
Image:Porsche
| カイエン・エレクトリックのデジタル・インテリア革命 |
元来、ポルシェは「デジタルに弱い」という評価ではあったが |
- 革新のコンセプト: 新型カイエン・エレクトリックは、ポルシェ史上最高のカスタマイズ性を誇る「デジタル・インタラクション」コンセプトを初導入
- コックピットの変貌: 最大4つのディスプレイを搭載し、アナログとデジタルが融合した「エクスペリエンス・ゾーン(体験空間)」へ進化
- ドライバー中心設計: 湾曲したOLEDディスプレイ「フロー・ディスプレイ」を採用し、直感的で安全かつ快適な操作性を追求
- AI音声認識: LLM(大規模言語モデル)ベースの「ボイス・パイロット」を搭載。「何を言ったか」だけでなく「何を意図したか」を理解する真の会話パートナーに
- スマートフォン連携: デジタルキーでスマートフォンやスマートウォッチが車両の鍵になり、最大7人と権限を共有可能
-
-
ポルシェがカイエンEVに採用される「未来のインテリア」を公開──巨大ディスプレイと快適性の新次元。ポルシェもこの流れからは逃れられない
Image:Porsche | かつてのポルシェを知るものからすれば、このインテリアは「信じられない」様相だろう | ポルシェはいつの世でも「カイエン」「パナメーラ」に新しい世代のインテリアを投入して ...
続きを見る
都市とスポーツ走行、相反するニーズをどう満たすか?
現代の自動車開発において、操作系のデザイン(UX/UI)はかつてないほど複雑になっており、特にポルシェのようなグローバルブランドではその課題が深刻です。
例えば、ヨーロッパの顧客は「運転に集中できる、気が散らないスポーティさ」を求めるものの、アジアの大都市の顧客は「渋滞中に時間を有効活用できるパーソナルな機能」を求めるといった実情も。
この相反する要求に対し、ポルシェが新型カイエン・エレクトリックで提示した答えが、「ポルシェ・デジタル・インタラクション」コンセプト。
Image:Porsche
これは単なるディスプレイの増加ではなく、インテリジェントなソフトウェアと最先端のハードウェアを融合させ、インテリアを完全に新しい「体験ゾーン」へと変貌させるテクノロジーであると説明されています。
ここでは、この新型カイエン・エレクトリックが実現したカスタマイズ性とネットワーク機能を備える未来の運転体験について見てみましょう。
ドライバーを「中心」に据えたデジタル・コックピット
1. 豪華なディスプレイ構成:最大4画面の「デジタルランドスケープ」
カイエン・エレクトリックのインテリアは従来の計器類を完全にデジタル化し、最大4つのディスプレイで構成される、広大な「デジタルランドスケープ」というコンセプトを持っています。
| 表示場所 | ディスプレイサイズ | 主な機能 | 特徴 |
| 中央入力ユニット | 「フロー・ディスプレイ」(曲面OLED) | インフォテインメント、ナビゲーション、車両設定 | ダッシュボードとシームレスに統合。手首を置くリストパッドを新開発 |
| 運転席前 | 14.25インチ(フルデジタルOLED) | 速度、ナビ、アシスタンスシステム | 空冷時代を彷彿とさせる伝統的な「シグネチャー・スクリーン」も選択可能 |
| 助手席前(オプション) | 14.9インチ | エンターテイメント、アプリ制御、ビデオストリーミング | 運転席から見えない設計で、ドライバーの注意を散漫にしない |
| ヘッドアップディスプレイ(オプション) | 87インチ相当(AR技術) | 仮想のナビゲーションや運転支援情報を実景に重ねて表示 | 道路から約10m先に情報を投影 |
特に注目すべきは、湾曲した「フロー・ディスプレイ」と、操作時に手首を置くことでエルゴノミクスと安全性を高める「リストパッド」の採用で、これにより、運転中の直感的かつ安定したデジタル操作を可能にしているわけですね。
Image:Porsche
2. 進化したAI音声認識:真の「会話パートナー」
さらにポルシェは音声操作を従来の単なるコマンド認識から、AIを活用した「真の会話」へと進化させており、以下のような対応が可能となっています。
- Voice Pilot(ボイス・パイロット): 大規模言語モデル(LLM)に基づいた動作を行い、これは「ドライバーが何を言ったか」だけでなく、「何を意図したか」を理解できることを意味する
- 自然な対話: 「シュトゥットガルトで一番美味しいレストランは?」「どの料理がおすすめ?」「どこに駐車できる?」といった、複雑で連携した質問にも対応可能
- OTAアップデート: スマートフォンのように、車両のアプリセンターを通じてオンラインアップデートが可能であり、新しい機能を後から追加できる
Image:Porsche
3. ハードウェアとアナログ操作の「共存」
デジタル化が進む一方、ポルシェは「運転のしやすさ」と「触覚的なエレガンス」を決して見失っておらず、以下のような配慮もなされています。
- 物理的な操作の維持: ラジオ、電話、エアコンなど、最も頻繁に使用される機能には、コンビディスプレイの外縁やステアリングスポーク、フロー・ディスプレイの下に、アナログまたは静電容量式のボタンが維持
- カスタマイズボタン: 「ジョーカーボタン」と呼ばれる、ドライバーが自由に機能を割り当てられるボタンを2つ用意し、使いやすさを最大限に高めている
Image:Porsche
-
-
まさに衝撃。ポルシェ史上最強の「カイエン・ターボ エレクトリック」は同社史上もっともヘビー。バッテリー単体でかつての356SLとほぼ同じ600kg
Image:Porsche | 史上最重量&最強、そして“356 SL並みのバッテリー”という衝撃 | 容易に想像できたことではあるが、それでも驚きは隠せない 新型カイエン・ターボ エレクトリックは、 ...
