| ただしサイバートラックの全長は5.7メートル、日本で使用するにはあまりも大きすぎるかも |
おなじみ対生化学兵器にも対応、そしてステアバイワイヤを採用
さて、テスラが2019年11月21日の発表から4年を経てついにサイバートラックの納車を開始(納車されたのは10台のみで、すべてテスラの従業員向けである)。
まず提供されるのはトライ(3)モーター、そして少し遅れてデュアルモーター、さらに2025年にはシングルモーター版が投入される予定です。
気になる価格とスペックについては以下の通り。
価格 | 0-60マイル加速 | 出力 | 航続距離 | |
トライモーター | 99,990ドル | 2.6秒 | 845馬力 | 320マイル |
デュアルモーター | 79,900ドル | 4.1秒 | 600馬力 | 340マイル |
シングルモーター | 60,990ドル | 6.5秒 | - | 250マイル |
サイバートラックはもともと「4万ドル以下」とされていたが
なお、当初(2019年)イーロン・マスクCEOはサイバートラックの価格について「4万ドル以下」とコメントしていたものの、実際に発売されてみると「もっとも安価なサイバートラックで60,990ドル(現在の為替レートにて約902万円)」という設定なので、その主張と事実はかけ離れているということに。
ただしこの4年でそうとうなインフレを経験しているので、この価格設定は「やむなし」「妥当」なのかもしれません。
現実問題として、この価格はけして「高い」わけではなく、フォードF-150ライトニング(49,995~91,995ドル)、リビアンR1T(79,000~87,000ドル)、GMCハマーEVピックアップ(98,845~106,945ドル)、 シボレー・シルバラードEV(50,000~105,000ドル)、GMCシエラEV(50,000~107,000ドル)に比較するとむしろ割安かもしれません(よって今からさらに受注が膨らむ可能性が高い)。
現在サイバートラックの予約は200万台と言われますが、テスラによれば今年の生産は「限定的」、そして生産が軌道に乗ったとしても年間375,000台程度しか作れないと言われているので、現在の受注を消化するにはかなり長い時間がかかりそう。
そしてこの「生産台数が少ない」ことはステンレス製のボディを採用しているという特殊性に終止していて、この加工や組立が非常に困難であり、つまり「精度を出す」ことが難しいと言われています(もしかすると現時点でも問題を完全にクリアできたわけではなく、まだ従業員にしか納車されていないのは、”従業員からだと文句が出にくい”という理由なのかも)。
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現時点ではサイバートラックに関する情報は多くはなく、テスラによれば「305ミリのサスペンションストロークを持つ」「ウルトラハードステンレススティール外装を持つために外的要素による損傷は最小限」「修復はシンプルで迅速」「時速112km/hで野球のボールがぶつかっても割れないアーマーガラス採用」「ガラスにはアコースティック性能が備わり室内は静かで快適」とのこと。※テスラの製品にしては、かなり多くの情報がサイト上にて解説されている方である
なお、積載可能重量は1,134kg、そして牽引能力は4,990kgであることもアナウンスされており、この4,990kgというのは「平均的なアフリカゾウ1頭と同じくらい」。
荷台のフロアには強靭な複合素材を使用しているためにライナー(下敷き)が不要だとされています。
収納(積載)スペースはメインの荷台(ベッド)、そしてフロントトランク、さらにはラックの装着にてルーフも活用可能。
加えて「隠しギアロッカー」も存在するようですね。
そのほか120Vもしくは240Vの給電が可能だとされ(つまり日本の家電を使用するには多くの場合で変換器が必要)、家庭にも電力を供給することが可能です。
その他の機能だと瞬間的に加速性能を向上させる「ビーストモード」の装備、ステアバイワイヤ、リアアクスルステアリングの採用によって(テスラいわく)「ほとんどのセダンよりも最小回転半径が小さい」ということもアナウンスされています。
テスラ・サイバートラックはこんな内装を持っている
サイバートラックの内装はいたってシンプルで、最近フェイスリフトを受けたモデル3のようにアンビエントランプを装備。
フロントモニターは18.5インチ、リアモニターは9.4インチ(いずれもタッチスクリーン)。
さらには(上述のアコースティックガラスに加え)15スピーカーを有するオーディオシステムを持ち、トラックといえどもかなり快適性にはこだわっているように思います(メインとなるアメリカ市場では、振動やノイズ、エアコンの効き、オーディオやインフォテイメントシステムにうるさい傾向がある)。
そのほかワイヤレス充電、USB-C、120/240Vのコンセントも装備。
そしてもちろん、医療グレードのHEPAフィルターを採用することで空気中の粒子の99.97%を捉える「対生物兵器モード」も搭載しています。
ちなみにルーフは「オールガラス」(これもアメリカ市場と中国市場で強く要求される装備である)。
日本でもサイバートラックの情報が公開に
なお、発表直前に(ほぼ)全世界で注文できなくなったサイバートラックですが、現在は多くの市場で受注可能な状態へと復帰しており、しかし日本からだとまだ発注できず、現時点では数値や仕様など情報公開にとどまるのみ。
日本のテスラ公式サイトによると、トップレンジの「サイバービースト(トライモーター)」では推定航続距離547km(スーパーチャージャーを使用すれば15分で235km分の充電が可能)、バッテリー追加で航続距離705km以上、0-100km/h加速2.7秒、最高速209km/h、車体重量3,104kgという数字が示されています。※デュアルモーター(AWD)、シングルモーター(RWD)のスペックも公開されている
全長は5682.9ミリ、全幅2200.7ミリ(ミラー格納時)、全高1790.8ミリだとされるので、日本の道路事情にとっては「かなり大きなクルマ」であることは間違いなく、保管場所や駐車場所についても制約を受けることになりそうですね。
アクセサリー(オプション)についても日本市場に対応しており、現在のところ「LEDライトバー」に「ベースキャンプ(荷台にテントを張ることができる)」、「オールテレインタイヤ」の3点がラインアップ。
テスラ・サイバートラックのプロモーション動画/納車イベントの様子はこちら
Cybertruck Delivery Event https://t.co/rWd111HvHc
— Tesla (@Tesla) November 29, 2023
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参照:Tesla