| 主な理由はやはり中国市場での販売減少 |
そしてこの状態は一朝一夕には経血しないだろう
さて、フォルクスワーゲンの新CEO、トーマス・シェーファー氏が社内会議にて「現在、我が社は家計が火の車であり、支出を控えるよう」にと各部署の管理者に要請したとの報道。
この発言について、数日前に行われた2000人以上のVW管理職との1時間に及ぶミーティングの中で語られたものだといい、同CEOによって欧州最大の自動車メーカーが直面する困難な道のりについても説明がなされたといいます。
フォルクスワーゲンCEO「非常に厳しい」
トーマス・シェーファー氏は現在のフォルクスワーゲンの状況について「屋根が燃えている」と表現し、これはおそらく日本でいう「家計が火の車」ということなのだと思われます。
さらに同氏は「我々は多くの分野でコスト高を放置している」「今後数週間から数カ月は我が社にとって非常に厳しいものになるだろう」とも。
そしてトーマス・シェーファー氏は管理者に対して「何事にも小さな勝利」を見つけるよう求め、今後3年間で100億ユーロもの節約を目指す新たな「パフォーマンス・プログラム」を導入するとコメントしており、なにかにつけ支出を抑えるよう通達を出したと報じられています。
やはり最大の原因は「中国市場」
なお、この財施悪化の主要因は「中国市場での販売鈍化」だといい、世界最大の、そしてフォルクスワーゲンにとっても最大の市場である中国での販売が伸び悩んでいることがVWの収益を圧迫しており、とくにフォルクスワーゲンの場合は他の(欧米の)自動車メーカーに比較して中国市場への依存度が高く、さらにはその価格帯が「中国車と直接バッティングするため」中国車が台頭するのと反比例する形でシェアを失い続けているものと思われます。
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この状況を打開するには「中国車に勝るコストパフォーマンスを車両に持たせること」が最も有効な解決策だと思われ、しかしフォルクスワーゲンが中国の自動車メーカーよりも安価なEVを製造し、中国製EVよりも安く売ることは「まず不可能」だと考えてよく、よって今は「支出を削る」しかないのかもしれません。
参考までに、フォルクスワーゲンはディーゼル不正事件発覚後に販売が一気に落ち込み、補償金等によって多額の支出を余儀なくされていますが、その際にはゴルフカブリオやビートル、シロッコほか多数の車種を販売終了にさせ、さらにはパワートレインや各種コンポーネントの共通化によって多くのコスト削減を計ったことがあり、その結果として「ディーゼル不正事件前よりも利益が出るようになった」と報じられたことも。
それと同時に、各車両に対しては多くのコストダウンも行われており(そのため、ゴルフ8はゴルフ7に比較して大きく品質が下がったと言われている)、よってここから大きくその収益性を改善することは難しいのかもしれませんが、まだまだ削ることが可能な部分もあるものだと思われ、今後のリカバリーにも期待したいところ。
なお、こういった「中国車に勝てず収益性を確保できない」という状況はフォルクスワーゲンに限ったことではなく、それはトヨタも同じことであり、ただしトヨタの場合はEVシフトが遅れたおかげで「幸いにも」ダメージが最小に抑えられているものと考えられます(よってフォルクスワーゲンよりは早く状況に対応できるだろう)。
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参照:Autocar