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【走るアート】マクラーレンが塗装の概念を覆す。 芸術家とともに生み出した「感情を塗る」色彩心理学(クロモロジー)ペイントが施された750Sが登場

【走るアート】マクラーレンが塗装の概念を覆す。 芸術家とともに生み出した「感情を塗る」色彩心理学(クロモロジー)ペイントが施された750Sが登場

Image:McLaren

| マクラーレン「Project Chromology」:色の心理学を塗装に転換した究極のカスタム版750S |

詳細は不明なるも「限定販売」されるようだ

「アートと自動車はどこまで融合できるのか?」近年多くの自動車メーカーが追求する問いに対してマクラーレンのカスタム部門「MSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)」がその問い対してに驚くべき回答を示すことに。

英国の抽象芸術家、ナット・ボーエンとのコラボレーションにより生まれた「Project Chromology」、そしてその集大成である750Sは単なる特別仕様車ではなく、色が人の感情に与える影響を研究する「色彩心理学(クロモロジー)」をスーパーカーのボディ塗装という形で表現した世界初の試みです。

ここではマイアミアートウィークで世界初公開されたこの「走る芸術作品」の全貌と、その技術的革新に迫ります。

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Project Chromology がすごい3つの革新

  1. 塗装が「感情」を表現する:各カラーパレットには「落ち着き」や「活力」といった明確な感情的プロファイルが定義され、オーナーの内面を映し出す象徴に
  2. 触れることのできる質感:MSO初の試みとなる塗膜表面に微細な隆起テクスチャーを付与。視覚だけでなく触覚でも楽しめる「層の奥行き」 を実現
  3. 完全なる一点物の物語:各車両には、その色の物語を描いたナット・ボーエンによるオリジナルアート作品が付属
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色彩心理学を「層」に刻む、技術と芸術の融合

「クロマティック・レイヤード・フィニッシュ」:光が織りなす色のドラマ

このプロジェクトの中核を成すのはMSOが開発した全新塗装技術「クロマティック・レイヤード・フィニッシュ」。

芸術家ナット・ボーエンが樹脂作品で追求する「層の深み」「透明感」「感情の共鳴」を自動車の塗装に変換した世界初の手法です。

  • 技術の核心:複数層の半透明塗料を重ね塗りし、光の当たり方や視点の移動によって色調が微妙に変化し動き出す効果を生み出す
  • 触覚の革新:塗膜表面に施された微細なテクスチャーは、ボーエンの樹脂画の物理的な質感を呼び起こし、「見るアート」から「触れるアート」へ体験を拡張。これは従来の自動車塗装ではほとんど追求されなかった領域である
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Image:McLaren

24金のバッジが完結させる「色の物語」

このプロジェクトのために、MSOは初めて24金、ホールマーク刻印のゴールドメッキバッジを開発し、フロント、サイド、リアに配置されたこのバッジの下地色は各車両のメインカラートーンと精密に一致させられています。

これは「色の物語」をディテールに至るまで貫徹させるという並外れたこだわりを実現したもので、この750Sがいかに特別な存在であるかを物語る例かもしれません。

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Project Chromology (マクラーレン 750S) の位置付けとその価値

このプロジェクトが示す「カスタムの新次元」

従来の高級カスタムProject Chromology のアプローチ
物理的な仕様の変更(特別色、内装材、パフォーマンスアップ)感情的・心理的な表現を主眼に置く
希少性・豪華さの追求芸術的鑑賞性と個人のアイデンティティ表現の追求
メーカー主導のオプション設定芸術家との共同創造による、唯一無二の物語性

このプロジェクトは超高額なカスタム車の価値が「どれだけ高価な素材を使ったか」から、「どれだけ深い物語と個人的意味を宿しているか」へとその重心を移しつつあることを象徴しており、そして軽量化をとことん追求するマクラーレンが「ゴールド」という比重の重い金属をあえて使用したことからも「価値の変遷」を理解できるようにも思います。

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Image:McLaren

市場における位置付け:アート市場とコレクターカー市場の交差点

このマクラーレン750Sは、単なる「高価なカスタムカー」ではなく「移動可能な大型芸術作品」 としての性格を強く帯びており、そのため従来のスーパーカーコレクターだけでなく現代アートのコレクターや自身のライフスタイルをアートとして表現したい超富裕層をもターゲットにしています。

さらにはデビューが「マイアミアートウィーク」という現代アートの祭典であったこと自体がこのクルマの立ち位置を明確に物語っていて、これは自動車を「アートフェアに出品できるレベル」の創作物へと引き上げる大胆なマーケティング戦略と言えそうですね。

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Image:McLaren

結論:これは車のカスタマイズではなく、自己表現のための「動くキャンバス」の創造である

マクラーレンMSOの「Project Chromology」は、自動車のパーソナライゼーションの歴史における”一つの転換点”を示すプロジェクト。

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マクラーレンMSOディレクターの言う「表面の新しい言語」は、塗装を「保護と美観」のためだけのものから「感情を伝達するためのツール」へと昇華させたということとなり、さらにはナット・ボーエンの「色は感情である」という言葉が示すように、このマクラーレン750Sを選ぶことは特定の性能値やステータスを選ぶことではなく、自分自身の内面の感情やアイデンティティを世界に向けて色という形で宣言する行為ということに。

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限られた顧客のみに提供されるこのプロジェクトは大多数の人たちには縁遠いもので、しかしこのような挑戦がなされること自体が自動車という工業製品に、どこまで人間の内面や芸術性を宿すことができるかという可能性の扉を開き、業界全体のインスピレーションを刺激することの証左なのかもしれません。

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