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シャネルの限定腕時計「J12 BRUSH」を購入。ボクはシャネルに対して常々こういった理由にて高い評価を下している【動画】

シャネルの限定腕時計「J12 BRUSH」を購入。ボクはシャネルに対して常々こういった理由にて高い評価を下している【動画】

| シャネルはそのロゴ、カラーリング、デザインにおいて「完璧」である |

シャネルはほかブランドを模倣せず、またシャネルを構成する要件を模倣することも困難である

さて、シャネルの腕時計「J12 BLUSH キャリバー 12.1, 38mm」を購入。

ケースとブレスレットはポリッシュ仕上げのブラックセラミック、そしてベゼルとインデックスの「ピンク」はシャネルのメイクアップ パレットから着想を得たというカラーリングを持っています。

なお、このBLUSHシリーズからはいくつかのモデルが登場しているものの、メンズとして着用できるのはこの1本のみで、よってその1本を押さえたというわけですね。

ちなみに「限定」ではあるものの生産本数は明かされておらず、しかしこれまでのシャネルの限定シリーズの生産本数から推測するに「1,000本以下」だと思われます。

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ボクはJ12にいい思い出しか持っていない

ちなみにぼくは過去にJ12(第2世代、下の画像)を所有していたことがあり、そしてかなり愛着を持っている腕時計のひとつ。

その理由としては、「今日はどの腕時計を身に着けようか・・・」と悩んだとき、どんな服装であってもJ12であれば「間違いなく」しっくり来るからで、そしてどのようなシーンであってもまず気後れすることなく、そして過剰に主張しすぎることもなく身につけることができるから。

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シャネルの腕時計「J12」を買ってみた。セラミックが唯一無二の存在感を発揮

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参考までにJ12の登場は2000年で、まずはブラックセラミック、そして2003年にはホワイトセラミックが登場しています。

そしてセラミックを使用したのは「傷つかず、壊れない」という理由からだとされ、これは「傷つかず、壊れない」ことから「不変、かつ永遠の愛」を示していると(当時)説明されていますが、実際のところ傷を気にせず着用でき、かつケースやベゼルの角が丸く取られているためにシャツやジャケットの袖にも引っかからず、そしてもちろんほとんどの素材よりも「硬いので」傷つくことを気にせず様々なシーンにて着用できたわけですね。

今回購入したJ12 BRUSHにつき、まずはボックスから見てみると、こんな感じでつや消しのシックな外箱へと変更されています。

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内箱はホワイト。

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これを開くとかなり高級っぽい内張り、そして箱の内側にはグロスブラックの樹脂がはめ込まれ、カラーや光沢、そして素材によるコントラストが演出されているのが「シャネル流」。※ボックスに至るまで、そうとうなこだわりようである

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そしてピローもしっかりした作りを持っていて、両端にはストラップを通すループも(このモデルでは使用しないが、レザーストラップを採用するモデルではこのループを使用することになる)。

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シャネルJ12の基本デザインは「変わっていない」

驚くべきは、マイナーチェンジこそあれどJ12の基本デザインが変わっていないこと。

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驚くべきことにケースやブレスレットのデザインはほぼ変わらず、文字盤のデザインも同じまま(中央に段差が設けられているなどの改良はある)、そして板バネ内臓のバックルも同じ構造を保っています。

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ここで何が言いたいのかというと、J12は登場初期から「完成されていた腕時計」であり、それ以降は(機能を除くと)デザイン的な変更を行う必要がないほどに洗練された腕時計であったということ。※腕時計製造の歴史が長い”腕時計メーカー”であればこれも納得であるが、シャネルは腕時計メーカーではない

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これはシャネルの他の腕時計(プルミエールなど)やシャネルの「ロゴ」そのものにも言えることで、「研ぎ澄まされたシンプルさ」を持ち、変更を許さないほどの完成度を持つことの証左にほかなりませんが、これは「シャネルにしか出来ない」ことなのかもしれません。

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なおインデックスは立体(アプライド)で・・・。

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ベゼル本体はマット(マイクロブラスト)仕上げのセラミック。

