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あの「最も有名なシートメーカー」レカロが突如として破産申請を行ったとの報道。このままでは各自動車メーカーへの供給がストップし、ポルシェ、BMW等への影響必至

あの「最も有名なシートメーカー」レカロが突如として破産申請を行ったとの報道。このままでは各自動車メーカーへの供給がストップし、ポルシェ、BMW等への影響必至

Image:Recaro

| レカロの従業員も事前にこの事実を知らされておらず、「寝耳に水」とはまさにこのことである |

このままレカロが消滅するとは考えられず、おそらくはどこかが買収に動くだろう

さて、ビルシュタインと並ぶ「神器」と称され、世界最高のスポーツシートメーカーでもあるレカロ(レカロ・オートモービル・ヴォッヘ)が破産を申請したとの報道。

ちなみにですが、レカロの自動車部門は2020年から投資会社レイヴン・アクイジションズの手に渡っていて、レカロ本体つまり航空機、オフィスチェア、ゲーミングチェア、ベビーシート部門とは別会社として機能しており、(今のところ)これらは影響を受けないものと思われます。

むしろレカロのシートに座ったことがない人のほうが少ないかもしれない

上述の通りレカロは多方面にて製品を展開していることで知られ、クルマのみならず飛行機やオフィスチェア、ゲーミングチェア、スタジアムのイスなど、公共・個人用とわず様々な場面にて使用されているため、むしろレカロのチェアに座ったことがないという人のほうが少数派かもしれません。

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そしてレカロのシートは多くの名だたるスポーツカーに採用されており、「レカロのシートなくしてはスポーツカーは完成しない」と言われるほど。

それだけに今回の報道はあまりに衝撃的ではありますが、もっと衝撃的であったのはレカロの自動車部門の従業員であり、事前に破産について知らされておらず、報道によって「自身の勤務先が破産したことを知った」のだそう。

これはもちろん、ドイツの大手労働組合IGメタルにとっても驚きでしかなく、同組合もドイツのエスリンゲン地方裁判所を通じてこれを知ることとなり、「レカロの経営陣が最新情報をほとんど提供していない」ともコメントしています。

なお、レカロの従業員(キルハイム工場の労働者)は会社の財務を健全に保つため、近年では昇給や福利厚生を放棄することに合意していたといい、会社のためを思って自らの生活を犠牲にしていたにもかかわらず「この仕打ち」。

自動車メーカーにとっても今回のレカロの破産申請は「大きなショック」である

ただし混乱に陥るのはレカロの従業員のみではなくレカロにシートを発注していた自動車メーカーも同様であり、というのも「レカロの代わりはすぐに見つからないから(代わりがあるとすればサベルトかスパルコくらいだと思われるが、バリエーション、技術など様々な方面でレカロには及ばない)」。

たとえばタイヤメーカー(ミシュラン、ピレリ、ブリジストン、ダンロップ、グッドイヤーなど)のひとつが倒産したとしても他のサプライヤーに乗り換えることができますが、レカロの場合はそうではなく、よってレカロが今回の破産宣告に関して救済措置が施されず操業を停止したとなると、自動車メーカーは新しいシートのサプライヤーを探し、そしてテストを行わなければならず、これには途方もない時間と労力がかかります。

ここで簡単にレカロの歴史について触れておくと、ヴィルヘルム・ロイターにより自動車のボディと内装の製造を目的として1906年に設立され、その後に社名をロイター・カロッセリーに変更し、さらにその後には(顧客の1社であった)ポルシェに買収されることに。

ポルシェは、ボディ部門と内装部門を分離し、ボディワーク部門は自社で保持し、残りの部分がレカロとなって、ポルシェとアフターマーケットコミュニティ向けのスポーツシートの製造を開始することになりますが、さらにその後、レカロは1970年代初頭に航空機シートの製造を開始し、1990年代後半には別々の会社に分割されています。

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このようにレカロとポルシェとは非常に関係性が深く、よってぼくは「ポルシェがレカロを買い取るだろう」と考えていますが、レカロは高性能スポーツシートでは「ほぼ独占」状態にあり、となれば価格設定は「思うがまま」であったと思われ、つまり非常に高い収益性を持っていたと考えるのが妥当かもしれません。

しかしそれでも破産宣告を行ったということは、なんらかの「経営上の問題」があったとしか捉えることができず、まさに不可解な一件だとも捉えています。

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参照:Automobilwoche, Wirtschafts Woche

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