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マクラーレン W1:40度を超える灼熱の”拷問部屋”、アリゾナ砂漠で5,000kmを走破した「リアル・スーパーカー」の冷却技術と妥協なき耐久性とは【動画】

マクラーレン W1:40度を超える灼熱のアリゾナ砂漠で5,000kmを走破した「リアル・スーパーカー」の冷却技術と妥協なき耐久性とは【動画】

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| スーパーカーの性能は「約束」である |

灼熱のアリゾナ:「拷問室」で試されたW1のレジリエンス

マクラーレンがスーパーカーに求める性能とは単に速さや美しさだけではなく、それは「世界中どこへ行っても、そのパフォーマンスを確実かつ持続的に発揮できることへの信頼」。

そしてマクラーレン W1はこの「信頼」を体現するべく、FやPの驚異的なイノベーションのレガシーを引き継いだ「真のスーパーカー」(The Real Supercar)として誕生したわけですが、現在はそのテストが継続して行われており、今回は「地球上で最も過酷な場所の一つである」灼熱のアリゾナ砂漠へでのテストの様子が公開されることに。

ここでのマクラーレンのの目標はたった一つ、「性能の約束、それはどこでも」実現すること(The promise is performance, everywhere)。

極限の気候下においても妥協を許さない性能を証明することを目的とし、灼熱の地獄を乗り越えて最高のパフォーマンスと日常的な快適性の両立することを証明しています。

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40℃超の環境下での集中テスト

まず今回のテストにおいて、チーフエンジニアのアンディ・ビール氏(Andy Beale)は、「高温下でマクラーレンを使用することは、通常の環境温度とは異なる課題を提示する」とコメント。

W1の開発において、高温度環境下でのピークパフォーマンスの確保は初期段階からの中心的な検討事項であったといい(やはりドバイなど中東での販売が見込まれるためだと思われる)、アリゾナ砂漠での集中的なテストを行った2週間、気温は40℃を超える中、開発チームは2台の検証プロトタイプ車両を使用して5,000km以上を走破し、何百時間もの走行時間と無数の反復テストを実施しています。

開発エンジニアのヴィクラム・シャー氏(Vikram Shah)は、アリゾナの環境を「拷問室(torture chamber)」と表現し、この表現こそが、テストの苛烈さを物語っているかのようですね。

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昼夜を問わない、切れ目のない開発サイクル

この過酷なテスト期間中、W1の開発は文字通り「24時間体制」で続けられ、シニア・ビークル・エンジニアリング・マネージャーのジョナサン・ボーモント氏(Jonathan Beaumont)によると、「アメリカのテストチームが日中に徹底的な走行テストを実施しつつ、そのデータを8時間の時差を利用して分析し、夜間にマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)のチームへと送って解析を行う」という体制にて進められることに。

この「ラウンド・ザ・クロック開発サイクル」によって、開発スピードと検証精度が最大化された、と説明されています。

試されたのは冷却システムだけではない

高温テストの目的は単にエンジンがオーバーヒートしないことを確認するだけではなく、W1にはその「絶対的な限界」まで試されることとなり、ここでは様々な要素が試練として課されています。

ヴィクラム・シャー氏は、「温度が極めて厳しかったのは確かだが、重要なのは温度だけではない」と述べ、W1のレジリエンス(回復力、耐久性)を極限まで試すことが彼らの仕事だったと強調しています。

フルエンジン負荷時の冷却システムの綿密な確認

• 路上の破片などの環境条件が冷却に与える影響の評価

• 乗員が快適に過ごすためのキャビン空調機能(クライメートコントロール)の動作確認

• 縁石を乗り越える際の振動

• コーナリング時のGフォースと限界時のブレーキング負荷

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期待を超越したW1の「ドライバーエンゲージメント」

マクラーレンの開発チームは「もちろん」W1がアリゾナのテストで成功すると確信していたものの、その高い期待さえもW1は上回り、ビール氏はこのテストを通じ、W1が「空力性能と最適な冷却性能との間で妥協する必要がない」ことを証明したとコメント。

W1の際立った特徴として、ボーモント氏が挙げるのが「ドライバーエンゲージメント」で、「信じられないほどのダウンフォースとパワーに、繊細かつ精密なハンドリングが組み合わさることで、この驚異的なスーパーカーの限界を真に活用できる」とは前出のボーモント氏。

これは、単にクルマが速いということではなく、ドライバーがクルマと一体となり、そのポテンシャルを最大限に引き出せるという、クルマを操る本質的な喜びを追求した結果であるといえそうです。

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さらにW1はサーキット上で何時間も驚異的なパフォーマンスを探求した後、すぐにルート66(公道)でのテストに移り、そこでは”完璧な快適さ”をもって運転する日常性へと戻れる能力が確認され、まさにW1はオールラウンダー、そしてか過酷な走行を行った後でも安定性を失わないということが立証されたわけですね。

W1を支えるF1直系の革新技術

W1の極限での成功は、マクラーレンのモータースポーツの歴史と技術遺産によって支えられていることは間違いなく、W1に搭載された技術的要素と関連する開発ストーリーを簡単にまとめると以下の通り。

関連情報詳細とインサイト
エアロセル (Aerocell)Fからインスピレーションを得た、マクラーレン史上最も先進的な軽量カーボンモノコック。これによって、W1の徹底的な軽量化と高剛性が実現し、過酷なテストでの耐久性を担保する
F1™グラウンドエフェクトW1の空力学アーキテクトであるロビン・アルグー氏が明らかにしている通り、F由来の「グラウンドエフェクト」を公道用に再構築し、前例のないグリップ、バランス、ダウンフォースを生み出すことに成功
極寒の地でのテストW1の開発はアリゾナでの高温テストだけでなく、北極圏での冬期テストも実施済み。これはW1が文字通り「最も挑戦的な条件」でも性能を発揮できる、世界最高のスーパーカーであることを証明するためでもある
ランド・ノリス選手との連携Fトップドライバーのランド・ノリスもW1に強い関心を示しており、彼のお気に入りのデザインやエンジニアリングについて語るコンテンツも公開済み。プロの視点が開発にフィードバックされていることがうかがえる
レガシーの継承W1はF1(McLaren F1)とP1の持つ、驚異的なイノベーションとエンジニアリングのレガシーを引き継いでおり、同じ「リアル・スーパーカー」の設計原則によって形成されている
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W1が示す「どこでも」妥協しない未来のスーパーカー

マクラーレン W1はアリゾナ砂漠での過酷な試練を通じ、最高のパフォーマンスが特定の環境に制限されるものではないという哲学を証明していますが、チーフエンジニアの言葉「性能の約束、それはどこでも」が示す通り、W1は究極の速さと、日常的な信頼性、そしてドライバーとの深い一体感を両立させた稀有な存在です。

トラック(サーキット)での興奮と公道での快適性を世界中のどんな気候下でも手に入れたいと願うなら、まさにマクラーレンW1はうってつけの存在であり、その意味でW1は「次世代のスーパーカーが目指すべき「、妥協なきエンジニアリング」の頂点を示していると言えそうですね。

マクラーレンW1のテスト風景を紹介する動画はこちら

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参照:McLaren

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