| ただし問題はその魅力を消費者に知ってもらえるかどうか。伝わらなければ「単なる高い車」に |
今のところiXはBMWの中だとスタンドアローンに近いデザイン的位置にあるようだ
さて、BMWはすでにEVにおけるフラッグシップ、iXをすでに発表済みではあるものの、今回はその詳細、そして北米での販売価格を公開。
北米では2022年第1四半期に発売されることになり、その価格は83,200ドルに設定されています。
北米仕様のiX xDrive50のパワートレインは268PSを発生させるフロントモーター、そして335PSのリアモーター。
システム合計だと出力は516PS、バッテリーパックは106.3kW(かなり大きい)だとアナウンスされています。
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その加速はさすがに「フラッグシップ」
このiX xDrive50のパフォーマンスはフラッグシップにふさわしく、0−100キロ加速は4.6秒、最高速は200キロ。
もちろんこれはi4の0−100km/h加速5.7秒、最高速度189キロを上回るもので、さらにその航続距離は482km(300マイル)とかなり実用的です。
なお、200kWの急速充電に対応しており、バッテリー残量10%から80%までの充電にかかる時間は40分。
さらに10分あれば走行90マイル分をチャージできるといい、米国では「国内最大の充電ネットワーク」EVgoとの提携により、ストレスのない充電環境を提供するとしています。
iXには先進的なエネルギー回生システムが搭載され、エネルギー回生を「高」「中」「低」から選ぶことが可能ですが、”1ペダル”走行モードも含まれる、とのこと。
なお1ペダル走行については、日産やBMWがしきりにアピールしていたもののなかなか根付かず、現在のところ1ペダルモードはすっかり影を潜めてしまったという印象もありますね(しかも最新の1ペダルモードは、アクセルペダルを離すとコースティング状態となり、先行車に近づくと自動的に回生ブレーキが作動する模様)。
ドライブモードは「パーソナル」「スポーツ」「エフィシェンシー」の3種類、それぞれのモードに合わせてドライブトレーンやシャシー、インストルメントクラスター、アンビエントライト、インテリアサウンドに加え、シートバックの幅(締め付けが変化する?)までもが変化するといい、「パーソナル」モードではこれらをそれぞれ個別に選択することもできるようですね。
iXはもちろんアダプティブサスペンションを装備していますが、BMWによると、大きな段差を乗り越える際には過度なボディダイブを防ぎ、小さな道路の凹凸を乗り越える際にはダンピングレートを下げることで高い快適性を実現している、とのこと。
なお、iX4に関わらずですが、EVはガソリンエンジン車のような振動や騒音がなく、そのためにちょっとした振動やショックを乗員へとダイレクトに伝えることになり、いかにこれを和らげるかという「ガソリン車にはない」苦労を(エンジニアが)強いられるという実情もあるようです。
参考までに、オートマチック・セルフレベリング機能を備えた2軸エア・サスペンションをオプションで選択することもできる、とのこと。
BMW iXはユニークなディティールを持っている
そして同じ「i」ながらもi4に比較してずいぶん細部にこだわりが見られるのがiXの特徴のひとつ。
たとえばヘッドライトの発光グラフィック、内部構造もかなり独特ですね。
ホイールはさらに特殊で、台形状の部分はホイールの強度を担保しているようには見えないものの、そこが逆に「フローティング」っぽい印象を演出しているようですね。
テールランプの形状そして構造もまたユニークで、このiX xDrive50のレンズは「(先に発表されたiXの”レッド”とは異なりクリア」。
これがまたグレーのボディカラーとよくマッチしていると思います。
BMW iXのインテリアもまた特別
そしてどのiモデルとも異なるディティールを持つのがiXのインテリア。
カーブスクリーンを持つ12.3インチのインフォテインメント・ディスプレイと14.9インチのコントロール・ディスプレイとが組み合わせられ、先進的なヘッドアップディスプレイも。
ステアリングホイールは上面がフラットです。
スイッチ類は多角形を組み合わせており、BMWが8シリーズにて採用した「スワロフスキー」シフトノブのカッティングを連想させます。
スピーカーグリルは三角形を組みあわせたメッシュ構造を持ち、ビジョンiネクストのフロントフェンダー(伸縮式)に用いられていたような形状。
そう考えると、ここ数年のBMWのデザインは、市販モデルにせよ、コンセプトモデルにせよ「どこかでつながっている」ようですね。
一方で、ダッシュボード、センターコンソール、シート形状、そしてシート表皮のデザインについて、ほかBMWとの共通性を持たず、iX独自とも言えるデザイン。
i4ではオプションとなるハーマンカードン製オーディオシステム(18個スピーカーと655Wアンプ)は標準装備となり、オプションだと30スピーカーと1,615Wの出力を持つBowers & Wilkinsのオーディオシステムも選択可能。
パノラミックガラスサンルーフも標準装備となり、この明度はスイッチひとつで自由に変更できるようですね。
こういった内容を見るに、900万円近い価格を持つといえど、相対的には割安だと考えていいのかもしれません。
BMWが新型i4を紹介する動画はこちら
参照:BMW Group