| 見た目は「クルマ」の形をしているが、中身はレーシングカーと考えたほうが良さそうだ |
ロータスが先日よりティーザーキャンペーンを行っていたハイパーカー「Evija(エヴァイヤ)」を正式発表。
ロータス初のEVそしてハイパーカーとなりますが、ざっと見ると「アストンマーティン・ヴァルキリー」なみのエクストリームな構造を持っており、一般的な「クルマ」の範囲を大きく超えた乗り物のようです。
最近は先行するフェラーリやランボルギーニを追い上げるメーカーが新規/既存問わず多数登場しており、そしてアストンマーティンや今回のロータスなど、「フェラーリやランボルギーニを大きく超える」性能やエアロダイナミクス、パッケージングを持つクルマも登場していますね(後から追い上げる立場だけに、それらと同じではとうてい勝てないので当然といえば当然ですが)。
そういった意味では、今後フェラーリやランボルギーニも「認識を新たに」しなければならない局面も出てくるのかもしれません。
ロータス・エヴァイアは2020年に生産を開始予定
そしてロータスは、この新型ハイパーカー「エヴァイア」の生産開始が2020年から始まること、これは英国最初のエレクトリックハイパーカーになるということも主張。
多くのエレクトリックハイパーカー(リマックC_Twoやピニンファリーナ・バッティスタなど)の生産が2021-2023年頃になると見られている中、この「2020」というのはかなり早い時期だと言えますが、これは現在ロータスが中国の吉利汽車傘下に属し、同じグループに「ポールスター(ボルボのエレクトリックブランド)」が存在するため、その技術を活用できるからだと思われます。
この「EVIJA」については「最初の存在」という意味があるそうで、たしかにロータスの主張する「英国最初のエレクトリックハイパースポーツ」という意味とはマッチしそうですね。
その出力は自動車史上「最強」
ロータスいわく、このエヴァイヤは「量産車においては、史上もっともパワフルなクルマ」だと主張しており、その出力は実際に「2000PS」。
ケーニグセグ・ジェスコの1600馬力、リマックC_Twoの1888馬力(1914PS)をも超えており、「自動車史上最強」という言葉に偽りは無さそう。
現在ロータスは中国の吉利汽車傘下にありますが、エヴァイヤはその体制下で開発・発表された最初のクルマ。
中国には「世界にアピールするためには”ナンバーワンでなくてはならない”」と考える企業も多く、その考え方が反映されたものかもしれませんね。
加速性能については「0-100km/hを3秒以下で加速」とだけ公表されており、具体的な数値は示されていませんが、このあたりは今後開発を進める段階で明らかになるのだと思われます。
一方で最高速度については、「320km/h」と明確な数字が示されることに。
なお、この「3秒以下」「時速320キロ」は出力の割にけっこう控えめで、というのもリマックCTwoやピニンファリーナ・バッティスタは「1.85秒」「400キロ」という数字を持つため。
ロータス・エヴァイヤがこれらよりも重いとは考えられず、よってエヴァイヤは単なる数字の追求ではなく、「サーキットで使用する領域での性能、(最高速を犠牲にしても)ダウンフォースを重要視した」とも考えられます。
車体構造はカーボンファイバーモノコックを採用
現時点ではモーターの位置や数は不明で、しかしプレスリリースには「Motors」と複数形が使用されているので「2個以上」。
もっとも重いコンポーネントとなるバッテリーについては「車体中央にマウント」ということが明らかになっています。
バッテリーサイズや重量についてもいまのところは不明で、しかし「世界で最も充電時間が短い(12分で80%、18分で100%)」「一回の充電あたりの走行可能距離は400キロ」ということも公表済み。
車体構造は「カーボンファイバーモノコック」を採用し、モノコックの重量そのものはわずか129キロ。
これによって車体重量は1,680キロに収まるようですね。
サーキットではパフォーマンスを最大化し、街なかでも「乗りやすい」クルマに
そしてロータスはこのエヴァイヤを「サーキット専用のエクストリームなクルマ」とは捉えておらず、公道での快適性も追求したと述べ、”モータースポーツ由来の”サスペンションを持ちながら乗り心地も重視。
ドライブモードは「ECO」「CITY」「TOUR」「SPORT」「TRACK」が与えられ、つまりは省エネモードや街なか向けに反応をマイルドにしたモード、長距離走行用モードを備えるということになりそうです。
