| 「規範から逸脱すると、それは多くの場合、挑戦だと見なされます。ただしそれを支持する人々もおり、サイバートラックは間違いなく成功するでしょう」 |
ジョルジエット・ジウジアーロほどテスラの立場を正確に理解できる人はいないだろう
さて、ジョルジエット・ジウジアーロがテスラ・サイバートラックに言及するというインタビュー内容が公開されちょっとした話題に。
両者は非常に関係性が深く、というのもジョルジエット・ジウジアーロは「自動車史上初のステンレススティール製ボディを持つクルマ」であるデロリアンDMC-12をデザインしたその人であり、史上2番目のステンレスボディを持つサイバートラックはデロリアンDMC-12の影響を非常に強く受けているから。
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ステンレスは自動車用の素材としては不向きである
ステンレスは強度が高く錆びにくいという性質を持っていて、ここだけ見ると「自動車にとっては理想的な素材」であるように見えますが、実際には加工が難しく、精度を出しにくいために「自動車の外装には最も不向きな部類の素材」でもあります。
それこそが自動車の長い歴史の中で(量産者としては)わずか2例しかステンレススティール製のボディパネルを持つクルマが存在しない理由であり、実際のところデロリアンDMC-12についても「指紋がどこかについていて、常に拭き取らなければならない」「ボディパネルのギャップが大きい」等、現在のサイバートラックとまったく同じ指摘が(当時)なされていたわけですね。
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そういったことを考慮するに、ジョルジエット・ジウジアーロはサイバートラックの挑戦の意味、そしてその代償について最もよく理解している人物だと捉えることも可能です。
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ジョルジエット・ジウジアーロはサイバートラックをどう思っているのか
そこで本題の「ジョルジエット・ジウジアーロはサイバートラックをどう思っているのか」。
規範から逸脱すると、ほとんどの場合、それは挑発とみなされます。それは家具から料理など、あらゆる分野で起こります。しかしその一方、誰もが自分自身を差別化したいと考えています。 サイバートラックはそういった人々にとっての必需品であり、間違いなくファンを獲得するでしょう。私はサイバートラックが必ず成功すると確信しています。
「規範から逸脱すると、ほとんどの場合、それは挑発とみなされます」という一言は、実際に様々な挑戦を行い、様々な批判を受け、しかし今までの非常識を常識に変えてきたジョルジエット・ジウジアーロならではの重みのあるコメントですが、これはデザイン分野だけではなく、ジョルジエット・ジウジアーロが言うように「あらゆる分野」、たとえば「言動」「行動」でも起こりうる話であって、テスラ(というかイーロン・マスクCEO)の場合はこの分野についても批判されることが多く、それはやはり多くの人の目に”規範に対する挑戦”だと映ってしまうからのでしょうね。
さらにジョルジエット・ジウジアーロは「サイバートラックを美しいか醜いかで判断したくない」とも述べており、もはやそういったレベルを超えたデザイナーからの問題的だと捉えているのかもしれません。
参考までにですが、映画「ブレードランナー」にて小物や大物のデザインを担当し、ガンダムや宇宙戦艦ヤマトのメカデザインも担当したことがあるシド・ミードもまたサイバートラックについて高く評価していて、それはデザインそのものに加えて「確実に売れるであろう、日和った製品しか発売しなくなった自動車業界において、ここまでデザイナーの意志を貫き通し、完全にマーケティングを無視したクルマを発売しようとする”姿勢”」を称賛しており、これはテスラ以外のどの自動車メーカーであってもできない挑戦だからだと思われます。
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参照:NPR