
| アップル同様、いかに現地勢力が台頭しようとも「テスラのブランド力」は大きな影響力を持っている |
2025年中国SUV市場「驚きの3大トピック」
- テスラ・モデルYが独走V: 42万台超を販売し、2位に18万台の大差をつけて首位独走
- BYD、トップ5陥落: 昨年トップ4のうち3枠を占めたBYDが、まさかの「トップ5圏外(6位以下)」へ転落
- ガソリン車の意地: トップ5のうち4車種がガソリン車。吉利(Geely)やトヨタ、VWが上位に食い込む
中国SUV市場の異変。なぜ「EV王者」BYDがトップ5から消えたのか?
2025年の中国SUV市場は、誰もが予想しなかった結末を迎えており、中国乗用車協会(CPCA)が発表したデータによると、SUV全体の小売台数は前年比5.0%増の1,187万8,000台と堅調に推移。
しかし、その内訳は劇的に変化していて、最大の衝撃は絶対王者と思われたBYDがトップ5から姿を消したこと。
2024年には上位を独占していたBYD勢に一体何が起きたのか、いま中国で何が起きているのかを見てみましょう。
2025年 中国SUV販売台数ランキング(トップ15)
| 順位 | モデル名 | パワートレイン | 販売台数(単位:台) |
| 1 | テスラ モデルY | BEV(電気) | 425,337 |
| 2 | 吉利(Geely) 星越L | ICE(ガソリン) | 244,068 |
| 3 | 吉利(Geely) 博越L | ICE(ガソリン) | 232,926 |
| 4 | トヨタ RAV4 | ICE/HEV(混合) | 204,125 |
| 5 | VW ティグアンL | ICE(ガソリン) | 202,904 |
| 6 | BYD 宋Plus | NEV | 200,276 |
| 7 | BYD 元UP | NEV | 189,277 |
| 8 | トヨタ カローラクロス | ICE/HEV | 186,575 |
| 9 | BYD 宋Pro | NEV | 180,661 |
| 10 | 奇瑞(Chery) Tiggo 8 | ICE | 179,465 |
| 11 | 長安 CS75 Plus | ICE | 175,597 |
| 12 | トヨタ フロントランダー | ICE/HEV | 174,434 |
| 13 | VW タイロン | ICE | 173,329 |
| 14 | ホンダ CR-V | ICE/HEV | 171,207 |
| 15 | Li Auto(理想) L6 | EREV(レンジ延長) | 166,516 |
市場を読み解く「2つの勝因・敗因」
1. テスラ「モデルY」が圧倒的な理由
モデルYは、中国国内全体で3番目に売れた新エネルギー車(NEV)となり、SUV部門では圧倒的な王者として君臨しています。※さらにTOP5では唯一のBEVでもある
BYDが多数のモデル(宋、元、唐など)でシェアを分散させているのに対し、テスラはモデルY一本に需要を集中させる戦略が功を奏しており、さらには徹底したコスト削減による「プレミアムなのに手が出る価格」が中国の都市部ユーザーの心を掴んで離さない、と分析されているようですね(ただし今年はシャオミYU7がテスラ モデルYの独走を阻みそうだ)。
2. ガソリン車が「上位を独占」した背景
意外なことに、トップ35車種のうちガソリン車は19車種、NEV(EV/PHV)は15車種と、車種数ではガソリン車がまだリードしています。
吉利(Geely)の「星越L」や「博越L」が2位・3位に食い込んだのは、地方都市や長距離走行を重視する層において、まだインフラ不安のあるEVよりも、信頼性の高い低燃費ガソリン車の需要が根強いことを示しているのだと考えられます。
BYDの「失速」は本当か?データから見る真実
BYDの「トップ5陥落」という見出しは衝撃的ですが、BYDが負けたわけではなく・・・。
- モデルの細分化: BYDは「宋Plus(6位)」「元UP(7位)」「宋Pro(9位)」と、上位に複数のモデルを送り込んでおり、これらを合計したブランド全体の販売力では依然として圧倒的
- 熾烈な身内争い: BYDは次々と新型SUV(Sealion 06など)を投入しており、既存モデルのシェアがブランド内で食い合っている(カニバリゼーション)側面が強い
こういった状況を見るに、BYDは「全体的な数量(ボリューム)では勝っているものの、その内情としては効率が良くない」とも考えられ、将来的には利益率を圧迫する可能性もありそうですね(生産効率、販売効率に優れず、売っても売っても儲からない状態になる)。
反面、テスラそしてシャオミの「車種を絞る」という手法は非常に効率が良く、「手元に残るお金」は実のところ「多い」のかもしれません。
【新しい気づき】2026年、台風の目となるのは「Xiaomi」
そしてランキング16位には、あのスマートフォン大手・小米(Xiaomi)の第2弾モデル「Xiaomi YU7」が早くもランクイン(15.3万台)。
2025年は「フル」にデリバリーする期間がなかったためにこのポジションへと甘んじていますが、発売から短期間でこの数字は異常でもあり、2026年にはテスラはもちろん、BYDはじめ現地メーカーをも脅かす存在になるのは間違いないものと見られます。
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結論:中国市場は「ブランド力」から「個別の圧倒的魅力」へ
2025年の結果は、中国の消費者が単に「安いから買う」のではなく、テスラのような「圧倒的なステータスと性能」や、吉利・トヨタのような「実用性と安心感」をシビアに天秤にかけ始めたことを物語っています。
EVシフトが停滞したわけではなく、「EV、ガソリン、ハイブリッドが共存する、より成熟した競争段階」に入ったとも言え(消費者が自身の用途や好みに合わせ、冷静にクルマを選ぶようになった)、2026年、BYDが再び王座を奪還するのか、それともテスラや新興のシャオミがさらなる高みへと上り詰めるのか。
中国SUV市場から目が離せない状態が続きます。
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参照:CPCA, Tesl China, Car News China, etc.
















