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ポルシェの16年にわたる成長神話がついに崩壊か。2009年から今までに販売台数をほぼ3倍に拡大、しかし今年は現時点で7%減、前年割れが確実に

ポルシェ・マカンEV

| これには様々な複合的要因が考えられ、それだけに問題を一朝一夕に解決するのは困難であろう |

しかしもっとも大きな要因は「EVの不調」「中国市場の減速」である

さて、現在ポルシェはその苦境が報じられていますが、これはポルシェ属するフォルクスワーゲンブランドの中では「まだマシなほう(もっとも調子がいいのはランボルギーニである)」。

それでもこの16年間「成長に成長を続けてきた」ポルシェの神話が崩壊しつつあるのはある意味での驚きであり、スポーツカーでその名を築き、SUVや高級セダンなど新しいセグメントにも進出し成功を収めてきたポルシェにとって「時代は変わりつつある」ということなのかもしれません。

現在、ポルシェは「新たなる岐路」にさしかかっている

ポルシェはこの16年、上述のような新しいセグメントのほか、他社では思いつかないような画期的機構や革新的なスポーツカーを発表し、品質、性能、優れたマーケティングのおかげで、ポルシェは2009年から2023年にかけて世界販売台数をほぼ3倍にまで増やすことに。

ポルシェの他にもテスラなど短期間で急成長を遂げたブランドもあるものの、それらいずれのクルマもポルシェほどは高額ではなく、つまりポルシェは「プレミアムカーセグメントで急速に成長した」という類まれなる自動車メーカーです。

この驚異的な成果により、ポルシェは電気自動車(EV)分野にも自信を持って挑戦し一定の成功を収めていますが、(売れ行きが鈍ったといえど)タイカンは現在最も売れている高級EVの一つであり、電動化がスポーツカーブランドのイメージを損なわないことを示す好例ともなっているわけですね。

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ただしここから先は「これまでのような」成長を記録することが難しいであろうことが明らかになっており、昨年、ポルシェは(2020年のCOVIDパンデミックを除いて)16年連続の成長を達成し、世界販売32万200台という新記録を打ち立てたものの、この成長は現在途絶えようとしており、最新のデータによれば1月から9月までの世界出荷台数は22万6000台で、前年同期比で約7%減少しているという事実が明らかに。

ポルシェの報告によれば、この減少の主な理由は中国での需要減で、なんと29%も減少しており、モデル別では2つの大きな問題が同社に打撃を与えていて、まずタイカンは中国のみならずワールドワイドにてその販売が減少中(世界中で見られるEV敬遠の傾向に加え、2019年の発表から5年が経過しているので、モデルそのものの老朽化も否定できない)。

そしてもう一つ懸念されるのが「マカン」であり、第一世代は欧州にて導入された「サイバーセキュリティ法」に対応できずに生産が終了し、第2世代のマカンはEVとして登場するものの、第一世代に比較すると平均して価格が22%も高く、こちらは「EV回避という世界的な流れ、そして物価高による家計圧迫」という流れによって先代の内燃機関搭載モデルの販売を超えることはまず難しいだろうと見られています(特にマカンはベストセラーであっただけに販売が落ちるとポルシェ全体に与える影響が大きい)。

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参考までにですが、ポルシェの2023年の販売だと、もっとも多かったのがマカンの68,000台、次いでカイエンの約65,000台、911の約39,000万台、タイカンの29,000台、パナメーラの28,000台、718ケイマン・ボクスターの17,000台。

一方で2,024年(9月まで)だとカイエンが78,000台と大きく増え(ニューモデルの投入効果だと思われる。カイエンは利益が厚いのでポルシェにとってはありがたいはず)、マカンは55,000台と大きく減少、911は約40,000台と微増、パナメーラも21,000台と減少、718ケイマン・ボクスターは約18,000台と増加(販売終了前の駆け込み需要かもしれない)、タイカンは約14,000台と「半減」といった状況です。

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