| ポルシェは生産の効率化でエレクトリックビジネスにおける利益を最大化 |
ポルシェはすでにエレクトリックカーの開発や生産のために多大な投資を行なっていますが、さらに今後8年にわたり、エレクトリックカー関連投資を強化することで利益を増加させる計画を持っている模様。
これは米ブルームバーグが報じたもので、2025年までに大きくその利益を向上させるとしており、その方法としては「生産の効率化」。
エレクトリックカーのコストは思ったよりも安くならない
ちなみにポルシェによると、「エレクトリックカーの生産はガソリンエンジン搭載車に比べると、一台当たり70万円〜120万円ほどコストが高い」とのこと。
しかしながらそのコストを車両価格に上乗せしてしまうと「高くて売れない」車となってしまうので、ポルシェとしては「それはできない」と判断しており、よってそのコストを引き下げることで利益を増加させることを計画しているようですね。
なお、エレクトリックカーはガソリン車に比べるとエンジンがないのは当然として、エンジンの出力を駆動力に変換するためのトランスミッションが存在せず、かつエキゾーストシステムがないために部品点数が少なく、サプライヤーの数も削減できるのが特徴。
パーツ点数という観点ではガソリン車に比べると60〜80%程度に抑えられると言われ、それによる製造工程も簡略化されることになります。
ただ、それでもコストが高くなるのは、まずガソリン車用の工作機械や工場の設備をそのまま利用できないこと。
製造ラインをガソリン車用からEV用に変更するのは相当に難しいようで、「いっそのこと新しく工場を作った方がコストが安い」と見られ、そのためアストンマーティン、BMW、フォルクスワーゲンなどは「新しくEV専用工場を建設」しているほどですね。
そしてもうひとつのコストが高い理由は「バッテリー価格が高い」ということで、これまでは生産性の向上によってバッテリー性能が上がり、価格が下がると言われていたものの、実際にはバッテリー性能は期待したほど上がらず、さらには世界的なバッテリー需要の高まりからバッテリー価格が「高くなってしまって」いるのが現状です(メルセデス・ベンツはバッテリーサプライヤーの韓国LGから値上げを要求されている)。
そんなわけでEV(電気自動車)製造原価は当初非常に高価で、しかしポルシェが考えたように「その分のコストを車両に反映させると売れない」ため、いずれの自動車メーカーも当初は赤字覚悟でEVビジネスに取り組む必要があるわけですね。
実際のところテスラは最近になってようやく「黒字転換しそうだ」というレベルですが、EVビジネスで十分な利益を出すには「生産の効率化」が重要。
やはりテスラが生産上の問題を解決して利益が出せるようになったという現実を見てもわかるよう、とにかくEVの生産は難しく、しかしそれを解決せねば黒字化はない、と言えます。
なお「ハイブリッドカー」は部品点数の多いガソリンエンジンと、製造が困難なエレクトリックシステムを持つという意味で「非常に複雑」な工程を持つことになり、ベントレーやロールスロイスが「ハイブリッドには注力せず、いきなりピュアエレクトリックを目指す」としているのはそこに理由があるのかもしれませんね。