
| V6エンジンは「軽量コンパクト」、さらには環境対応型の新世代ハイパフォーマンスユニットとして注目されている |
特にトルク不足を「エレクトリックモーターで補う」という新しい考え方も
さて、言うまでもなく自動車史において最も重要なエンジン形式はV12かと思いますが、その次に挙げられるであろうアイコとくにニックなレイアウトが「V8」。
このV8エンジンはアメリカンマッスル、スモールフェラーリ等に搭載され、マクラーレンそしてメルセデスAMGのパフォーマンスを牽引してきた存在です。
ただ、このV8の影に隠れつつも優れたパフォーマンスを発揮しているのが「V6」エンジン。
中にはV8エンジンのパフォーマンスを凌駕するものすら存在しますが、ここで「古今東西」強力なV6として知られるエンジンを見てみましょう。
メルセデス・ベンツ「M112」
搭載車種: メルセデス・ベンツ C32 AMG、SLK32 AMG
最高出力: 350馬力
M112エンジンはもともと3.2リッター、そして225馬力というスペックであったものの、AMGがスーパーチャージャーを2基装着し約100馬力もパワーアップさせることに成功。
2000年から2004年までC32 AMGとSLK32 AMGに搭載されていますが、GMが8気筒で350馬力を実現していた頃、メルセデスAMGは2気筒少ないV6で同じ出力を達成していたわけですね。
トヨタ 「2GR-FE」
搭載車種: トヨタ・シエナ、ロータス・エヴォーラ
最高出力: 400馬力
トヨタの2GR-FE V6は、ミニバンのシエナにも搭載されるファミリー向けエンジンではあるものの、ロータスの手にかかれば別物に。
2009年に登場したエヴォーラに搭載され、さらにスーパーチャージャー付きバージョンはロータス・エキシージにも採用され、このエンジンは現在もロータス・エミーラに搭載されています。
フォード 「デュラテック V6」
搭載車種: フォード・フュージョン、ノーブル M400
最高出力: 425馬力
フォードのデュラテック V6は、もともと1996年のトーラスに搭載された平凡なエンジンであったものの、イギリスのスポーツカーメーカー・ノーブルがこのエンジンにツインターボを装着し、M400に搭載したことで425馬力を発揮するモンスターに生まれ変わっています。
ホンダ 「JNC1」
搭載車種: アキュラ NSX(2代目)
最高出力: 500馬力(エンジン単体)
ホンダは2代目NSXのために新しく3.5リッターV6ツインターボ「JNC1」を開発していますが、これはエンジン単体で500馬力を発揮し、ハイブリッドシステムを加えると総出力は573馬力にも達します。
アルファロメオ 「690T」
搭載車種: ステルヴィオ・クアドリフォリオ、ジュリアGTA
最高出力: 533馬力
このアルファロメオの690Tエンジンは2015年から生産され、ジュリアGTAでは533馬力、ステルヴィオ・クアドリフォリオでも500馬力以上を発揮するというパワフルなユニット。
フェラーリのV8エンジンから「2気筒を削った」設計を持つことで知られます。
ジャガー 「JRV-6」
搭載車種: ジャガー XJ220
最高出力: 542馬力
1992年、ジャガーはV6エンジンを搭載したスーパーカー「XJ220」を発表していますが、当初計画されていたV12搭載からV6ツインターボへとエンジンが変更され、しかしそれでも542馬力を発揮し、最高速度は当時世界最速の217mph(約349km/h)を記録することに。
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メルセデス・ベンツ 「PU106B」
搭載車種: メルセデスAMG One、F1 W06
最高出力: 566馬力
2015年のF1用ハイブリッドエンジン「PU106B」は15,000rpmで566馬力を発揮し、エネルギー回生システムを搭載することで50%以上の熱効率を達成。
市販車ではメルセデスAMG Oneに搭載されています。
マクラーレン 「M630」
搭載車種: マクラーレン・アルトゥーラ
最高出力: 577馬力(エンジン単体)
マクラーレンがアルトゥーラ用に新開発した3.0リッターV6ツインターボはエンジン単体で577馬力を発揮し、さらにハイブリッドシステムと合わせるとシステム合計出力は671馬力にも。
日産 「VR38DETT」
搭載車種: 日産 GT-R、日産 ジューク-R
最高出力: 600馬力
2007年に登場した日産のVR38DETTエンジンはGT-Rやジューク-Rに搭載され、最終型では最大600馬力を発揮するようになり、現代の名機としても知られていますね。
マセラティ 「ネットゥーノ」
搭載車種: マセラティ MC20
最高出力: 621馬力
マセラティがMC20用に開発したネットゥーノエンジンは、3.0リッターV6ツインターボで621馬力を発揮しますが、電動化なしでここまでのパフォーマンスを実現する例は「極めて稀」です。※フェラーリ296GTB/296GTSに搭載されるV6はこれ以上の馬力を発生するが、ハイブリッドを前提にした設計である
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フェラーリ 「Tipo F163」
搭載車種: フェラーリ 296、フェラーリ 499P
最高出力: 654馬力
フェラーリが開発したF163 V6ツインターボは、ロードカーの296GTB/296GTSであっても654馬力を発揮し、ハイブリッドシステムと合わせると830馬力に到達。
この「改良型」はル・マンを制したハイパーカー、499Pにも搭載されています。
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フォード エコブースト V6
搭載車種: フォード GT(2代目)
最高出力: 660馬力
フォードの3.5リッターエコブーストV6(名称からして平凡)はトランジットのような商用車にも搭載される一方、ツインターボ化され2代目フォードGTに搭載されると660馬力を絞り出すことに(まさに驚きの進化である)。
こうやって見ると、「ミニバンやセダンに搭載される平凡なエンジン」であったとしても、そのチューニング次第で大きく性格が変化するということもわかりますね。
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参照:jalopnik