げることを検討している、との報道。※GMは中国にてビュイック、シボレー、キャデラックなどを展開し、五菱との協業にてミニEVも販売している

これによると、GMは今後、電気自動車や「より高級なモデル」への移行に伴い、中国でのパートナーである(国営企業の)上海汽車(SAIC)と製造能力の削減の可能性についても協議しているとされ、この動きはGMのCEO、メアリー・バーラ氏が先月の決算発表で述べた「GMは(合弁事業の)パートナーと緊密に協力し、収益性と持続可能性を確保するために事業の再編に取り組んでゆきます」というコメントを実行に移したものだと考えられます。

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なお、この場でGMのCFO、ポール・ジェイコブソン氏は「GMが競争力を維持したいのであれば、パートナーとともに事業を検討し、収益性を回復し、今後自立したキャッシュフローを回復できるようにする必要がある」ともコメントしており、これは現在GMが(中国で)置かれている状況を端的に表していると考えることも可能です。

つまりGMは中国市場にてシェアを失う一方であり、中国車と正面きって戦うことはまず不可能で、すでに失ったシェアを回復することを諦め、中国車と競合しない分野に活路を見出すしかないと判断したのだと考えられます。

さらにポール・ジェイコブソン氏は「中国はGMのビジネスにとって依然として良い資産である」、そしてメアリー・バーラ氏は「現在の中国で、利益の出る価格でクルマを販売することよりも、市場シェアの獲得に重点を置いている(外国)自動車メーカーは事業を継続してゆくことが困難になるであろう」とも語っており、今後GMは中国市場において「台数よりも1台あたりの利益」を追求した戦略を採用することとなるもよう。

参考までにGMは中国市場において2017年にはピークの400万台を販売しているものの、2023年にはその約半分の210万台にまで落ち込んでいて、この数字を見ると「構造改革やむなし」といったところかもしれません。

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そして今後の実際のGMの行動については、すでに(中国市場関連部門の)大幅な人員削減を進めているほか、生産削減についてパートナーの上海汽車(SAIC)と協議を進めてゆくといい(SAICとしては生産台数を引き下げることを容認しづらいのかもしれない)、こういった動きは「中国での研究開発コストを抑え、中国車に対抗するのではなく、キャデラックの上位モデルなど自社の強みを活かしたクルマを中国で生産もしくは中国へと輸入する」というスタイルへと軸足を移してゆくという方針を示唆しているのかもしれません。

参考までに、GMの2023年上半期は2億1000ドルの赤字、第2四半期のみでも1億400万ドルの赤字(販売台数は前年同期比でマイナス26%)を計上しており、よって状況が改善される見込みがないのであれば早々に方針転換を行うというのは「理にかなった選択」だと思います。

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参照:Bloomberg

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