フェラーリがその無償メンテナンス期間を「15年」に延長する「Power15(パワー15)」プログラムを公開。
これはエンジン、ギアボックス、サスペンション含むドライブトレーン、ステアリング関係についてカバーするもので、新車に加えて認定中古車にも適用する、とのこと。(フェラーリによるプレスリリースはこちら)
なおフェラーリは現在でも「3年の新車保証」に加えて「4-5年に保証を延長できる」パワー・キューブ、「6年まで延長」のパワー・ノーマル、「10年まで」延長可能な「パワー・トレイン」を用意(フェラーリのオフィシャルサイト、”フェラーリ車両の保証プログラム”より)。
これらはもちろん有償なので(パワー・キューブは条件を満たせば無償の場合も)、今回の「パワー15」についてももちろん有償なのだと思われます。
しかしながらフェラーリの車両には、上記保証のほかに「新車購入から7年間の無料メンテナンス」が付帯されているのが特徴で、これは正直「かなり大きい」と言えますね。
これは定期点検や消耗品の交換をカバーしてくれるものと思われますが、正直「7年」は相当にデカい、と思います。
例えばランボルギーニ・ウラカンの1年にかかる点検や消耗品交換の費用は167,000円ですが、これを7年分見てくれるということに(年数が経てば経つほど指定される要交換消耗品は増えるので、1年あたりの金額も大きくなる)。
ただし、オイル交換などは他メーカーのサービスプログラム同様、期間や走行距離による「縛り」があると思われるので「交換したい時に何回でも交換」できるわけではない、とは思います(詳細はディーラーさんに問い合わせないとわからない)。
なお、この「無料メンテナンス」があるのはスーパーカーだと(ぼくの知る限り)フェラーリのみで、ポルシェ、ランボルギーニ、マクラーレンにもこれはなく、フェラーリは「維持しやすい」スーパーカーであることは間違いなさそう。
さらには「売却価格」が異常に高く、そのために残価設定ローンを使用すると「毎月の支払いをかなり低く」抑えることが出来るのもフェラーリの特徴であり、「維持しやすい」に加え「買いやすい」と言っても良いかと思います。
一般に「敷居が高い」と思われるフェラーリですが、このように「比較的購入しやすい」環境が整っているのも事実で、自分だけのオンラインコンテンツを保存できる「マイ・フェラーリ」、保険やロードサービス、ドライビングスクール、オーナーズクラブ、ファイナンシャル・サービスが充実しているのも特徴。
ポルシェも同様にこういったサービスがありますが、ランボルギーニ、マクラーレン、アストンマーティン含めても、やはり「フェラーリの各種サービス充実ぶり」はずば抜けているようには思います。
これは「ブランディング」の一環でもあり、新規オーナーさんの取り込みはもちろん、いったん獲得したオーナーさんを「離さない」ための戦略でもあり、購入したフェラーリのコンディションを最適に保つことで(売却された時に)中古フェラーリの価値を高めることに繋がることに。
これらがうまく循環することで「非常に強力な」ブランドを形成できることになりますが、これは一朝一夕にできることではなく、「フェラーリだから」できたことだ、と言えるかもしれません。
なお、この「逆」は「販売台数を追求→他社より多く売るために値引き→中古車価格が下がる→ブランドイメージが下がる→新車を値引かないと売れない」の堂々巡りですが、営利企業であれば往々にして陥ってしまうところ(企業には社員や家族に対する責任があって、販売を伸ばさないといけないので責めることはできない)。
このスパイラルにハマってしまうと「売却する時に、そのメーカー以外では値がつかない」ことになるので延々にそのメーカーの車を買い続けねばならない、というのが以前のマツダ地獄で、いまマツダはこの連鎖を断ち切ろうとしている最中ではありますね。
ちなみにアウディは中古相場を維持し、新車の値引きをやめることでブランドイメージを保持することに成功していますが、販売を見るとメルセデス・ベンツやBMWには水を開けられる形となっており、これを見ても「いかにフェラーリのようなサイクルを確立するか」が難しいこともわかります。