| スピードテールは「アルバートにはじまり、アルバートに終わる」 |
これだけの複雑なラインをマスキングするのはさぞ大変だっただろう
さて、最近マクラーレンが発売したハイパーカーの中ではかなり高い市場価格を誇るスピードテール。
このクルマはテスト段階では「BP23」と呼ばれており、これは「ビスポークプロジェクト、2列3人乗り」を意味します。
その後マクラーレンはテスト車両のうち一台を「アルバート」と名付けて世界中を走らせると宣言し、実際にあちこちでこの姿が目撃されることに。
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「アルバート」はこんなクルマ
マクラーレンがプロトタイプに名前を与えるのは珍しく(大抵の場合はXP+数字)、これはマクラーレンによるとスピードテールの「先代」となるマクラーレンF1が設計された地である”アルバート・ドライブ”にちなんだもの。※下の画像はオリジナルのアルバート
試作車のアルバートは生産モデルと同じスペックを持ち、シャシーダイナミクス、ブレーキ、ダンパー、タイヤ、NVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)、操作性、快適性についてテストを行う、という役割を担っています。
ちなみにこのカラーリングは「風の流れ」をイメージしたといいますが、このカラーリングを気に入った一人の顧客が、自身のオーダーしたスピードテールに「アルバートと同じカラーをペイントして欲しい」とマクラーレンに依頼したところから新しいプロジェクトがはじまります。
この個体を製造したのはもちろんマクラーレンのカスタム部門「MSO」。
実際にこのカラーリングを再現するのはかなり大変だった
マクラーレンによれば、まずテストパネルをペイントして「実現可能かどうか」を確認し、その後にマスキングを行って本番塗装の準備をすることに。
なお、このラインはパネル間での整合性と連続性を再現する必要があるため、いったん車体を組みあげなくてはなりませんが、その状態で「全部で2キロ」の長さのテープを使用してマスキングを行ったとされています。
その後はマスキングがなされた状態でボディパネルを分解して1回目の塗装を行い、再度組み付けてその再現性をチェック。
さらにパネルを取り外して2回めの塗装を行うことでようやくこの塗装が完成するとされていますが、こうやって聞くと「カスタムペイントが高価な理由」も納得ですね。
なお、マスキングに2週間、塗装に6週間、残りの4週間で乾燥と再組み立てを行い、合計12週間の作業となっており、それももちろんコストとして「上乗せ」されることに。
使用される「カラー」も特別
そしてこのペイントに使用されるカラーもまた特別で、フロント部分のグレーはマクラーレンF1 GTRがル・マン24時間レースで優勝した際のカラーであるウエノ・グレー。※この上野クリニック59号のエピソードは忘れることができない
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さらに車体後部は1992年のモナコGPでマクラーレンF1が初公開されたときのカラーであるマグネシウム・シルバーで仕上げられており、このオーナーは相当なマクラーレン好きであるということがわかります。
マクラーレン・スピードテール「アルバート」のインテリアはこうなっている
そしてこちらはこのマクラーレン・スピードテールのインテリア。
ブラックそしてオレンジが用いられていますが、このオレンジはマクラーレンのカンパニーカラーでもあり、やはりこのオーナーはマクラーレンの熱狂的なファンなのでしょうね。
ペダルはマクラーレンF1のエンジンルームに貼られていた「ゴールド」へのオマージュだと思われます。
マクラーレン・スペシャル・オペレーションズのマネージング・ディレクターであるアンサー・アリ氏いわく「スピードテールは、お客様の想像力を視覚化し、そのインスピレーションを実現し、完成品を披露してお客様と喜びを分かち合うというエキサイティングな旅でした。アルバートによってこのプロジェクトが完結し、最高の形で終えることができて嬉しく思います」とコメント。
この発言を見る限りでは、このスピードテール「アルバート」はスピードテール「最後の一台」だとも捉えることができ、アルバートによってはじまったプロジェクトが、アルバートによって終わるということになりそうですね
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