| アートカーは面白い試みだとは思うが、正直なところ商業的な成功につながるとは思えない |
それでもやはり自動車メーカーは「新しい顧客との接点」を求めているのだろう
さて、マクラーレンがプラグインハイブリッド・スーパーカー、アルトゥーラのアートカーを公開。
アルトゥーラとしては2例目のアートカーとなりますが、今回コラボレーションを行ったのはベルリンを拠点に活動するアーティスト、セヴィン・パーカー。
セヴィン・パーカーは独学でコンテンポラリー・アブストラクト・アートを学んだといい、今回アルトゥーラには薄いパープルそしてクリームカラーのグラデーション、そしてその上に視覚的な速さを表現したかのようなカラフルな文様が描かれます。
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マクラーレン・アルトゥーラの出だしは順風満帆ではなかったが
なお、マクラーレン・アルトゥーラは比較的早い時期に発表された「プラグインハイブリッドカー」で、3リッターV6ツインターボエンジンを搭載し、トランスミッションハウジングにエレクトリックモーターを搭載することで後輪の駆動力をアシストするほか、エレクトリックモーター単体での走行も可能です。
ガソリンエンジンは585PS、そしてエレクトリックモーターは95PSを発生し、つまりシステム合計出力は680PS。
バッテリーサイズは7.4kWh、エレクトリックモードでの航続可能距離は約30km、そして空(から)の状態から2時間半で80%まで充電が可能です。
そしてアルトゥーラにて特筆すべきは乾燥重量1395kgという「超」軽量設計であり、これはハイブリッドスポーツとしては異例の軽さ、そしてスーパーカーとしてもかなり軽いと言って良いかと思います。
その結果として0−100km/h加速はわずか3.0秒、最高速度は時速330キロというスペックを誇りますが、その反面、価格は2965万円という「フェラーリ296GTBよりも1000万円以上安い」値付けを行っており、発表当初こそは「かなり競争力がある」と感じていたものの、その後は思うように生産ができず、納車に関して延期に次ぐ延期が報じられているのは御存知の通り。※一部では納車がなされているが、その後納車が停止されている
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なお、この納車延期についてはマクラーレンの新CEO、マイケル・ライタース氏の判断によるもので、「これまでのマクラーレンであればこの品質で許されたかもしれないが、今後はそうはゆかない」というコメントともに品質管理を強化するというアナウンスがなされているわけですね。
なぜ自動車メーカーはアートカーを作るのか?
アルトゥーラの品質問題とは全く別の話とはなりますが、ぼくがいつも思うのが「なぜ自動車メーカーはアートカーを作るのか」。
アートカーの歴史は1975年のBMW 3.0 CSL”バットモービル”にまで遡ることができ、近年ではポルシェ、ベントレー、メルセデス・ベンツが積極的にアートカーを手掛けており、しかしこれらアートカーは手間とコストがかかる割にリターンが限定的かつ小さいんじゃないかとも考えているわけですね。
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たとえばポルシェはアート・バーゼルなど、これまでポルシェが出展していなかったイベントにアートカーを展示することで、それまで接点がなかった人々とのコンタクトポイントを作ろうとしているものの、そういった人々がポルシェの顧客になるかどうかはちょっと疑問。
ポルシェとしては「アートに興味のある、鋭い感性を持つ人々」を囲い込みたいのだと思われるものの、やはりクルマはアートではなく機能性商品でもあり、近年では自己アピールのためのツールにもなっているので、どちらかというと「それらの方面に」コストを投じたほうが効果が永続し販売にもつながる可能性が高いんじゃないかと思ったり。※アートカーは話題にはなるが、そこから先の進展を見込みにくい
今回のマクラーレン・アルトゥーラに話を戻すと、マクラーレン・オートモーティブの中央ヨーロッパ担当マーケット・ディレクターであるバスティアン・リューマン氏によると「セヴィン・パーカーの非凡な才能と芸術に対する深い理解によって、アルトゥーラの精神を完璧に捉えた、真に驚くべきデザインが生み出された」。
マクラーレンは、アート・バーゼル・マイアミ、その他の同様のイベントにて、1年を通してこのアルトゥーラ”アートカー”を展示する予定だといい、もしかすると日本でもお目にかかれる機界があるかもしれませんね。
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