| ルノーは「走る」、ホンダは「曲がる」というクルマの基本的な部分でのリコール |
さて、11月末になってチョコチョコとリコールそして改善対策が発表されています。
そこで「リコールと改善対策とはどう違うの?」という疑問が出てくると思いますが、ここで整理しておくと下記の通り、国土交通省によって定義されています(あわせてサービスキャンペーンについても記載)。
なお、リコールについてはネガティブなイメージがあるものの、実際には「設計・製造過程に問題があったために、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前届出を行った上で回収・修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度」であり、つまりより良い製品づくりを目指すためのシステムということになりますね。
理想は「リコールゼロ」だが
もちろんリコールが出ないのが一番ではありますが、「問題がゼロ」という製品を作ることは現実的に難しく、よって「問題があればすぐに原因を究明し、リコール等にて改善を行う」のが健全な企業の姿勢。
よって、リコールの数よりも、問題が発生してから対策を講じるまでの期間(これが長いと”放置”ということになる)、そして問題発生を知った経緯(製品発売後にも、自社やサプライヤーで問題を発見するしくみがあるかどうか)を見てゆくのが重要だと考えています。
リコールと改善対策、サービスキャンペーンはこう違う
リコール、改善対策、サービスキャンペーンの違い
リコール・・・リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。
改善対策・・・改善対策とは、リコール届出と異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、必要な改善措置を行うことをいいます。
サービスキャンペーン・・・サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置を行うことをいいます。
ルノーはエンジン不具合でリコール
まずはルノーの届け出。
これはエンジン本体に問題があり、排気バルブが溶損する可能性があるというもの。
市場からの情報つまりユーザーからの報告によって事実が判明したと考えてよく、発生したのは265件。
コントロールユニット(ECU)のプログラム書き換えにて改善が可能とされており、影響を受けるの平成25年5月10日~平成29年11月28日に製造されたキャプチャー、ルーテシア、カングー、メガーヌの合計10,210台。
不具合の内容は下記のとおりです。
エンジンにおいて、減速時のクランクケース内の内圧設計が不適切 なため、減速時のシリンダー内圧がクランクケース内 圧よりも低くなり、エンジンオイルを含 んだブローバイガスが燃 焼 室に逆流することがある。そのため、ピストンに多量のカーボンが堆積して剥離すると、排気バルブとバルブシート間に挟まり、高温の燃焼ガスが漏れ、排気バルブが溶損して、最悪の場合 、走行中に警告灯が点灯し、エンジンの出力が低下するおそれがある。
国土交通省
ホンダN-WGNはステアリング関係でリコール
そして次はホンダN-WGN。
ステアリング操作が不能になるおそれがあるというもので、実際に発生した問題は2件、発見の動機は「市場からの情報による」。
対象は令和元年7月5日~令和2年10月6日に製造された445台で、不具合の内容は下記のとおりです。
かじ取り装置において、インタミディエイトシャフトとステアリングギヤボックスを連結しているステアリングジョイントの組付け作業指示が不適切なため、正規の位置に取付けられていないものがある。そのため、そのままの状態で使用を続けるとステアリングギヤボックスからステアリングジョイントが抜けて、かじ取り操作ができなくなるおそれがある。
国土交通省
三菱はパーキングブレーキ関係でリコール
三菱は平成28年1月28日~平姓年5月27日の間に製造されたデリカ、アウトランダー、RVR、アウトランダーPHEVの4車種7,556に対してリコール届け出。
内容としては「パーキングブレーキが効かなくなるおそれ」というもので、実際に発生した問題は11件。
問題の内容は下記のとおりです。
後輪のブレーキキャリパーにおいて、駐車ブレーキ駆動用シャフトの組み付けばらつきにより錆防止用の塗装が剥がれることがある。そのため、シール部から
国土交通省
シャフト部に水が浸入すると、シャフトに錆が発生し、そのままの状態で使用を続けると、シャフトの錆がキャリパー内部まで進行しシャフトの回転が阻害され、駐車ブレーキの制動力が低下し、最悪の場合、駐車中の車両が動き出すおそれがある。
アウディは改善対策を届け出
そしてアウディはECU関連にて改善対策を届け出。
対象となるのは令和元年5月31日~令和2年5月22日に輸入されたアウディQ8(947台)で、不具合の内容は下記の通り。
国内で発生した問題は0件、問題発見の動機は「本国からの情報による」。
エンジンコントロールユニットにおいて、プログラムが不適切なため、特定の条件下で窒素酸化物(NOx)の排出量が増加するおそれがある。
国土交通省
日産自動車も改善対策
そして日産は令和2年3月24日~令和2年8月20日に製作されたROOXの135台に対して改善対策を実施する、と発表。
問題箇所は「アシストグリップ」という、ちょっとめずらしい例です。
実際に発生した問題は1件、問題発見の動機は「市場からの情報による」。
助手席アシストグリップにおいて、作業指示が不適切なため、組み付け時に固定用のワッシャが組み付けられていないものがある。そのため、乗降時に繰り返し
国土交通省
使用すると、当該アシストグリップが破損し最悪の場合、アシストグリップが外れ、転倒するおそれがある。