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「そのブランドをまた買う」というブランドロイヤルティ調査でトヨタがまさかの7位に沈む。トヨタからテスラへの乗り換えが多く、EV拡充の必要性が鮮明に

2023/07/03

トヨタ

| トヨタはこれまでブランドロイヤルティでは常に上位に位置していたが |

自動車業界が大きくEV化へと舵を切る中での「ひとつの異変」だと言えるかもしれない

さて、S&Pグローバルが「恒例」のブランドロイヤルティに関する調査結果の最新版を公開。

これはそのブランドが「どれだけの顧客を維持しているか」を数値化したものですが、今回の調査結果は2023年1〜4月にかけて実施されたもので、これまでの調査で上位にあったトヨタが大きく後退して7位に甘んじるという衝撃的な結果となっています。

今回のブランドロイヤルティ調査結果はこうなっている

今回のブランドロイヤルティ調査(普及車部門)を見てみると、フォードが59.5%、次いでシボレーが57.1%、そこからスバル、日産、起亜、ヒョンデ、そしてトヨタ。

なお、トヨタのブランドロイヤルティは52.3%で昨年の同時期より5.7ポイント低下しており、トヨタからテスラに乗り換えた顧客の割合は、前年比2.1ポイント増の5%だと報じられています。

S&Pグローバルアナリストのトム・リビー氏によれば「今後の結果を見守る必要があるのは言うまでもありませんが、最初の4ヶ月間だけでいえば、トヨタは期待外れでした」。

今回の結果には様々な理由があるものと考えられ、ひとつは(よく言われるように)トヨタは普及ブランドであり、日常の足としてトヨタのクルマを利用する人が多く、そういった人々がクルマを買い換えようと考えたとき「EVのラインナップがbZ4Xしかない」ことがひとつの原因である可能性が大。

トヨタ

よって、こういった人々がテスラに流れている可能性は否定できず、だとすればトヨタはEVの拡充を急がなければ今後も同様の傾向が続くことも予想されます。

参考までに、こういった調査ではスバルが常に高い位置にランクされていますが、スバルのクルマは「価格、積載性、燃費性能、走破性」といったバランスが良く、つまり実用性が高いために固有のファンや「スバルでないと」という人が多いものと思われ、よって流出が少ないと考えていいのかもしれません。

さらに、フォードそしてシボレーはEVの選択肢を用意しているために流出が少なかったのかもしれませんが、EVに積極的、かつアイオニック5が好調だと言われるヒョンデのロイヤルティが高くないのはちょっと意外な部分です。※これまでの歴史を見るに、急激に売れたとしても、品質が伴わなければ成長を維持できないケースが多い

やはりテスラのブランドロイヤルティは非常に高い

そして高級車つまりプレミアムカーにおける調査を見てみると、テスラが68%を記録しており、これによって2位のBMWを18.8ポイント上回ってランキングトップを維持。

なお、テスラはこの調査で唯一50%の顧客維持率を超えたブランドでもあり、2位は上述のとおりBMW、続いてメルセデス・ベンツ、レクサス、キャデラックという順番です。

テスラ・モデルY

さらにいうなれば(S&Pグローバルによれば)テスラは米国市場で唯一、失う顧客よりも維持する顧客の方が多いブランドであり、「ラインアップがたった4台のみ」「モデルYを発売した202年以降、ニューモデルを発表していない」ことを考慮すると、これはまったくもって驚くべき事実かもしれません。

こういった事実を鑑みるならば、「EVを選択肢として揃える」ことが顧客を流出させないためのもっとも有効な手段であり、かつ「多数のモデルを発売することで多くの消費者にアピールできる」というのは自動車メーカーの考える幻想にしかすぎないという可能性もありそうです。

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参照:Automotive News

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