| ソニーらしく、エンターテイメント性を強調した車内空間を持つことになりそうだ |
同時に高度な運転支援装備、安全運転機能を装備
さて、ソニーが米ラスベガスにて開催されている家電見本市、CES2020にて「VISION-S」「VISION-S 02」を展示し、発売を本格的に検討する、とアナウンス。
なお、ソニーは2020年にVISION Sを発表し、その際は「実際に発売する予定はない」とコメントするも、その後には「開発を進める」とし、その開発状況等を公式サイトに公開することとなっています。
そして今回はVISION S 02を発表してさらに前へと進むことを宣言し、加えて2022年春に「ソニーモビリティ株式会社」を設立すると発表していますが、この新会社が扱うのは自動車のみではなく、エンタテインメントロボットのaibo、ドローンのAirpeak等、様々な領域において新たな価値創造を行ってゆく、とされています。
ソニーはこれまでも世界各地でプロトタイプを走らせてきた
上述の通りソニーは2020年にVISION-Sを発表しており、その後にはプロトタイプをオーストリアのグラーツ(つまりマグナ・シュタイヤー)へと送っていて、同年12月には欧州における走行テストを開始しています。
ただ、この際は「社内外に搭載されたイメージセンシング技術」「ヒューマンマシンインターフェース(HMI)」「総合的なユーザーエクスペリエンス」の検証を行うなど、車両に搭載する技術を開発するにとどまり、つまりまだ車両を販売するつもりはなく、しかし車両に搭載する技術を”ほかの自動車メーカーに販売するため”に研究していただけなのかもしれません。
しかしながら翌年4月には5G走行試験をドイツで開始し、5月には「車両走行テスト」を行うなど、テスト内容が「搭載技術から車両本体へと」移ってきており、いずれかの段階で「技術ではなく車両まるごとを販売する」方向へとシフトしたのだと思われます。
ソニーは多様化する社会に対応
かくしてソニーは「車両を販売する」ための動きを本格化させ、それが今回のVISION S 02の発表へとつながったのだと思われますが、これはVISION-S(今回、”02”と区別するためにVISION-S 01と呼ばれている)と共通のプラットフォームを持ち、ただし7人乗りレイアウトなど「多様化する社会、そしてライフスタイルの変化」に対応したクルマだといい、ますますソニーが本腰を入れてきたということがわかりますね。
VISION-Sはどんなクルマに?
最近までソニーは「ヴィジョンSをどんなクルマにすべきか」を検討していたといい、それはおそらく「競合他社との差別化」「ソニーらしさを演出することでの排他性の強調」を追求していたのだと考えて良さそう。
ただ、今回ソニーはようやくその方向性を固めたと見え、以下の通りVISION-Sの重点領域を公表しています。
Safety:安心安全なモビリティ
高感度、高精細、広ダイナミックレンジのCMOSイメージセンサーや立体空間を3Dで正確に把握するLiDAR(ライダー)などの周囲360度に張り巡らされたセンサーにより、周辺環境の認識・把握をリアルタイムに行い、安全運転を支援します。また、緊急車両の走行などの周辺環境の状況を車内でも的確に判断できるように車内の音響システムやHMIシステムと連携した直感的なドライバーインタラクションを提供します。すべての人々に安心・安全を提供することを目的にソニーのセンサー技術と通信技術を用い、より安全により快適なモビリティを実現するため、ADAS(運転支援機能) Level 2+の公道リリースに向けた機能検証を欧州で行っています。
Adaptability:人に近づき、共に成長する
ToF方式距離画像センサーを用いて、ドライバー認証やパッセンジャーを見守るためのモニタリング機能を提供します。また、直感的なクルマのインターフェースへの進化を目指し、ジェスチャーコマンドや音声コマンドに対応します。そしてユーザーの好みに合わせて、新たに車両のディスプレイテーマや加減速音を設定できる機能を提供します。
さらに、低遅延、大容量、高速の特長を持つ5G通信を含めたモバイル通信を用いて、車両とクラウドシステムを連携させることで、車両設定やキー施錠、ユーザーの設定が同期されます。また、アップデートがOTA(Over the air)で車両へ反映されていくため、セキュリティ面、サービス機能や付加価値提供については継続的に進化させていくことが可能です。また、これまでスマートフォンの開発を通じて培ってきた通信技術や通信セキュリティ等の社内技術や知見を活かしたリモート運転を自動運転時代の到来を見据えた重要技術と位置付けています。この実現に向けて、日独を5Gでつないだ運転実験を実施し、VISION-S 01に搭載されたテレマティクスシステムを用いての低遅延伝送(映像・制御信号)や通信制御(監視・予測)等の技術向上にパートナーと連携し取り組んでいます。
Entertainment:モビリティエンタテインメント空間の深化
立体的な音場を実現するシートスピーカーと「360 Reality Audio」に対応したストリーミングサービスにより、お好みのアーティストの生演奏に囲まれているような没入感のある音楽体験を提供します。
また、VISION-Sには、車室内の前方パノラミックスクリーン及びリアシートの各席のディスプレイで臨場感のある映像視聴体験の提供を目的として、映像配信サービス「BRAVIA CORE for VISION-S」を搭載しています。
そして、さらなるエンタテインメント体験の探索に向けて、自宅のPlayStationにリモート接続してのゲーム体験に加え、新たにクラウド経由でストリーミングすることで、多彩なゲームをお楽しみいただけます。
これらソニーからの発表を見るに、ソニーは競争厳しいEV業界において「勝機」を見つけたとも考えられ、今後はさら「ソニーらしさ」に磨きをかけ、満を持して発売することになりそうですね。
なお、車両の開発と製造はメルセデス・ベンツGクラスやBMW Z4、GRスープラを製造しているオーストリアのマグナ・シュタイヤーが担当することになるものと思われます。
SONY VISION-S コンセプトムービーはこちら
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