ヒュンダイ・キアグループが新たにBMW Mディビジョンのデザイナーを引き抜き。
その名をPierre Leclercq(ピエール・レクラルク)といい、出身地はベルギー。
自動車業界でのキャリアをザガートから始めその後BMWへ。
カロッツェリアからメーカーへ移籍するというかなり珍しい例ですが、BMWではMディビジョンのチーフデザイナーにまで上り詰めています。
ヒュンダイ・キアグループは以前よりデザイナーの獲得に熱心で、その他も欧州自動車メーカーから人材獲得中。
知られている範囲では下記があります。
・ヒュンダイがブガッティ・シロンのデザイナー、アレクサンダー・セリパノフ氏獲得
・ヒュンダイがランボルギーニ副社長獲得
・ヒュンダイがベントレーのインテリアデザイナー獲得
・ヒュンダイがランボルギーニ・ガヤルド/ムルシエラゴ、ベントレーのデザイナー、ルク・ドンカーヴォルケ氏引き抜き
・ヒュンダイがBMW Mディビジョンのエンジニア、アルバート・バーマン氏を引き抜き
ヒュンダイ・キアグループは価格面において日本車を追い上げる立場ではありますが、同時に同じ「価格戦略」において中国自動車メーカーから今後追われるであろう立場。
そこで、より日本の自動車メーカーに対する優位性、中国自動車メーカーに対する排他性を持たせるためにデザインを重視していることは間違いなく、そのためこれまでに数々の有力デザイナーを引き抜いてきたものと思われます。
加えて今回のピエール氏を含めると、これまでヒュンダイ・キアはBMW Mからデザイナーとエンジニアを引き抜いたことになりますが、(ピエール氏は今回キアへの配属となるようですが、将来的に)ヒュンダイのハイパフォーマンスカー部門「Nパフォーマンス(名称からしてBMW Mを意識)」を強化する狙いがあるのかもしれません。
さらにヒュンダイは「ジェネシス」で世界を狙い、キアも「スティンガー」で欧州スポーツカーに対抗する狙いがあると思われ、今後の展開を見据えての「有力デザイナー獲得」であるのは間違いなさそうです。
元アウディTTのデザイナーが社長を務める韓国キア。「プロシード・コンセプト」発表
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驚愕。前ランボルギーニ/ベントレーのデザイナーがヒュンダイに移籍
BMWの有望デザイナー、アンダース・ワーミング氏がBMWを離職。
ミニのデザイナーとして2010年から活躍してきた人物で、デンマークに生まれ、スイスやカリフォルニアにてデザインの勉強を重ねた後、BMWのエクステリア・デザインチーフやミニのデザイナーを歴任。
ミニのデザイナーとしては、ミニを去り中国のQorosへ移籍したヒルデブランド氏の後任ということになりますね。
最新の仕事としては現行ミニ・クラブマン、新しく登場するミニ・クロスオーバーが彼の作品となりますが、コンセプトカーではミニ・スーパーレッジェーラ、ミニ・ヴィジョン・ネクスト100があります。
今後どうするのかは不明ですが、おそらくは韓国か中国のメーカーへ移籍するだろうと考えており、相当な金額を積まれたことも想像できますね。
BMWでのデザイナー職は非常に大きなプレッシャーであることは理解できるものの、中国や韓国の自動車メーカーへ行ったところでそれは同じで、しかし中国や韓国の自動車メーカーは車としての基本が甘く、よってデザインをちょっと格好良くしてもそれで「売れる」とは思えず、そして売れなかった原因の責任をデザイナーが取らされる可能性は目に見えています(売れなかった理由が機能や性能なのか、デザインなのか判別ができないものの、コストのかかるデザイナーを切る可能性が高い)。
一方BMWだと車の基礎がしっかりしているので、良いデザインの車さえ作ればすぐに販売に反映されそうで、こちらのほうが自身の能力をアピールしやすいよう感じますが、やはり色々と(制約やしがらみなど)あるのだと思います。