続きを見る
究極のパーソナライゼーションと連携機能
1. デジタルキーとアクセス権の共有
カイエン・エレクトリックはデジタルキーに対応しており、スマートフォンやスマートウォッチが車両の鍵となるほか、以下のような操作が可能です。
| 機能 | 詳細 |
| ロック/アンロック | 超広帯域無線(UWB)技術により、車両に近づく/離れるだけで自動で施錠・解錠。 |
| 共有機能 | Apple WalletまたはGoogle Walletを介して、最大7人の追加ユーザーと簡単にキーを共有可能。 |
| 権限の制限 | 各ユーザーに対し、トランクやボンネットの開閉など、車両の機能制限を個別に設定可能。 |
Image:Porsche
2. 地域の好みに合わせた柔軟な適応
さらにはApp Centerを通じ、ポルシェのアプリやサードパーティープロバイダーのアプリを常に最新の状態に保つことができ、これによって車両が世界のどこにあっても地域ごとの好みや規制に合わせて表示や機能を容易に調整することが可能に。
また、「テーマ」アプリを使用すると、フロー・ディスプレイ、インストルメントクラスター、アンビエント照明など、すべてのデジタル表示の色とルックスを5つのカラースキームからカスタマイズできるため、デジタル・ユーザーインターフェース自体をデザイン要素として変身させることが可能となっています。
Image:Porsche
結論:カイエン・エレクトリックは「ソフトウェア・デファインド」の時代へ
ポルシェ・カイエン・エレクトリックは、単なる電動SUVではなく、「デジタル・インタラクション」と「パーソナライゼーション」によって運転体験の概念を書き換える一台。
特に、AI音声認識の進化や、OTAアップデートによる機能の拡張性は、今後のポルシェのモデルが「ハードウェアだけでなく、ソフトウェアによって機能が決定される」、いわゆるソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)の時代へと完全に移行したことを示しています。
-
-
ポルシェ量産車史上最強の1156馬力、新型カイエン ターボ エレクトリック正式発表。「ゼロヨン10秒以下」の驚異の加速力【動画】
Image:Porsche | まさかSUVが「10秒の壁」を破ろうとは | 驚異の1,156馬力と「911ターボSハイブリッド」に匹敵する加速 かつて映画『ワイルド・スピード』でベンチマークとされた ...
続きを見る
Image:Porsche
ドライバーを中心に据え、テクノロジーの力で安全性、快適性、そして運転の楽しさを最大限に高めたカイエン・エレクトリックは、ポルシェの新しいデジタル戦略の成功を占う、重要なマイルストーンとなることはまちがいなく、その見た目以上に「内面の変化幅が大きい」ニューモデルであると言えそうですね。
あわせて読みたい、ポルシェ関連投稿
-
-
新型カイエンEVは「史上もっとも重い」ポルシェ。それでもポルシェが「重量は気にする必要がない」と語る制御技術とは
Image:Porsche | ポルシェが挑む「巨象」の制御術 – なぜEVはガソリン車より軽く感じるのか? | クルマの中核は「車体制御技術」へ ポルシェのベストセラーSUVであるカイエンに待望のフ ...
続きを見る
-
-
新型ポルシェ・カイエンEVにオプション設定される「カスタムキー」。キー本体にキーケース、ストラップが変更でき「10万円で凄まじいインパクトのキー」が作れるとして話題に
Image:Porsche | ポルシェはいかなるオーナーの要望も大切にしている | 極彩色の「クレイジーカーラー」をキーにて再現するのも面白い 隠れた贅沢: ポルシェの車両コンフィギュレーターの奥深 ...
続きを見る
-
-
【衝撃映像】ポルシェ 918スパイダー vs 新型カイエン・ターボ・エレクトリック。なんと0-100km/h加速では「1トンも重い」カイエンのほうが速かった【動画】
| まさに驚き。ポルシェ史上最重量車が伝説のハイパーカーを加速で破る | ここまでくればもうEVを否定できない 結論から言うと、ポルシェの新型エレクトリックSUV「カイエン・ターボ・エレクトリック」は ...
続きを見る
参照:Porsche


















