| BMWはかなり早い段階から「新しいクルマと人とのつながり」を目指してきたが |
実際にこれが実現できればたしかに革命的ではある
さて、BMWは「ヴィジョン・ノイエクラッセ」を発表したところですが、このクルマは一見して奇抜に見えても「かなり市販モデルに近い」と言われています。
クリーンな外観、革新的なライティングなど、ついついそのエクステリアに目が行きがちなのですが、実はそのインテリアにこそ革新が潜んでおり、BMWが「ノイエクラッセは、BMWにとって自動車の再発明である」と主張するだけの理由がそこに潜んでいるわけですね。
最新のBMW iDriveはこう機能する
iDriveシステムがBMWのインテリアにおいて極めて重要な役割を担っていることはすでにご存知かと思いますが、現在のところ最新のiDriveは2021年に発表されたバージョンで、これはグラフィックの改善、機能の追加、スマートさ等あらゆる面で大幅に機能が向上しています。
現状では(BMWに限らず)、多くの自動車のインフォテイメントシステムが大型ディスプレイにその操作と表示を依存しており、BMWはこれについて「そのうち時代遅れになる」とコメント。
さらには「ノイエクラッセが、従来の大型ディスプレイを時代遅れにする」とまで言及していて、ようやく今回のヴィジョン・ノイエクラッセの発表によってその意図が明らかになったと言ってもいいかもしれません。
このヴィジョン・ノイエクラッセに採用される最新のiDriveはさらなる進化を遂げており(というよりも根本から考え方が異なると言ってもいい)、ここでは従来のコントローラーと計器類を捨て、ミニマリズムとプロジェクションを採用するという方式へと移行しています。
-
BMWのCEOとデザイナー「もはや巨大ディスプレイは時代遅れ。10年以内に消滅する。我々は2025年発売のノイエクラッセにてそれらに引導を渡すだろう」
| たしかにヘッドアップディスプレイのほうがコストが安く、シンプルで居心地の良いインテリアを実現でき、消費者にとっても嬉しいだろう | 自動車メーカーは「クルマのスマホ化」を目指してきたが、クルマとス ...
続きを見る
ノイエクラッセのiDriveは、4要素を中心に展開される
ノイエクラッセのiDriveは極めて重要な4つの要素によって構成され、その最前線に位置するのが「BMWパノラミック・ビジョン」。
先進のヘッドアップ・ディスプレイ技術を活用してフロントガラス全体に情報を表示することで事実上これまでの「メーターパネル」が過去のものとなり、ヴィジョン・ノイエクラッセでは車速、充電状態、航続距離などの情報がフロントウインドウ下部のスクリーンに映し出され、中央には再生中のメディア情報が表示されることに。
右端(助手席前)には日付や時刻等の情報が表示され、これらについてはいずれも表示の変更が可能であると思われます。
その次の要素は「BMW 3Dヘッドアップディスプレイ」で、こちらはカーナビゲーションなどの情報が表示されるそうですが、ウインドウ下に表示されるのは基本情報、そしてその上のヘッドアップディスプレイに表示されるのが「追加情報」ということになるのかもしれません(実際、このヘッドアップディスプレイはオプション扱いとなるようだ)。
三つ目の要素は「マルチファンクションステアリングホイール」で、これが従来のiDriveコントローラーのかわりを努めることになり、ステアリングホイール上に配置されたボタン類(と高度な音声認識システム)によってほぼすべてのインフォテイメントシステムの機能が操作され、「目線は道路に、手はステアリングホイールに」という原則が実行されることになります。※操作時には、「マルチレイヤー・テクノロジー」による触覚フィードバックがあるようだ
そして最後の要素である「センターディスプレイ」にはiDriveの主要機能が集約され、スクリーン自体には新しいマトリクス・バックライト・テクノロジーが採用されることで、さまざまな光の条件下でも鮮やかで高解像度による表示を提供するとされています(おそらくはエアコンや車両設定はここで行うものと思われる)。
BMWがiDriveシステムを刷新する狙いは明白で、BMWはノイエクラッセの車両そのものを「拡張性のあるデジタル・インターフェース」として構想しており、より深いレベルの人とクルマのつながりを志向しているものと考えられます。
ただ、いくつかの懸念も残されていて、「エアコンや、オーディオコントロールなど、頻繁に使用する機能で、かつすぐに操作したい」場合はアナログコントローラーの方が便利であり、アクション数も少ないので「安全」なのは間違いなさそう。
実際のところ、同じBMWグループであっても、ミニは「そういった」機能のみはアナログスイッチで操作できるように「トグルバー」を設置しており、すべてをデジタルへと移行しないという考え方を見せていますね。
-
ミニ史上もっともミニマリスト。新型ミニクーパーSは「カリスマ的シンプル」を追求、一方で「ゴーカートモード」を装備し走りもアピール
| 新型ミニクーパーは「もっともクラシックミニの考え方」を忠実に反映したミニだといえる | そのデザインは内外装ともに大きく変化、しかし「ミニらしさ」は失っていない さて、ミニが予告していた「新型ミニ ...
続きを見る
併せて読みたい、BMW関連投稿
-
BMWが次世代市販EVを示唆する「ヴィジョン・ノイエクラッセ・コンセプト」発表。EV性能が飛躍的に向上し、そのデザインや思想もあらたな次元へ
| このヴィジョン・ノイエクラッセ・コンセプトの「どれくらい」の部分が実現されるのか不明ではあるが、BMWの将来には期待が持てる | ヴィジョン・ノイエクラッセ・コンセプトには全方位に渡って新技術が盛 ...
続きを見る
-
BMWがノイエクラッセに採用する「パノラミック・ビジョン・システム」の動作を動画にて紹介。ヘッドアップディスプレイとARを組み合わせてSF的な表示が可能に
| ノイエクラッセがいったいどれくらい革新的なクルマになるのか今から楽しみで仕方がない | 内外装や各種機能とも、おそらくは「今までも考えもしなかった」ものが搭載されることになるのだろう さて、BMW ...
続きを見る
参照:BMW