Image:BMW
| ここ数年、銃火器を使用した凶悪犯罪が増えているといい、欧州、北米、南米では防弾防爆車両の需要が高まっているらしい |
正直、ちょっとこの訓練には参加してみたい
さて、BMWは要人を対象として「防弾防爆仕様」の特別シリーズ”セキュリティ”を販売していますが、今回はそういった車両を運転するドライバーを対象に行っている「BMW セキュリティ ビークル トレーニング コース」の内容を紹介するプレスリリースを公開しています。
こういったクルマを運転するのは警備を担当するSPといった人々だと思われますが、車両の特性や危機回避の方法、そもそもどういった危機があるのかについて学んでおく必要があり、そういった知識とスキルを持っているかどうかで「イザという場面での」対応が変わってくるのかもしれません。
BMWのトレーニングは「定型」から「オーダーメイド」まで
この「BMW セキュリティ ビークル トレーニング コース」につき、BMWによると「定型」から「オーダーメイド」まで様々なカリキュラムがあるといい、実際のところBMWのセキュリティ車両についても「ハンドガン対応」レベルから「マシンガンやライフル対応」、はたまた「地雷対応」まで様々なオプションを組み込むことができ、よってその車両の性質や重量も千差万別。
こういった状況においては「遭遇する可能性を見越した」オーダーメイドでのトレーニングのほうがより効果が高く、そしてこれらセキュリティ車両のオーナーもまたそれを望んでいるのかもしれません。
このトレーニングの舞台となるのはヨーロッパで最も有名な車両安全試験検査センターの1つ、ベルリン近郊のグロース デルンにあるトレーニング センター内で行われることになるそうですが、このセンターはドイツ当局も緊急サービスの訓練に使用しているという旧軍用飛行場なのだそう。
2002年に最先端の運転センターに改装され、現在はBMW セキュリティ ビークル トレーニングのレッスンにも活用されているそうですが、定型コースだと「ドライビングテクニックと回避」「危険な状況での安全な運転」という2段階に分かれており、BMWのインストラクターは、運転物理学と運転テクニックの基礎に加え、ドライバーが極限の状況でも安全かつ自信を持って行動できるようにするための戦術的知識を授けることになる、とアナウンスされています。
2日間の基礎教習では、特殊防護車両を使った基本的な運転技術を中心に学ぶこととなり、特殊防護車両は一般に装甲とそれに伴う追加重量により、取り扱いの際に考慮しなければならない特有の運転動作を持つため(つまり普通のBMWとは挙動がまったく異なる)、初日の訓練には緊急ブレーキや回避操作、暗闇での訓練などが行われ、 夜間訓練プログラムでは、ハイビーム、ロービーム、パーキングライトを交互に使用するスラロームコースでのブレーキ操作と回避操作などが実施されることとなりますが、なじみのないルートにて遭遇する脅威というシナリオを予測し、それに反応する能力をシミュレートするため、「見通しの悪い林道での爆発の実施や回避」なども行うようですね。
2日目になると、高速ハンドリングやカーブでの回避操作に加え、車両攻撃を想定した実際の脅威シナリオもカリキュラムに組み込まれ、「速度を落とさずに車両を後進から前進に回転させ、危険な状況から逆方向に逃げる効果的な脱出操作」である(よく貼り絵ウッド映画で見る)Jターンの講習も。
3日目以降は上級コースのみの受講内容となるものの、ここでは「砲撃」「クルマを接触させてのカーチェイス」といった極限状況下での訓練のほか、銃撃や待ち伏せ、体当たり攻撃などドライバーに意図的に強いストレスを与える内容も含まれるのだそう。
そのほか、BMW X5プロテクションを使用したオフロードトレーニングも実施され、たしかに悪路を走って逃げ切るという場面に遭遇する可能性が想定されるオーナーもいそうです(南米など)。
BMW「プロテクション」はこんなクルマ
そこでこのBMW「プロテクション」シリーズについて触れておくと、保護パネル入りのドア、アンダーボディ装甲、防弾ガラスなどと組み合わされた保護パッセンジャーセルを持つ特別仕様車で、とくに7シリーズだと国際規格にて認められた攻撃耐性材料および構造試験センター協会 (VPAM) の公式テスト基準に従い、耐性クラスVR9に分類されるという保護性能を誇ります。※VPAM10の要件を部分的に満たすオプションも用意されている
増加した重量に対応するためにモデル固有のサスペンションを持ち、これは危険な状況でも高い機敏性と優れたパフォーマンスを保証することとなりますが、これに組み合わせられるのは 空気圧が完全に失われた場合でも車両の走行を継続できるPAXタイヤ。
ちなみにですが、BMW X5プロテクションはBMWの防弾車両の「ベストセラー」だといい、そもそもX5の開発時から「プロテクションモデルへの改装」を考慮していたために非常にバランスに優れるといい、デザインは標準モデルとほとんど変わりなく、「控えめでありながらスポーティ」。※いかにもといった感じの防弾車は「VIPが乗っている」と宣伝するようなものであるため、多くの場合は一般の車両と見分けがつかないように設計されている
車両には特別に設計されたボディアーマーと防弾ガラスが装着され、耐弾丸および爆発に対する耐性に関しては、攻撃耐性材料および構造試験センター協会 (VPAM) の定める「VR6」規格をパスしています。
BMW セキュリティ ビークル トレーニング コース、そしてBMW「セキュリティ」車両を紹介する動画はこちら
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参照:BMW