それは訓練を受けないと失神するレベルの速さ
アストンマーティンがそのハイパーカー「ヴァルキリー」にサーキット専用モデル「ヴァルキリーAMR Pro」を投入する、と発表。
ロードゴーイングバージョンのヴァルキリーと同様にレッドブルと共同にて開発されるものですが、今回はそこにAFレーシングも参加する、とのこと。
限定25台、F1マシンやLMP1クラスのレースカーよりも速い
製造台数は25台(公道走行可能なほうは150台)となっており、納車は2020年から。
公道走行可能なヴァルキリーとの最大の相違は「ダウンフォースを増加させるためのエアロダイナミクス」つまり外観だとしており、保安部品が取り除かれるほか、登録上の問題となる「突起物」「ウイングなどの出っ張り」という制限がなくなるために様々な付加物が与えられる模様。
もちろん「段差」も考慮する必要がなくなるのでフロントスポイラーも大型化される見込みで、タイヤはミシュラン製のレース用タイヤ(LMP-1レースカーに装着されるものと同じスペック)を装備する、とのこと。
さらにはヒーターやインフォテイメントシステムも取り除かれ、ウインドスクリーンはポリカーボネート製に、エキゾーストシステムも保安基準を無視した軽量なものへ。
もちろんブレーキやサスペンションも変更を受けるとのことですが、これらによってコーナリング時には3.3G、加速/減速時には3.5Gをオーバー。
サーキットでのタイムもF1マシンやLMP1マシンを凌駕するとされ、もちろんこれは普通の(プロではない)ドライバーにとって完全に「未知の領域」。
よってアストンマーティンとしてはレッドブルと協力してF1ドライバー訓練用シミュレーター等の施設を(ヴァルキリーAMR Proの購入者に)開放するほか、体力増強やサーキットでのトレーニングについても請け負う、としています(冗談抜きで訓練しないと失神するレベル)。
↓ちなみにこちらは2017年のF1マシンにかかるGを計測した動画。なんと6.3G
なおエンジンは6.5リッターV12を継続採用するとされ、しかしスペックは現時点で不明(もちろんパワーアップされると思われる)。
今回、この「ヴァルキリーAMR Pro」の販売対象は明かされていないものの、当然ながらヴァルキリー購入者に絞られると思われます。
同様の車両だと「マクラーレンP1」購入者を対象に販売されたサーキット走行専用モデル「P1 GTR」がありますが、この「P1 GTR」を公道仕様にするというサービスもあり(マクラーレン本体ではなく認可を受けたファクトリーが行う)、「公道仕様車をレース仕様にした車をまた公道仕様に戻す」という奇妙な作業が行われていることに(もちろん最初の公道仕様に戻るわけではない)。
アストンマーティンのサーキット専用車両「ヴァルカン」においても同様に公道仕様へとコンバートするサービスがあるので、今回の「ヴァルキリーAMR Pro」もまた、これを公道仕様へと戻す人が出てきそうですね。
「AMR」とは?
「AMR」はAstonmartin Racing(アストンマーティン・レーシング)の略で、アストンマーティンが新たに立ち上げたサブブランド。
グリーンとイエロー(ライトグリーン?)をイメージカラーとしており、レースのエッセンスを盛り込んだカスタムを施した市販車をすでに発表済み。
このAMRの「本気」プログラムが「AMR Pro」になると思われ、こちらもすでにヴァルカン向けにアップグレードを公開していますね。