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シャネルは他社の「真似をしない」

そしてシャネルの製品に共通して言えるのは「他のブランドの真似をしない」ということで、たとえばバレンシアガが「ショッピングバッグを模したバッグを発売し大ヒットした後」、ほかブランドが(ルイ・ヴィトンまでも)この手法を模倣したものの、シャネルは「我関せず」としてこのトレンドから距離を置いています。

そのほかにもファッション業界、腕時計業界には様々なブームが発生したものの、シャネルはこういったトレンドに一切迎合せず、ちょっとだけサイズが大きくはなったものの「コンパクト」を貫いており、ミリタリーやヘビーデューティー、グリーンやブルーといったトレンドも「完全無視」。

この天上天下唯我独尊っぷりがまさにシャネルをよく表しているともいえますが、これがシャネルを独自のポジションへと導いているのだとも考えられます。

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そしてもうひとつシャネルについて述べておかねばならないのは、「シャネルのマネをすると、すぐにそれと分かる」ということ。

ホワイト&ブラック、ツイード、ダイヤモンドキルトなど「シャネル特有の」ディティールは数多く、そしてJ12についても(上述の通り)究極のシンプルさを持っているため、これを真似すると「すぐにシャネルのコピー」だとバレてしまうわけですね。

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さらに面白いのは、J12のディティールを個別に見たとき、「意外と普通」であること。

よってJ12部分的に真似しても「排他性のあるデザインにはならず」「かつシャネルっぽくもならず」、シャネルのように見せかけようとするならば、J12を「丸ごとパクるしかない」ということに。

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これは(ベゼルなりケース構造なりの特徴的なディティールを持つ)オーデマピゲやパテックフィリップ、リシャールミル、ウブロとは全く異なるところで、つまりシャネルJ12は「ディティールそのものは普遍的で、しかしそれらが完璧なバランスをもって集合することで他に類を見ない完璧な製品となっている」と言い換えることも可能です。

もっとわかりやすいのは「CHANEL」そして「C」が組み合わさったロゴですが、フォントやカラーは「極めて普通」であり、たとえばフォント自体がデザインされた「Ferrari」のロゴとは対照的。

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たとえば「Ferrari」と同じフォントを使用して別の文字列を作っても「フェラーリのロゴっぽく」なるのに対し、シャネルのフォントを使用して別の文字列を作ったとしても「まったくシャネルっぽくならない(普通の文字にしか見えない)」ということが理解できるかと思います。※この”特徴がない”フォントを使用し、特徴的なロゴを作ってしまったのがシャネルのスゴいところでもある

シャネルの腕時計「J12 BLUSH キャリバー 12.1, 38mm」はこんな腕時計

そこでこのJ12 BRUSHを見てみると、第2世代ユーザーであったぼくから見ると「見た目はほとんど同じではあるものの、大きく進歩した」と感じられる部分が多数。

その最たる例は「ケースバック」ですが、初期のJ12は「安物のデジタル腕時計」のようなステンレス製プレートを貼り付けただけのケースバックを持っていて(それが当時のセラミックケースの技術的限界であったのだと思われる)、しかし最新のJ12では「ケースとケースバックとが一体化」。

よって安っぽいプレートを貼り付ける必要がなくなり、サファイアクリスタルをもって「シースルーバック」とすることが可能となったわけですね。

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ちなみにムーブメントはケニッシ製を独自チューニングしたものですが、巻き上げ用ローターは非常に薄く、「円」をモチーフにしたデザインがなされます(おそらくこの円はシャネルに縁があるものだと思われる)。※薄さを追求したのは、おそらく腕時計をコンパクトに仕上げたかったからであろう

なおローターやムーブメントの一部にはマイクロブラスト加工が施されており、伝統的な腕時計ブランドの仕上げとは全く異なる様相を呈することに(これはおそらく、”既存の腕時計メーカーと同じではない”というシャネルの矜持を保つためであろう)。

ちなみにケニッシ製ムーブメントはベル&ロスでも採用がなされていますが、シャネルはベル&ロスに出資していることでも知られていて、そのほか様々な分野のサプライヤー、メーカーにまで手広く資本を投下することで独自の技術構築網、そしてサプライチェーンを構築しています。

