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中国製EVが「英国では保険に入れない」事態が急増。BYD含め「パーツが供給されていない」「修理のための情報が供給されていない」ことが問題視される

中国自動車メーカーの国内シェアが史上はじめて50%を超える。VWは首位陥落、テスラ、フォード、GMは統計開始以降シェアが最低に、そしてフランス勢のシェアは1%未満に

| 中国製EVには思わぬ落とし穴があったようだ |

中国製EVはアフターサービスに注力する必要があるものの、ここは中国企業が軽視するところでもある

さて、現在欧州では中国製EVの進出が問題視されていますが、今回英国にて「中国のEVは英国の保険会社から敬遠されており、多くの新型EVは事実上の保険加入対象外であり、もし加入できたとしても法外に高い保険料が設定されている」という報道。

ただしこれは非関税障壁として意図的に設定しているわけではなく、 「高額な修理費、技術情報の不足、交換部品の長い納期」といった実情に配慮したものだとされています。

中国の自動車メーカーと欧州の自動車メーカーとでは修理プロセスがことなる

なお、保険の適用が困難だとされる中国製EVにはBYD シール、GWM Ora03、さらには一部のMG製モデルが含まれるといい、英国の保険業界が出資するリスクインテリジェンス会社サッチャム・リサーチによれば「中国の自動車メーカーが欧州の修理プロセスを理解していない」ことがこういった修理の困難さを引き起こしているのだそう。

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加えてサッチャム・リサーチの責任者であるベン・タウンゼント氏は「クルマ自体には何の問題もない」と述べており、問題はやはり中国の自動車メーカーの対応そのもの。

中国の自動車メーカーに対するメッセージとしては、単にクルマを英国市場に持ち込んで、それが売れると考えてはいけないということです。英国には英国の慣習があります。市場を理解し、実際に市場にクルマを投入するときに適切な物流を確保できるように必要な手順を理解してください。

NIO
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さらに英国全米車体修理協会のエグゼクティブディレクター、マーティン・ローリー氏は中国メーカーと部品の入手可能性の低さを指摘しており、「たとえばGWM ORA03 (かつてのファンキー キャット)につき、修理しようとしたとしても、 残念ながら、部品を入手できません。 これは数百万ポンドのビジネスであることを考えると、これはばかげているのではないでしょうか」。

これに関連する問題として報じられているのが「英国では、車両の修理方法に関するメーカー公式のマニュアルが存在するとは限らない」。

仮に存在していても「修理方法が正しくない、最新の車両とマニュアルが一致していない」場合もあるといい、こういった問題によって「中国製のEVは英国では保険に入ることが難しい」と判断されているようですね。

なお、上で述べた「中国が英国市場の慣習を理解していない」のは両者の自動車修理に関するスタンスの違いが関係しており、たとえば中国だとEVが修理に持ち込まれたとしても、技術者が「そこにあるパーツで」パパっと修理してしまうものの、英国では(というか他の国ではそうかと思うのですが)マニュアルに従い正規のパーツを使用して修理することになり、しかし現在英国では「中国製EVのマニュアルもパーツも手に入らない」ということに。

ORA

そして中国の自動車メーカーは「英国の自動車修理に関する事情も中国と同じだろう」と理解しているということになりそうですが、たとえ自動車といえども多くの中国製品のように「売りっぱなしであり、アフターサービスという概念が存在しない」のかもしれません。

今回のような問題はこれまで報じられることはあまりなく、しかし今後中国製EVが普及してくると大きな問題となる可能性も。

実際のところ、多くの中国製品(もちろん全てではない)がこういった「売りっぱなし」によって市場から消え去ることとなっていますが、こういった例もあるため、ぼくは「中国製EVは一時的に増加するだろうが、いずれは衰退する」と考えているわけですね。

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ただし保険料の高騰に悩まされているのは中国製EVのみではない

しかしながら「保険料の高騰」に直面しているのは中国製EVのみならず他の国で製造されたEVも同様だといい、今年初めの報告書によると、EVユーザーは内燃機関車ユーザーのほぼ2倍の保険料を支払っていることがわかっており、EV販売においては一日の長があるテスラですらその所有者が保険料の値上がりに苦しめられていると言われます。

さらに別の報告書では、「バッテリーの軽微な問題であっても」バッテリーの全交換を余儀なくされるEVの保険料は非常に高くなり、構造要素としてバッテリーを使用している車両は保険料が非常に高くなる傾向があることについても言及されており、EVの修理費用の高額さ、そしてそれに起因する保険料の高さは容易に解決できる問題ではないのかもしれません。

そう考えると、やはりEVの普及というのは「様々な状況とともに」自然に発展するべきであり、無理矢理に発展させると様々な歪が出てくる可能性がありそうですね。

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参照:CARSCOOPS, Auto Express

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