| テスラのクルマは「スーパーチャージャー」を利用でき、オンラインアップデートにて販売済みのクルマも最新の状態に保たれる |
そして他の自動車メーカーのEVは「売りっぱなし」に近い状態である
さて、過去に何度も「EVは売却時にとんでもなく値下がりする」という話が報じられ、過去には日産リーフ、最近だとポルシェ・タイカン、メルセデス・ベンツEQS/EQEなどが「売るときには半分どころかそれ以下になる」と言われていますが、直近のプレミアムEVの中古相場下落は一昨年末にテスラが仕掛けた(新車の)値下げ競争によって引き起こされたもので、これを発端として「まだまだ新車の価格が下がる」という思惑から中古市場の下落が加速し始めたわけですね(もちろん、これだけが”中古EVが安い”要因ではない)。
ただ、裏を返せば、「発売から1-2年しか経っていない最新のEVを、ガソリン車の中古よりもずっと安価で購入できる」というのが現在の状況であり、これはひとつの明るい側面かもしれません。
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過去12ヶ月、EVは「ガソリン車の6倍の速度で」中古価格が下がっている
そこで今回、米中古車ポータルサイト、iSeeCarsが発表した(中古電気自動車市場の動向を説明する調査に関連した)データによると、なんと「テスラ・モデル 3、日産リーフ、ヒョンデ・コナ・エレクトリック、キア・ニロ EV などの電気自動車の価格は、過去12か月間でガソリン車の6倍の速さで下がっている」。
まず、中古EVは2023年9月以降、その価値が24.7%下落しており、これに対して中古ハイブリッド車は6%、中古ガソリン車は4.4%の下落にとどまります(2023年8月から2024年の間に販売された1~5年落ちの中古車160万台から取得したデータなので信頼性が高い数字である。ただしテスラを除く主なEVの多くは発売から5年も経過しておらず、よってここでいうEVとはほとんどがテスラ車ということになりそうだ)。
ただ、この下落ペースは「以前ほど」劇的ではないといい、というのも中古EVの価格は2023年末から2024年初頭にかけ「30~40%」も下落していて、よって直近の25%という数字は(価格の下落が)少し落ち着きつつあることを示しています。
実際のところ、iSeeCarsのエグゼクティブアナリスト、カール・ブラウアー氏は「過去1年間のEV価格の大幅な下落は、需要に見合ったものになったようだ。中古EVの市場在庫日数は現在かなり短く、1年前に比べて販売ペースが速いことを反映している」と述べ、つまりEVの中古価格がは2023年末から2024年初頭にかけ大きく下落し、これによって中古EVの割安感が強くなり、そこで消費者が中古EVを積極的に購入し、その結果中古EVの市場価格の下げ幅が縮小したということに。※中古EVの平均価格は現在2万7000ドルで、今後2万5000ドル前後で安定すると予想されている
この結果、中古EVが在庫される平均日数は2023年9月時点で55.3日だったものの現在は38.6日となっているといい、現在の数値は中古ガソリン車、中古ハイブリッド車と「同等」。
「中古電気自動車のお買い得品を待っていた人々は、その忍耐が報われたと言って良さそうです。1年前に中古EVを買った人は、おそらく買うのが早すぎたのでしょう。しかし、今の価格では、中古EVは理にかなってきています。ライフスタイルや車のニーズがEVの利点と限界に合致していると仮定すればですが。」
そして上述の通り、このトレンドの主役はテスラ、とくにモデル3だとされ、モデル3の平均価格は1年前より8,500ドル以上安い「約26,000ドル」となっっていて、これは少し前の「中古のほうが新車よりも高かった」状況からは予想もできないほど。
ただしキア ニロEVの平均価格は昨年より約6,000ドル約22,000ドル、日産リーフは12か月前より約4,000ドル安い16,000ドルに落ち着いており、全般的に「大きく下がっている」のは間違いなさそうですね。
しかしながらこういった「割安な選択になってきた」中古EVの中でもとくにオススメなのはテスラ・モデル3そしてモデルYだとされ、その理由は広大なスーパーチャージャー ネットワークの恩恵を受け、ソフトウェア アップデートによって時間の経過とともに製品が改善され続けているから。※モデルYはまだ価格が下がりきっておらず、よってより価格が下がっているモデル3のほうがさらにお得
これはほか自動車メーカーのEVにはない特徴でもあり、よってテスラのEVはここから大きく下がったりすることはないかもしれません(少なくとも他社のEVに比較して下げ幅が小さくなるであろう。テスラが新車価格を大幅に引き下げない限りという但し書きがつくが)。
こういった状況を踏まえ、モロモロ考え合わせると、中古EVそしてテスラ・モデル3が「中古市場における格好の選択肢」であるとも考えられます。
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