| リビアンはフォルクスワーゲンが持ち得ないほどの技術力と開発力を持っているということになりそうだ |
わずか数年「EVレースのスタート」が早かっただけでここまでの差がつくとは
リビアンとフォルクスワーゲンが大規模提携を発表し、両ブランドの製品に使用する次世代EVプラットフォームを開発するため、フォルクスワーゲンがリビアンに最大50億ドル(当初10億ドル、後日40億ドル。現在の為替レートだと8000億円くらい)を投資することとなる、との報道。
これらの新しいプラットフォームは、EV専用アーキテクチャと次世代ソフトウェア技術を組み合わせたものになりますが、開発においては10年以上にわたるEV分野での経験を持つリビアンが主導し(両分野ともVWが苦手とするもので、特に後者においては同社のソフトウエア部門、カリアッドの弱さが露呈している)、フォルクスワーゲンは資金面での援助、そして生産においての手助けを行うといい、両社にとってはそれぞれに大きなメリットがある提携だと言えそうです。※リアビアンはいまだ黒字化できておらず、現金を必要としている
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この提携の最大の目的は「ソフトウエア開発」
なお、この提携における最大の(VW側の)目的はソフトウエア開発だといい、つまりフォルクスワーゲンは自社のカリアッドでの開発は「無理」だと踏んだ可能性があり、さらには現在フォルクスワーゲングループとリマックとは(ポルシェを通じ)深い関係にあるため、リマックの助けを借りることもできたはずですが、それでもリビアンとの提携を選んだというのは注目に値するところ。
もしかすると(VWは)この提携によって得たノウハウをフォルクスワーゲングループで広く活用する可能性もあり、フォルクスワーゲンとしては「より広い」知見を得るべく外部との提携を選んだ可能性もあるんじゃないかとも考えていますが、まだまだこの提携に関する全容は不明です。
報じられる範囲だと、ソフトウエアのほか、技術とコンポーネントを共有することで製造・開発コストを削減することも目的のひとつに含まれるといい、これによって現在両社が抱える共通の問題である「EVの開発・製造コスト」を多少なりとも解決できるようになるのかもしれません。※このほか、リビアンの知的財産権をフォルクスワーゲンにライセンス供与することも明かされている
当社のお客様は、最先端のテクノロジー アーキテクチャを作成するというリビアンとのターゲットを絞ったパートナーシップから恩恵を受けることになります。この協力を通じて、当社の車両に最善のソリューションをより迅速かつ低コストで提供します。また、象徴的な製品で人々を刺激する強力なブランドの利益のためにも行動しています。このパートナーシップは、当社の既存のソフトウェア戦略、製品、パートナーシップとシームレスに連携し、機能するでしょう。
フォルクスワーゲンCEO オリバー・ブルーメ
This is exciting! Volkswagen Group CEO Oliver Blume and I are thrilled to announce the formation of a joint venture between our two companies. This partnership brings Rivian’s software and zonal electronics platform to a broader market through Volkswagen Group’s global reach and… pic.twitter.com/11XVNUo89J
— RJ Scaringe (@RJScaringe) June 25, 2024
新興EVメーカーにとっては思わぬ「恩恵」に?
上述の通りリビアンは未だ黒字化できておらず、しかし直近での販売増も見込めなかったために先行きが危ぶまれていた状態ですが、今回の提携によって「思わぬ」ところから資金を獲得することに成功し、これによって当面の運転資金を確保できたほか、生産面においてもなんらかの効果を期待することができるものと思われます(VWは北米にて”スカウト”ブランドでEVを生産する計画を持っており、これに便乗できる可能性が高い)。
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参考までに、アストンマーティンは同じく米EVスタートアップ、ルシード(ルーシッド)との提携を行っていて、こういった状況を見るにつけ感じるのが「それほどまでにEVの開発が難しいのか」。
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さらにフォルクスワーゲンは中国の新興EVメーカーであるシャオペンとの提携も行っており、世界第二位の規模を誇る自動車メーカーが新興自動車メーカーと組まねばならないというこの状況は常識では考えにくく、しかしこうなった以上、それだけEVの開発を行うのは現実的に至難の業であり、新興メーカーが(フォルクスワーゲンに先駆けた)数年という年月は現在の自動車業界においてとんでもなく大きな意味を持つと考えて良さそうですね。
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