タイヤ(ピレリ・トロフェオR)はフロント20、リア21インチを採用し、ホイール素材はマグネシウム(尖ったセンターキャップは、国によって公道走行の認可が下りないかも)。
ブレーキシステムはAP製、そして鍛造アルミニウム製のブレーキキャリパー、カーボンセラミック性のディスクを装備しています。
なお、エレクトリックカーは「急激な放電を行うと」つまりサーキットで走行を行うとバッテリーが過度に発熱することがありますが、ロータス・エヴァイヤはこれを解決するためにラジエターを4つ装備してこれに対応しているようですね。
ロータス・エヴァイヤのデザインは「新世代」
そして見ての通りロータス・エヴァイヤはこれまでのどのロータスとも異なるデザインを持ち、その構造は非常に複雑(ボディパネルはカーボン製)。
アストンマーティン・ヴァルキリーと同じように「ティアドロップ形状のキャビンがあり、そしてそこからサスアームが生えて4つのタイヤを支える」車体構造を中心に、そこから必要なカバーをデザインしていった、という印象を受けます。
そのため、フロントからリアにかけて、「車体の中を風が通り抜ける」構造を持っていて、こういったところは「規格外」のクルマであるということを強く感じさせることに。
フロントフェンダー後方からもエアを思いっきり抜く構造を採用していて(飛び石キズが怖い・・・)、ドアミラーは「レス(カメラ)」であることもわかります。
このサイドカメラは車両をロックすると自動的に格納される、とアナウンスされています(このあたりはマクラーレン・スピードテールと同じ)。
そして後方確認はルーフに収められたカメラで行う模様。
充電ポートは、カメラの公報にある「LOTUS」ロゴが発光している部分から行うことに(これはティーザー動画にてすでに公開済み)。
上から見ると、キャビンがティアドロップ形状を持つことがよくわかりますね。
ヘッドライトは「レーザー」そしてオスラム製。
フロントバンパー左右から入った風はそのままフェンダー内側を通り、ドア表面を撫でて抜けるようです。
「ディへドラル(バタフライ)」ドアを採用しており、これも今や(エキゾチックさを演出するためにも)ハイパーカーには欠かせないアイテムのひとつ。
ロータス・エヴァイヤのインテリアはこうなっている
ロータスはパーツ点数を最小化すること、一つのパーツに複数の機能をもたせることで構造の簡素化そして軽量化を達成することで知られますが、このエヴァイヤにおいてもそれは顕著。
ダッシュボードは「フローティングウイング」構造を持ち、これはカーボンモノコックの一部でありながらもダッシュボードとして機能する、ということになりますね。
コクピットは非常にタイト。
側面後方確認用のモニターはドアパネルに埋め込まれ、メインのメーターはデジタル。
センターコンソールはブリッジ形状を採用していて(ロータスいわく”スキースロープ)”、これも「ダッシュボードとフロアとの補強」を兼ねているように見えますね。
センターコンソール上のスイッチの殆どはタッチ式。
そのほかロータリーコマンダー、「D(ドライブ)」「N(ニュートラル)」「R(リバース)」ボタンはフィードバックを重視してか物理式を採用。
スイッチ類にかかわらず、インテリアではヘキサゴン(六角形)をデザインモチーフとしているようです。
ステアリングホイールはF1スタイル。
しかしながらそこに無骨さはなく、非常にスタイリッシュです。
ペダル表面までもが「ヘキサゴン」モチーフにてデザインされており、こういった部分は今までのロータスには見られなかった(質実剛健で、むしろ装飾を排除していた)ところだと思います。
エヴァイヤの生産台数は130台のみ(タイプ130に因んでいると思われる)、その価格は2億7500万円。
かなり高価なクルマですが、一瞬で完売しそうなほどの魅力を持っているのは疑いようのないクルマ。
そして現代のハイパーカーらしく、「同じクルマが二台と無い」レベルのカスタマイズ性が与えられ、ボディカラーはもちろんインテリアにおいてもフルカスタムが可能、とのこと(これは今までのロータスに見られない動きであり、ロータスはエヴァイヤ発売にあたり、ハイパーカーの購入層の嗜好をよく調査したということになる)。
なお、エヴァイヤは2019年9月8日に開催される「JAPAN LOTUS DAY 2019」にて日本初公開される予定だと発表されています。