| この法案が可決されて欧州にもこのムーブメントが飛び火することを切に願う |
エレクトロモッドが一般的になれば、様々な可能性が自動車業界に拓けてくる
さて、現在世界中でひとつの大きな流行になりつつあるのがエレクトロモッド(ガソリン車をEVへとコンバートするというカスタム)。
ポルシェ911やコルベットなど過去のアイコニックなモデルをEVへとコンバートする企業やショップが登場し、さらにはミニ、そしてジャガーは「自動車メーカーとして」公式に過去のクルマを電気自動車へとコンバートするサービスをスタートさせています。
この背景には、「ガソリン車に乗っていると白い目で見られる」という欧州の現在の風潮があるといい、週末に好きなクルマを楽しもうとなると「EVコンバートを行うしかない」と考えるオーナーが増加しているためだとも言われていますね。
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ガソリン車をEVにコンバートするのがいちばんエコ?
なお、EVはたしかにエコではあるものの、(EVに限らずですが)新規にクルマを作ると大量にCO2を排出することになり、ガソリン車からEVに乗り換えてガソリン車を廃棄するとそこでまたCO2を発生させてしまうので、もっともエコなのは(クルマに乗るなというのはさておいて)既存のクルマをEVにコンバートして長く乗ることである、という話も聞かれます。
そこで今回報じられているのが、(欧州ではなく)米国カリフォルニア州上院議員、アンソニー・ポータンティーノ氏が提出した「上院法案301」で、これはなんと消費者のエレクトロモッドを支援するものだといい、この法案は、(ガソリンやディーゼルなど内燃機関を搭載する)自動車を電気自動車に改造する所有者に対して、最大2,000ドルの税制優遇措置を提供することを目的としています。
アンソニー・ポータンティーノ上院議員は声明にて、「気候に関する強い目標を達成するためには、新しい手法やアイデアを模索し続けることが不可欠です。この法案301は、ガソリン自動車から電気自動車への転換を選択しようと考えたとしても、その余裕がないカリフォルニア州民に対して、金銭的なリベートを提供することによって転換を支援するものです。最先端のエネルギー効率は、それを買う余裕のある裕福な人たちだけのものであってはならないのです」とコメントしています。
ただし実際にこれでEVコンバートが進むかどうかはわからない
アンソニー・ポータンティーノ議員は、新車のEVの価格が平均66,000ドルであるのに対し、ガソリン車を電気自動車にコンバートするには14,000ドルで済むとも述べ、今回の「2,000ドルの補助」によってEVへのコンバートが促進されることを期待しているようですが、「EVへの買い替えができない」人が(補助金を差し引いて)12,000ドルのコストを投じてEVコンバートを行うとはちょっと考えにくく、そういった人々は、今乗っているクルマが壊れたならば、より安価な(ガソリンエンジンを積んだ)中古車を選択するかもしれません。
ただ、アンソニー・ポータンティーノ議員によると、この法案が可決された場合、カリフォルニア大気資源委員会がその実施方法についてガイドラインを作成する予定だとも述べており、この委員会が対象となる申請者、対象となるコンバージョンキット、所得制限などの定義を行うことになるもよう。
さらに同議員は、この法案がEVコンバージョン産業を支援し、州内のショップにて新たな雇用を創出すると主張しており、すでにSpecialty Equipment Market Association(SEMA)がスポンサーとなっているようですね。
そしてSEMAの会長兼CEOであるマイク・スパニョーラ氏は「アフターマーケット業界は、ゼロエミッション技術も含め、技術革新のリーダーです。法案301は、カリフォルニア州の中小企業、その従業員、消費者が、手頃な価格でゼロ・エミッション車を製造し、利用できる機会を提供するものです」と声明を出しており、この法案の可決に対して期待を寄せていますが、たしかに今後、販売される自動車がEVばかりになってしまうとチューニングショップの仕事が減ってしまい、よって失われた仕事を取り戻すにはこういっった「エレクトロモッド」の普及がいちばんなのかもしれませんね。
なお、トヨタは東京オートサロンにて「ハチロクのEVコンバート」を提案しエレクトロモッドに乗り出すことを検討していると述べており、自動車メーカーにとっても「コンバージョンキットの提供」は大きなビジネスチャンスであるとも考えられます。
未来を題材にした映画のいくつかでは「EVにコンバートされた」現代のクルマが走っている様子を見ることができますが、そういった将来が「もうそこまで来ている」ということなのかもしれません。
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