アストンマーティンとレッドブルとが共同にて開発をすすめるハイパーカー、「AM-RB001」の正式名が公開に。
今回動画とともに、その名称が「ヴァルキリー」になる、ということが発表されています。
ヴァルキリー(valkyrie)は北欧神話に登場する神で、戦場において生死を決すると言われる存在。
ドイツ語のワルキューレ(Walküre)の英語表記となります。
アストンマーティンは戦争に関するネーミングを選ぶことがあり、たとえばサーキット専用の限定モデル「ヴァルカン」も戦闘機の名称から。
加えて今回の「ヴァルキリー」は最初の文字が「V」となっており、これは1951に登場した「ヴァンテージ(Vantage)」、その後の「バンキッシュ(Vanquish)」「ヴィラージュ(Virage)」など「V」がつくものを伝統的に採用する傾向があるようですね。
アストンマーティンがレッドブルとの共同開発車両、AM-RB001ヴァルキリーの画像を公開。
自然吸気による高回転型V12エンジンをミッドに搭載し、パワーウエイトレシオは1:1。
まずはロードカーからのリリースとなり、後にサーキット専用モデルも発売される見込み、とのこと。
詳細は追って公開されると思いますが、ざっと明らかになっている範囲ではエイドリアン・ニューウェイによるカーボン製の基本構造を持ち、グラウンドエフェクトを強化。
エアロパーツによってロードカーとしては史上最低レベルの空気抵抗に抑えられている、とのことです。
サスペンションとトランスミッションは同じくニューウェイによってデザインされ、レッドブルによって開発されたもの。
目指したのは高速域での強力なダウンフォースと日常使用における快適性とのことですが、「快適性」というキーワードが入るのはアストンマーティンならでは、というところですね。
なおフェラーリやマクラーレンはFXX KやP1GTRといったサーキット専用モデルを発売しており、アストンマーティン(とレッドブル)もAMRB001のサーキット専用モデルでこれに続く形。
これらはF1というバックボーンを持つメーカーならではですが、一方でランボルギーニはモータースポーツにはあまり積極的ではない(会社の歴史からして)ので、今後もこういったモデルは出ないかもしれません。
最終的な製造はアストンマーチンのゲイドン工場にて、アストンマーチンのパーソナリゼーション部門「Q」とレッドブル・アドバンスト・テクノロジーとによって製造されると言われますが、発売時期や価格、生産台数についても今のところ未公開。
先日は日本にもやってきていたアストンマーティン×レッドブルのハイパーカー”AM-RB001ヴァルキリー”ですが、中国にも展示を行い、VIP向けの内覧受注会を開催。
アストンマーティンはいろいろな意味で中国とのつながりが深く、中国製パーツを使用してリコールになったり(しかも中国側はシラを切った)、にもかかわらずイギリスまで中国の投資グループを呼んで資金を集めたり、といった感じですね。
痛い目にあったにも関わらず中国を頼りにせざるを得ないのが現状で、現在LeEcoなど中国企業とのパートナーシップを結んでいる、と言われます。
それによってラピードのエレクトリックモデルには中国の技術が使用される、逆に中国ベンチャーのスーパーカーをアストンマーティンが製造するといった噂が出ていますが、それほど中国に深く踏み込んでいる、とも受け取れます。
なお今回展示されたのは日本と同じモックアップで自走はできないもの。
それでもお金のある中国人にとっては非常に興味をそそるものと思われ、しかし関税や排気量を考えると中国での販売価格は他の国の倍くらい、つまり6億円にも達するかもしれない、と思います(中国のお金持ちにとっては大きくない額と思われますが)。
なお現段階では150台のみが生産されると言われますが、仕様等詳細は不明。
F1直系の技術に加え、アクティブサスを装備し、重量は1000キロ程度。
レッドブルによると「サーキットを走るとF1よりも速い」とのこと。
日本でもアストンマーティンとレッドブルが共同開発するハイパーカー、「AM-RB001ヴァルキリー(のコンセプトモデル)」が公開に。
VIPとメディアのみに公開されたようですが、価格は3億円前後とのこと。
なお限定台数は(全世界)150台で、すでに600台の購入希望が寄せられており、日本からも相当数の要望があるようです。
なおAM-RB001のプロトタイプが公開されたのはイギリス、フランス、シンガポール、日本だけとのことで、比較的日本市場が重要視されていることもわかります。
多くの(プレミアム)自動車メーカーにおいて日本は3番目〜5番目程度の市場規模を持ちますが、アストンマーティンにおいてもおおよそ同じくらい、ということですね。
なおロールスロイスとランボルギーニでは3番目、BMWやポルシェにおいては5番目あたり。
欧州の自動車メーカーはこう言った序列をしっかりとつけており、自社にとって有利なマーケットや顧客を保護する傾向と方針が明確で、その理由についても「はっきりと」述べます。
要は「この国はたくさん買ってくれるから重要だ」、逆に「そちらは数を買わないのであまり重要ではない」など。
日本人からするとドライすぎるんじゃない?という感じですが慣れるとその正直さも清々しく、「ああ日本はやはり数が出ないので重要視されていないのか」と諦めがついたり。
例えばアウディだとA1、Q3は他の国での需要が高いので「日本に回す余裕がない」とはっきり述べたり、シトロエンだとC4カクタスについて「日本の市場規模だと日本仕様モデルを用意するのは難しい」といった感じです。
これらが公式として発言されるのは日本的感覚からすると理解しにくいように思いますが、徹底した資本主義、そして実力主義の欧米らしい発言でもありますね。
なおカルフールが日本から撤退するときも「日本は魅力的な市場ではなく、より可能性がある中国市場に注力するため」とコメントしており、こう言った「正直さ」は自動車業界だけではない模様。
