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メルセデス・ベンツが「物理ボタン」を復活へ。なぜ「巨大スクリーン大好きな」同社がタッチ式から回帰の姿勢を示すのか

メルセデス・ベンツが「物理ボタン」を復活へ。なぜ「巨大スクリーン大好きな」同社がタッチ式から回帰の姿勢を示すのか
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| 新型メルセデス・ベンツGLCから始まる「ボタン復活」戦略 |

実は大型ディスプレイの影に隠れつつも「物理ボタン」が復活

メルセデス・ベンツはつい先日新型GLCを発表し、ここでの注目は(過去最大級の)大型ディスプレイではありますが、同時にステアリングホイールには物理ボタンやスイッチ、ローラーが採用されています。

これはメルセデス・ベンツが「改良を怠ったから」ではなく、むしろ同社が収集したデータによる判断であるといい、ソフトウェア部門責任者のマグナス・オストベルク氏はミュンヘンモーターショーで次のように語ることに。

「データが示すのは、物理ボタンの方が優れているということです。だから私たちはそれを戻したのです。」

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Image:Mercedes-Benz

年齢層と市場ごとのニーズ

メルセデス・ベンツは初のソフトウェア定義型車両である「CLA」から得たデータを分析し、年齢層や地域によっては物理スイッチが非常に重要であることを把握した、と説明。

その結果、ボタンを備えた新しいステアリングが今後のモデルの標準仕様となる予定であるとも述べています。

ただし、インテリア全体にボタンが完全復活するわけではなく、「大型車」やパッケージングに余裕があるモデルに限定される可能性が高いとしており、具体的な動向についてはまだ模索中といった可能性も。

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Image:MercedesBenz

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ちなみにメルセデス・ベンツのデザイナー、ゴードン・ワグナー氏は以前に「大きなディスプレイは時代遅れになり、エレガントではない」ともコメントしていますが(実際に、コンセプトカーではそこまで大きなインフォテイメントディスプレイが装着されていない)、現時点ではそれに変わる存在について「明確な回答を得るに至っていない」のかもしれませんね。

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「タブレット化」の終焉?

近年、自動車メーカーはこぞって大型タッチパネルに移行してきましたが、安全性やユーザビリティの観点から物理操作系の重要性が再認識されつつあります。

  • BMW:新型iX3でボリュームローラーや窓・ミラー操作スイッチを残す
  • フォルクスワーゲン:物理ボタンを再導入
  • ヒョンデ:一貫して物理操作系を維持し、安全性を強調
  • フェラーリ:ステアリングホイールに物理ボタンを復活させる

さらにユーロNCAPは2026年から物理スイッチを欠いた車種に対して安全評価を下げる可能性を示唆しており、規制の面からも「ボタン回帰」が進む見込みです。

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まとめ

デジタル化が進む自動車業界においても、直感的に扱える物理ボタンの価値は揺らいでおらず、安全性に関する「業界のリーダー」でもあるメルセデス・ベンツの判断は、今後の自動車デザインにおける重要な転換点となるのかもしれません。※メルセデス・ベンツは「シートの形をしたシート調整スイッチ」を採用するなど、もともと「わかりやすい操作系」を持つ自動車メーカーでもあった

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