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参考までに、文字盤上の「円」は鉄道の線路をモチーフにしたもので、これはデザイナーが「鉄道マニア」であったから。

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セラミックのポリッシュ技術にも磨きがかかり、まさに「クローム」のような輝きを放っています。

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この「両開き」バックルはシャネル特有の構造で(のちにリシャールミルもこれを取り入れている)、その特徴としては「爪を使用せずにバックルを開くことが可能」。

これの意味するところは、「ネイルを施した爪を傷つけることなく腕時計の着脱ができる」というもので、いかにもシャネルらしい心遣いだと言えそうですね。

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なお、多くのハイファッションブランド、ジュエリーブランドが腕時計業界に参入していますが、成功したのはシャネルとカルティエのみだとも捉えており、たとえばルイ・ヴィトン、そしてエルメスですら「成功には至ってない」と考えています。

そしてシャネルが「腕時計という異業種にて成功した理由」を端々から見て取ることができ、使用すればするほどその理由を知ることができるのがこのJ12という腕時計なのかもしれません。

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全体的にはあらゆるエッジが落とされ段差を抑えた「ツライチ」、そして腕にピッタリと張り付くように(寄り添うように)デザインがなされ、かつコマひとつひとつのサイズも「大きすぎず小さすぎず」。

察するに、近年のカルティエのように、このJ12も「腕時計ではなくブレスレット」を作ろうと考えデザインされた腕時計なのかもしれません(そう考えると、既存の腕時計に使用される素材や技術ではなく、シャネルがほぼすべてを独自に、かつ新規に開発したことも頷ける)。

シャネルJ12は「機能的」には完璧ではなかった

ただ、「デザイン的」には完璧であったJ12といえど初期の製品にはちょっと品質的な問題があり、まず「ホワイトセラミックモデルだと、ブレスレットのピン周辺から黄ばみが生じた」こと。

そして(ホワイト / ブラックセラミック共通にて)ブレスレットの「伸び」が見られるという問題があったものの、マイナーチェンジごとにそれら問題をクリアしており、現行製品では「黄ばみや伸びは皆無」だと聞いています。

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さらにJ12には「失敗作」があり、それは一時期登場した、アルミニウムを使用した「スーパーレッジェーラ」。

これはアルミニウムの素材的特性に起因し、摩擦による損耗そして黒変を避けることができず、短期間にて姿を消したモデルです。

さらにJ12はこのほかにも様々なバリエーションを持っており(そしてその多くは消えていった)、つまるところ様々なチャレンジの上に成り立っているのがJ12で、しかし「普遍の愛」をその素材にて、そして時代を超越した価値をデザインにて表現し続けて来たのがこのJ12という腕時計でもあるわけですね。

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シャネルはなぜカメリアを使用するのか

ちなみにですが、今回のJ12 BRUSHはシャネルの新作発表イベントにて注文したもの。

そして来場記念としてアラン・デュカスによるチョコレートをいただいたのですが、このチョコレートはなんと「カメリア」を象ったもの。

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このカメリアはココ・シャネルが愛用してきたモチーフでもあり、かつての恋人からカメリアを贈られたことから「カメリアを永遠に愛するようになった」とされますが、そういった由来もあってシャネルはJ12で「永遠の愛」を表現しようと考えたのかもしれません。

参考までに、上述の「円モチーフ」は一説によるとこのカメリアを表現するものだとも言われていて、となるとJ12はスケルトン化によって、さらに(もともと持つセラミックの性質によって表現された永遠性に加え)その永遠の愛というコンセプトを固めたのだとも考えることができそうです。

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参考までに、このJ12は「(特殊な撮影ブースを使用しない限り)どうやって撮っても」光が映り込むという撮影しにくい腕時計なのですが、それは裏を返せば「どの角度であっても光を反射して見せる」ということであり、それだけ視認性が高く、周囲に対してのアピール度が高い腕時計だともいえそうですね。

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シャネル J12 BRUSHのアンボックス動画はこちら

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