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| BMW車ではなく「ロールス・ロイス専用」としてV12エンジンが生き残る |
この記事の要点まとめ
- V12存続確定: BMW開発担当理事が「6.6L V12は次世代規制ユーロ7をクリアできる」と発表
- ロールスロイス専用へ: BMWブランド(7シリーズ等)への復活はなく、傘下のロールスロイスでのみ継続
- 低コストな最適化: 排気システムや触媒の改良のみで適合可能な、先を見据えた設計が功を奏する
- M3/M4もガソリン継続: 次期型M3/M4にはEV版だけでなく、直6エンジン搭載モデルも併売される
「多気筒エンジンの時代は終わった」――そんな悲観的な予測を、BMWが自ら打ち破る発表を行い注目を集めることに。
2026年1月、BMWの開発責任者ヨアヒム・ポスト氏は、シルキーでパワフルなガソリンエンジンのファンにとって最高のお年玉となる「 bombshell(爆弾発言)」を投下しています。
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なぜV12は生き残ることができたのか?
欧州の新しい排ガス規制「ユーロ7(Euro 7)」は、多くのメーカーにとってエンジン開発を断念させるほど厳しい壁と言われてきましたが、ヨアヒム・ポスト氏によれば「BMWのV12(およびV8、直6、直4)は、”あっさりと”このハードルを越えることができる」。
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BMWのエンジン戦略
| エンジン形式 | 適合状況 / 今後の展開 | 主な搭載予定車種 |
| 6.6L V12 | ユーロ7適合可能 (排気系最適化で対応) | ロールスロイス(ゴースト、ファントム等) |
| V8エンジン | 継続採用 | X5 / X6 / M5 などの上位モデル |
| 直列6気筒 | 主力として継続 | 次期M3 / M4 (ガソリン版) |
| 直列4気筒 | 継続採用 | 3シリーズ / 4シリーズ 等 |
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こんなコンセプトカーもあった。BMWとイタルデザインとの共同開発による「水素V12、タンデムシート、ジョイスティック操作」による「VAD.HO」
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さらに同氏は「BMWのエンジンは当初から将来の規制を考慮して設計されており、触媒や排気システムの最適化という、比較的少ない投資で(法規に)適合が可能」とも。
これは、他社がエンジンの基本設計から見直さなければならない状況に比べ、圧倒的なアドバンテージだといえそうです。
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もう「BMWバッジのV12」は見られない?
ただし残念ながら、V12が生き残るからといってBMW 7シリーズに「V12」が戻ってくるわけではなく、いかにV12存続が決定したといえど、2022年の「M760Li Final Edition」を最後に幕を閉じた「BMWとV12」の歴史が書き換えられることはないのもまた事実。
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さよならV12エンジン・・・。BMWが今夏にV12エンジン生産を終了させると発表し、最終記念限定モデル「M760i xDrive ファイナルV12」を重要顧客のみに販売
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今後、この伝説の6.6L V12エンジンは、ロールスロイス専用の心臓部としてのみその血統を繋いでいくことになることも正式にコメントされており、そしてここで重要なのは(現時点でアナウンスはないものの)ロールスロイスも「完全電動化ブランド」への転換を見直すということ。
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これまでロールスロイスは「ラインアップをEVのみにする」というスタンスを貫いていましたが、スペクターの販売が好ましくないとされる中、その方針を変更したということになりそうです。
なお、BMWは上位モデルをV8と直6ハイブリッドで構成する方針を固めており、V12は究極のラグジュアリーの象徴として、グッドウッド(ロールスロイスの本拠地)の聖域に守られる形となるわけですね。
朗報。次期M3/M4は「EV」と「ガソリン」の二段構え
V12のニュースと併せて注目したいのが、次世代のスポーツモデルについてです。
BMWは次世代プラットフォーム「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」をベースにした「4モーターのモンスターEV」の開発を公表していますが、同時にガソリン版M3/M4の継続も明言され、これは「EVのみ」とされていた次期M3計画を大きく転換する内容。
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ファンのための新事実:
これによって次期M3(開発コードG84)には、定評ある3.0L直列6気筒「S58」エンジンの改良版が搭載され、ただしユーロ7適合のためにマイルドハイブリッド化される可能性が高いとは見られるものの、ピュアなガソリンエンジンの咆哮は2030年代近くまで維持される見込みです。
結論|ポルシェと同様、BMWも「エンジン」を見捨てない
今回の発表で明確になったのは、BMWが「顧客が望む限り、最高のガソリンエンジンを提供し続ける」というスタンスを崩していないこと。
EVへの移行を急ぐメーカーが多い中、BMWは「技術的な工夫で規制を乗り越え、多気筒エンジンの魅力を守る」という、極めて現実的かつ情熱的な道を選んでおり、V12をBMWのボンネットの中で見ることはもう叶わないかもしれませんが、その技術はロールスロイスの中で、そしてV8や直6といった他のモデルの中で、確実に生き続けていきます。
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そしてもうひとつ重要なのは、「安易なハイブリッド化」ではなく「ガソリンエンジンそのものでの技術革新」によってガソリンエンジン存続の道を切り開いたことであり、ここはポルシェにも通じる姿勢だとも考えています。
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参照:Autocar

















