| どうやらエレクトリック化の波は思ったよりも早くやってきそうだ |
さて、現在世界で最大の自動車マーケットとなって久しい中国。
中国の動向が自動車メーカーの戦略を大きく左右するのは既知の通りですが、中国汽車工程学会(SAE=China Society of Automotive Engineers)が発表したところによると、2025年にはNEV(New Energy Vehicle、電気や水素などの新エネルギーを使用したクルマ)の販売比率が現在の5%から20%になるだろう、とのこと。
加えて2035年には50%にも達し、NEVのうち95%はフルエレクトリック、そして残る5%はハイブリッドだと見積もられています。
2035年にはガソリン車の販売が不可能に?
さらに中国工業情報化省は2035年以降、すべての新車をこれらNEVにするという方針も示しており、さらに先月には「実質的な温室効果ガスの排出量をゼロにする」と習近平国家主席が宣言したばかりです。
なお、かつて中国は、温室効果ガス排出量が大きいと指摘された際、「中国が近代化し温室効果ガスを排出するようになったのはつい最近のことなのに、これまでさんざん温室効果ガスを出しまくってきた先進国と同じように扱われるのは不公平だ。温暖化については先進諸国が責任をとるべき」との見解を示していた時期があったものの、その後方針を転換して環境にやさしい中国を目指すことに。
この理由については定かではなく、しかし環境問題は「中国が世界におけるイニシアチブを握れる分野である」と踏み、世界におけるプレゼンスを強化するための判断だったのかもしれません。
中国は一党独裁の強みをフルに発揮する
ただ、そこにどういった意図があるにせよ、環境に配慮した行動を取るのは素晴らしいことで、そして中国は「一党独裁」の強みを発揮し、ガンガン温暖化対策を進めることに。
中国の場合、国が「こう」と決めるとそれに反対する勢力が事実上無く、やろうと思ったことは即実行できるという特徴があり、このスピードこそが中国最大の武器だと言えるかもしれません。
かつ、外交についても相当な力を持っていて、「生産と消費」という経済活動に欠かせないカギを握っているという背景を利用することによって強い交渉力を発揮し、これが様々な「一方的な規制」につながることも。
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各自動車メーカーは即刻対応の必要も
そして2035年というとあと15年しか残されておらず、となると自動車メーカーは今からガソリン車を開発したとしても、そのクルマは15年後(開発期間を含めると10年ちょっと)には販売できなくなるということを意味し、それはエンジン単体についても同じ。
メルセデス・ベンツはすでに「新型ガソリンエンジンの開発を終了」させたとアナウンスしていますが、もはやエレクトリック化待ったなし、といったところですね。
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参照:SAE, Reuters