なお、今回のAM-RB001についても「One-77とヴァルカンの購入者を優先」としており、その両者を購入していなくても「ラゴンダを買えば優先順位が上がる」と明言しており、ここでも「資本主義」が明確になっています。
最初はこう言った欧州の「あからさまな資本主義とVIP優遇政策」には「えっ」と思ったものですが(日本企業だと公式にこう言った発言はしない)、慣れるとかえって購入条件が明確になってわかりやすいですね。
なおこの傾向はアメリカよりも欧州の方が強いようで、これも階級社会が根付いている欧州特有と言えるかもしれず、アメリカだと最近フォードGTの限定販売に対しての購入希望を受け付けていましたが、自由の国アメリカらしく「誰にでもチャンスがある」ような雰囲気を出していましたね(実際はそうではなかったのですが、明言は避けていた)。
Motor1にて、アストンマーティンとレッドブルによるハイパーカー、「AM-RB001ヴァルキリー」の画像が公開に。
日本でもこれと同じと思われるモックアップが公開されていますが、ここまで細部の分かる画像はなく、非常に参考になるところ。
このモックアップについてアストンマーティンは「95%市販モデルと同様」と述べており、まずこの姿で発売されるのは間違いなさそうです。
なお今回公開されたのはパリで、これはVIP顧客のみではなく「一般」に公開された、とのこと。
現時点でわかっている情報は非常に限定的ですが、出力は1000馬力、重量も1000キロ(つまりパワーウエイトレシオは1)とされ、おそらく公道最速になると見られます。
パワーウエイトレシオだけだとケーニグセグOne:1もその名の通り「1」ですが、このAM-RB001については、より進んだエアロダイナミクス、そしてアクティブサスなど車両コントロールデバイスが充実していることもひとつのポイントで、「異次元の速さ」となりそうですね。
なおパワートレーンは6リッター~7リッターV12エンジンを採用し、F1同様のKERSを組み合わせるというものが濃厚(トランスミッションはおそらくXtrac製)。
最高速度は時速400キロを超え、コーナリング時には4.5Gを超えるとされています。
生産台数は150台のロードバージョン、25台のサーキット専用バージョンが予定され、価格は4億円程度になるようですが、当然これらは「完売」していると考えて良いでしょうね。
アストンマーティンとレッドブルによると、「サーキットではF1よりも速い」としており、そんなことが可能なのかとも思いますが、今まで「F1で数々の奇策を用いて技術革新を行ったものの、すぐにそれが禁止されてきた」歴史を持つエイドリアン・ニューウェイ氏の設計によるものであることを考えると、おそらく「可能」。
現代のF1の優れたところを取り入れ、それに加え自分が考案したもののF1では禁じ手となったデバイスを取り入れることで「F1以上」のマシンを作ろうと考えていると思われ、「エイドリアン・ニューウェイ氏のやりたいこと」が全て詰まった車になると考えて良さそうですね。
このあたり、ほぼ同時期にハイパーカーを発売するメルセデスAMG(プロジェクト・ワン)とは考え方が異なるのが面白いところ。
プロジェクト・ワンについてはあくまでもF1技術のロードカーへのフィードバックですが、AM-RB001はF1を超えるテクノロジーを用いて「F1の枠に留まらない」思想を持つ、ということになるのだと考えています。
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レッドブルとアストンマーティンとが業務提携。
アストンマーティンはAMGとも提携を行っており、EV分野に関しては中国のLeEcoとも提携しています。
一方レッドブルはF1においてはルノーのエンジン供給を受けるというちょっと奇妙な関係が発生することになり、レッドブルを通じてライバルであるルノーやAMGが共通する線上に並ぶことに。
レッドブルはルノーつながりでインフィニティ(日産)とのパートナーシップ契約を結んでいましたが、日産はAMGと提携しており、アストンマーティンの現社長は日産出身、という妙な関連性も。
今回のレッドブルとアストンマーティンとの提携はおそらく市販車に関するもの(もっと突き詰めるとロードゴーイングハイパーカー)と思われ、エイドリアン・ニューウィのデザインするハイパーカーを製造することが目的だと考えられます。
そのハイパーカーは「芸術とテクノロジーとの融合」とされ、現時点では「AM-RB-001」という名称で呼ばれ、そのまま「アストンマーティンとレッドブルとの第一号」ということなのでしょうね。
エンジンはアストンマーティン自社のものになるのかAMGのものになるのかは不明ですが、レッドブルが車体を設計するとなるとエンジンのデータは必要不可欠で、そうなるとAMGはこのハイパーカーへのエンジン供給を拒否する可能性も大(仮にAMGのエンジンを積んだとすると、そもそもアストンマーティンの存在意義が無くなる)。
F1マシンにはアストンマーティンのロゴが入ることになりますが、これは逆にアストンマーティンの技術がF1マシンに入るわけではなく、単に「資金提供」を行うスポンサーということなのだと考えられます。
アストンマーティンは台所事情がイマイチだと伝えられますが、各方面と提携を行い、中国からも資金を引っ張ったりとかなり精力的に活動。
財政状況が悪くなると通常は「開発が滞る→新車が出ない/出せても開発資金不足で競争力がない→売れない→潰れる」というプロセスを辿るわけですが、アストンマーティンは「苦しい時こそ精力的に活動しないと」本当に会社がヤバくなることを知っており、だからこそ業務提携によって開発資金不足を補ったり、恥を忍んで中国から資金を引っ張っているのだと思われます。
一見「なりふり構わぬ」行動にも見えますが、それだけブランドの存続に必死なのだということなのでしょうね。